○あらすじ


「不思議な贈り物と従者の受難」


婚約を発表したアシェンバート伯爵家では、連日親交のある貴族達からの祝いの品物が届いている。


そして、妖精国伯爵の異名もある伯爵家では、妖精からの祝いの品物も数多く届いていた。


そんな中、アシェンバート家にやってきた紳士。


彼から謎の包みを受け取ったエドガーの従者・レイブンだったが、それがとんでもない騒動のもととなって・・・。



「運命の赤い糸を信じますか?」


数々の困難を乗り越えて、漸く婚約を発表したエドガーとリディア。


リディアは、結婚前の礼儀作法の合間をぬって久しぶりに親友のロタと屋敷でお茶をしながらくつろいでいた。


しかしそこに家庭教師風の妖精が割り込んできて、リディア達に運命の赤い糸が見えるようになる魔法をかけてしまう。


赤い糸が見えるようになったリディアだが、婚約者であるエドガーの小指には多数の赤い糸が出ていて、しかもリディアとはつながっていない事が分かってしまう。


しかも、リディアと赤い糸でつながっている少年も出てきて・・・・。



「リボンは勝負のドレスコード」


結婚に向けて着々と準備を進めているエドガーとリディア。


リディアは、ちょっとしたおしゃれ心でナイトウェアに刺繍を施していた。


しかし、その最中に中世風の甲冑をまとった人物が訪れてくる。


その人物はリディアの事を“姫君”と呼び、自分とリディアの前世は離れ離れになった恋人同士だといい始めるのだが・・・。






○感想


『伯爵と妖精』シリーズ、第15冊目であり、短編集でもあります。


なので、本編の間のお話になりますね。


本編が非常~にいい所で終わっているので、これ飛ばして本編読もうかとも思ったんですが、出版順番どおりに読んでいます。


題名の「運命の赤い糸を信じますか?」の他、2編ですが、どれも妖精がらみですね。


私も妖精関係は少し齧っているんですが、このシリーズに登場する妖精は知らないものもあたりで、新たな発見があって面白いです。


何といっても、「運命の赤い糸を信じますか?」に登場した妖精名付け親(フェアリー・ゴットマザー)がかの有名な『シンデレラ』でシンデレラに魔法をかけたりカボチャの馬車を用意したりするものだったなんて・・・。


私はてっきり魔法使いかと思っていたんですが、妖精だったんですね。


さてさて、内容の感想の方。


本編はシリアス路線になっていますが、短編であるこの巻はほのぼのラブラブがあって落ち着いて読めました。


レイブンがニコとの友情を感じている場面がチラホラ出てくるのが、微笑ましくて(笑)


寡黙で無表情で自分の感情を上手く出せなくて、それでも結構苦労人なレイブンですが(主人にもからかわれていますしね)、ニコとの友情を育んでいるのはとても良いことだと思います。


後は、微妙に進展あるんだかないんだかのロタとポール。


意外とこの二人はコンビで出てきますよね。


こちらもかなり身分違いがありますけど、密かに応援しています。


ロタの飾り気のない性格も、ポールの穏やかだけど全てを包むような優しさも好きですから~。


リディアとエドガーは言わずもがなでした。


本編では離れ離れになってしまった二人ですが、この巻ではまだその前ともあって、随所にエドガーの口説きっぷりとリディアの恥じらいながらの受け答えが楽しめました。


これからの本編を考えるとちょっと暗くなりますが、その前のいい気分転換にもなるお話で良かったです。