- 食品の裏側―みんな大好きな食品添加物/安部 司
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みなさんは普段食べているものに向かい合ったことはありますか?
僕はこの本に出会う前は薄らとは考えていましたが、そこまで本気で向き合ったことはありませんでした。
この本は食品添加物の元トップセールスマン、「食品添加物の神様」とまでいわれていた安部さんが綴る、
食品添加物とは?をとってもわかりやすく噛み砕いている本です。
単に食品添加物の危険性や、食品添加物を使用している食品や、企業、業界を批判しているのではなく、
食品添加物の”光”の部分、私たちの食文化を形成してきてくれた食品添加物の恩恵の部分を書いてらっしゃいます。
本当にわかりやすくて、読みやすい本なので、添加物やオーガニックなどに興味のある方にはオススメです!
というよりも、そういったことに興味のある方なら誰でも知っているほど有名な本らしいですね。
僕は高校の頃は、食品・農業の勉強をしていました。食べるのもののありがたみや、それをおいしく食べるために
かかる時間や苦労というものを身体で記憶していると思います。
きゅうり一本つくることや、大根やニンジンを大きく立派につくること、ハムやソーセージなどの加工品をつくる大変さなど、普段何気なくそこにある食品を食べられることのありがたみ、それを学んだはずなのですが、この本に出会うまでは「それ」を忘れていたような気がします。
安部さんがこの本の中で書かれていたことでとても印象的なお話があります。
添加物によるうまみのベースになる元は「3点セット」という形で表せれるといいます。
①食塩+②化学調味料+③たんぱく加水分解物+(風味をつけつエキス)=うまみのベース
になるそうです。
このベースで風味を変えることによって、ラーメンの素になり、スナック菓子の味になり、お吸い物の素、
かつおだしの素、昆布だしの素などになるそうです。
そうなると、私たちが普段、何気なく~の素や、ポテトチップスを食べていておいしいと感じているのは、これらの添加物の味が大元になっていると考えられます。
お子さんはこの味を覚えるととても欲しがるそうです。その味を覚えてしまうと食材自身の味や薄い味付けを淡白なものとして受け付けなくなってしまう、とのこと。
食材本来の微妙な味(質感)の違いが感じられないのはとてももったいないことだと思います。
本当の豊かさは、その微妙な差異を楽しみ感動することにあります。食べ物の味はもちろん、香り、食感などあらゆる要素を身体全体で感じて、それを自分の一部として一体化すること、その実感を得るためにも、質感の差異というのは常に必要な出会いだと感じます。
均質化した食べ物をお腹いっぱい食べて満足すること、安さ・手軽さで終わらせてしまうこと、それが本当の豊かさなのでしょうか。
アートはその作品によって同じものはありません。コピー&ペーストされた作品はある視点ではアートとして昇華されますが、結局はなんの差異も生まれない工業製品となってしまいます。
「食」にはそれ独自の質感が大いに満ちていますし、それを食す人間は無限の質感を感じ取れると思います。
それが単に工業製品と化し、均質化されてしまうのは非常にもったいない!
この本の背表紙に書かれている言葉はとても痛烈です。
「安さ、便利さの代わりに、私たちは何を失っているのか。」
薄々感じ取っている失っているもの。それと向き合うひとつに機会を提示してくれる一冊です。


