村上佳菜子選手、応援 | フィギュアスケート研究本

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シニア初戦は3位 フィギュア村上、世界へ羽ばたく  2010/10/27 7:00 日本経済新聞

はじける笑顔もあったが、転倒も――。昨季の世界ジュニア女王、村上佳菜子(中京大中京高)がグランプリ(GP)シリーズ初戦のNHK杯(24日まで)でシニアの国際大会デビュー。8位に沈んだ浅田真央(中京大)を上回り、3位となっていきなり表彰台に立ったものの、本人も「全然満足できる出来ではなかった」と反省が先に立つ内容だった。緊張で足が震えたのも、15歳にとってはいい勉強。日本フィギュアスケート界の期待の星は、経験を積んで世界への階段を一歩ずつ上がろうとしている。

SPは伸び伸び演技で2位

 「佳菜ちゃんは若くて元気でピチピチの女の子。将来楽しみだと思って下さいね」。指導する山田満知子コーチは、村上のことをこんな風に語っている。

 その言葉通りに、22日のショートプログラム(SP)では伸び伸びとした演技を見せ、56.10点で2位発進。3回転―3回転のジャンプは惜しくも回転不足と判定されたものの、アップテンポの音楽に乗って軽やかに氷上を舞い、最後は満面の笑みを浮かべてポーズを決め、観客の大きな拍手を浴びた。

フリーは緊張

 しかし、翌日のフリーでは演技直前に自分が立つ舞台の大きさに気づいてしまったようだ。「急に今までにない緊張を感じて……」と村上。最初の3回転―3回転は成功させたが、この後のジャンプで3回も転倒し、「練習した成果が出せずに悔しい」と涙も浮かべたという。

 シニアの選手は演技前は自分に集中し、ほかの選手との接触は避ける。一方、ジュニアの試合は和気あいあいとした雰囲気だ。村上はNHK杯でもジュニア時代と同様、自分の前を滑る選手の演技を見ていた。

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シニア初戦は3位 フィギュア村上、世界へ羽ばたく 2010/10/27 7:00

そうするうちにシニアの選手たちのものすごい集中力と迫力に触れ、雰囲気にのまれてしまったのだろう。リンクに飛び出したとき、いつもの笑顔はなく、顔はこわばったままだった。

山田コーチと反省会

 SPの貯金があり3位となったものの、フリーは94.06点で5番目の得点。表彰式を終えるとすぐ、山田コーチと食事しながらの反省会となった。

 「コーチに何を言われたの」という質問に、村上はイスに座りながらのけ反って両手を広げるようなポーズをとり、「こんな格好で『ショックー』って。『先生は自信あったのに、なんで佳菜ちゃん失敗したの』って言われた」。恥ずかしそうに話した。

 最終日の男子フリーの演技を山田コーチと一緒に見た。「いろいろ説明してくれて、『男の子ってスゴイ』『失敗しないから見ていて手応えあるねえ』って。失敗した自分が悔しくて、もっともっとジャンプを跳べるようになろうって思った」。

山田コーチの“秘蔵っ子”

 山田コーチは1992年アルベールビル五輪銀の伊藤みどり、2010年バンクーバー五輪銀の浅田真央ら数々の選手を育てた名コーチ。今、その山田コーチの“秘蔵っ子”といえるのがこの村上だ。失敗をさほど怒らず、村上のプライドをうまく刺激して成長させてくれる。そんな山田コーチに導かれ、村上はすくすくと伸びてきた。

 村上は5歳の時、姉について、山田コーチが指導するグランプリ東海クラブの門をたたき、スケートを始めた。村上は山田コーチのことを慕っていて、絶大な信頼を置いている。3年前、初めて話を聞いたとき、「先生はものすごく面白いの」と、140センチあるかないかの身長で話していた。

シニア初戦は3位 フィギュア村上、世界へ羽ばたく

バンクーバー五輪の選考会だった昨年の全日本選手権の後も、「五輪に出場するのは大変そうだからいい。佳菜は満知子先生みたいになりたい」と言っていたほどだ。

憧れは浅田真央

 さすがにバンクーバー五輪で浅田真央らが活躍する姿を見て欲が出てきたようだが、世界のトップを目指して海外に飛び出す日本選手も多い中、「佳菜は満知子先生がいい」。

 中京大中京高に通って、午後は中京大リンクに電車で移動。午後4時過ぎから9時まで山田コーチ、樋口美穂子コーチの下で練習を重ねる。

 村上の憧れはもちろん、クラブの先輩で5歳年上の浅田だ。「真央ちゃんはずっとクラブで一番大好きな、お姉ちゃんみたいな存在。スケートが上手で尊敬している」

 村上の雰囲気も、浅田が5年前、GPシリーズにデビューしたころに似ている。おちゃめでさほど落ち着きはないけれども、むしろそれが魅力で、かわいらしさに花を添えている。

スケーティング技術などはまだまだ

 そして、笑顔の魅力は今では日本一かもしれない。演技前、スクリーンにアップが映し出されるだけで、観衆をとりこにし、会場全体が華やいだ雰囲気になる。

 ただ、安藤美姫や浅田のような「天才型」ではなく、ジャンプを踏み切る際に足がグラグラするなどスケーティング技術や表現力は、シニアの選手に交じるとまだまだだ。

シニア初戦は3位 フィギュア村上、世界へ羽ばたく

 「ジャンプの修正は大変。なかなか自信がついてこなくって」と村上。しかし、伊藤みどり、浅田真央とトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器にするジャンパーを2人も育てた山田コーチがついている。NHK杯を見る限り、危なっかしかったジャンプの姿勢はかなり改善されていた。

浅田の制服をもらい受ける

 ちゃっかりした性格で、「真央ちゃん、まだ高校の制服あったらくれる?」とねだって、先輩である浅田の制服のお下がりをもらい受けるのに成功した。誰からも愛されるところも、村上の大きな魅力の一つだろう。

 浅田と金妍児(キム・ヨナ、韓国)も高校1年のときにシニアに移行した。2人は女子フィギュア史でも別格といえる存在だとはいえ、村上のデビュー1年目はどうなるか。

まだまだ紆余曲折も

 「今季はGP大会の表彰台に1度は立ちたい」という目標を早くも達成してしまった村上。ただ、今後となると、金妍児、浅田らのほかにも08年世界ジュニア優勝で今回NHK杯2位のレイチェル・フラット(18、米国)、07年世界ジュニア2位、08年同3位の長洲未来(17、米国)ら追いかけなければならない選手はたくさんいる。

 まだまだ紆余曲折(うよきょくせつ)はあるだろう。しかし、どんなに練習しても、エネルギーが満ちあふれてくるのは10代の特権。試合慣れするために西日本選手権(11月5~7日、福岡)に出場した後、GPシリーズ第4戦の米国大会(11月12~14日)に臨む。

(原真子)

 むらかみ・かなこ 1994年11月7日、名古屋市出身。1999年からスケートを始め、08年ジュニアGPファイナル4位。09年ジュニアGPファイナル優勝、10年世界ジュニア優勝。158センチ。



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