ISU欧州フィギュアスケート選手権プレビュー | フィギュアスケート研究本

フィギュアスケート研究本

出版スポーツ編集部 フィギュアスケートを語る

ISU欧州フィギュアスケート選手権プレビュー<男子>

2012年01月24日15:26

Text by 田村 明子 (著者のコラム一覧)

面白くなってきた。バンクーバー五輪銀メダリストのエフゲニー・プルシェンコが、1月23日から英国シェフィールドで開催される2012年欧州選手権に出場することになったのである。

バンクーバー五輪終了後、プルシェンコはロシアスケート連盟の許可なくアイスショーに出場したことを理由に、一時はISU傘下の競技から出場権剥奪を宣言された。だがその後無事ロシア連盟とも和解し、ロシア連盟からの正式な要請によってISUも再び彼が国際競技に復帰することを許可した。

12月に行われたロシア選手権では、ノーミスの演技ではなかったものの、SP、フリーともに4回転を着氷して9度目のタイトルを手にした。昨年の6月に再び膝の手術をした29歳の彼だが、その意思の強さと運動能力の高さは超人的である。ロシア、いや欧州全体を見渡すと、下の選手も育ってきているとはいえ、プルシェンコのようなスケールのスター選手は見当たらず、欧州のスケート関係者にとっても救いの神と言えるだろう。たとえ優勝できなくても、出場するだけで大会そのものの注目度がぐっと上がるだけの格を持った選手である。

彼と欧州タイトルを競う選手の筆頭は、今季絶好調で順位も急成長した、GPファイナル銅メダリストのハビエール・フェルナンデスだろう。フリーではトウループとサルコウの2種類の4回転をプログラムに組み入れているだけに、ノーミスで滑ればスペイン代表の男子としては史上初となる欧州タイトルも夢ではない。

タイトル保持者であるフランスのフロラン・アモディオは、今季前半はGPシリーズで不調だった。だが本来は4回転も跳ぶ実力者だけに、どのくらい調整をしなおしてきたかが注目される。また負傷でGPシリーズを欠場していたブライアン・ジュベールも、どのくらい体調が戻ってきているのかこの大会でわかることだろう。もし彼が表彰台に到達すれば、11年連続の快挙となる。

その他のメダリスト候補は、世界銅メダリストのアルトゥール・ガチンスキー、チェコのミハル・ブレジナ、トマーシュ・ベルネルなど。いずれも4回転を跳ぶことのできる選手であり、レベルの高い戦いが期待できそうだ。

田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。

ISU欧州フィギュアスケート選手権プレビュー<女子>

2012年01月24日15:22

Text by 田村 明子 (著者のコラム一覧)

SUチャンピオンシップである欧州選手権には、五輪や世界選手権と同じISUの年齢制限が適応される。そのため今季3度目のロシア選手権タイトルを手にしたアデリナ・ソトニコワ、およびGPシリーズで一躍注目を浴びたロシアの新人、エリザベータ・トゥクタミシェワはまだ出場できない。そんな中で注目されるのは、4度目のタイトルがかかっているカロリナ・コストナーだろう。

今季のコストナーはジャンプの難易度を落としたものの、その分演技全体をまとめてベテランらしい質の高い滑りで初のGPファイナルタイトルを手にした。SP、フリーともにクラシックの難曲を、彼女ならではの表現力でみごとに滑りこなしている。

その彼女に挑戦するのは、GPファイナル3位だったロシアのアリョーナ・レオノワになるだろう。5種類の3回転をしっかり跳ぶ彼女が、ノーミスの演技をすればコストナーを破ることも可能である。

トップはこの二人の間で争われると予想されるが、3位は誰の手に渡ってもおかしくない。GPシリーズでは不調だったロシアのクセニア・マカロワ、スウェーデンのヴィクトリア・ヘルゲッソン、フィンランドのキイラ・コルピ、グルジアのエレナ・ゲデバニシヴィリなど、いずれも好不調が激しく、予想が難しい選手たちである。彼女たちの中でベストな滑りを見せた選手が表彰台に到達することになる。

来季からは、控えているロシアの天才少女たちがシニアに上がってくる。一度でもメダルを手にしたいと切望する位置にいる選手にとっては、今季が絶好のチャンスだ。その意味でも、気迫のこもった戦いになりそうだ。

田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。



男子も、女子も、その日の演技の出来で、トップ選手同士の接戦となりそうですね。

試合の出来で、勝敗が決まらないのは面白くありませんからね。

皆さまの素晴らしい滑りと戦いをしてほしいと思います。




↓クリック、いつもありがとうございます。m(_ _ )m