FIAJ 円金利パネルディスカッション(60分)進行台本(案)

本資料は、FIAJ主催 円金利パネルディスカッション(60分)において、
モデレーターおよびパネリストが事前に全体像を共有するための進行台本です。
ポール(リアルタイム投票)を用いたインタラクティブな運営を前提としています。


1. セッション全体像(60分)

  • 目的:

    • 参加者を巻き込みながら、
      JGB先物・TONA先物を中心とした円金利市場の構造的リスク
      海外投資家から見た市場の作法を浮き彫りにする

    • 専門論に踏み込みすぎず、「現場感」「視点の違い」を引き出す

  • 想定参加者:60〜80名(銀行系機関投資家は限定的)

  • 形式:モデレーター主導+ポール2回+パネルディスカッション


2. タイムテーブル(60分)

0:00–3:00 オープニング(モデレーター)

  • 歴史的導入(資金運用部ショック/VaRショック/トラス・ショック/タリフ・ショック)

  • キーメッセージ:

    • 「歴史は繰り返さない。ただし、韻を踏む」

    • 本日は“正解探し”ではなく“見方の違い”を共有する場


3:00–8:00 ポール① 実施+ナビゲーション

ポール① 質問

Q1:あなたが考える、JGB市場(現物・先物・OIS含む)における
「最大のシステミックリスク」はどれですか?

選択肢(5択)

  1. 流動性の枯渇(特にストレス時)

  2. レバレッジの集中(凪の時に溜まる)

  3. ベーシスの崩壊(現物–先物/JGB–OIS)

  4. マージン・クリアリング(急変・予測不能)

  5. 市場慣行・人の行動(いわゆる「お作法」)

この間の進行(モデレーター)

  • ポール操作方法の簡単な説明

  • 質問の背景説明(3〜5分)

    • なぜ「一つに決めない質問」なのか

    • 円金利市場は複合的に成り立っていること


8:00–20:00 パネル①(ポール①結果を起点)

モデレーター総括コメント(冒頭)

  • 「一つに割れない結果自体が、市場の特徴」

役割分担(想定)

  • ベーシスが最多の場合:外資系 金利ストラテジスト

  • 流動性が最多の場合:大阪取引所(先物市場の視点)

  • マージンが上位の場合:外資系 クリアリング責任者

  • レバレッジが上位の場合:SMBC(顧客・フロー視点)

代表質問(例)

  • 「なぜそのリスクが、平常時に見えにくいのでしょうか?」

  • 「それは先物市場ではどう表れますか?」


20:00–25:00 ポール② 実施+ナビゲーション

ポール② 質問

Q2:海外投資家が『この市場は信頼できる』と判断する際、
最も重視していると思う要素は何ですか?

選択肢(4択)

  1. 価格発見と執行のしやすさ(特にストレス時)

  2. ベーシスの安定性と裁定のしやすさ

  3. マージン・清算の予測可能性

  4. 参加者の行動・暗黙のルール(市場のお作法)

モデレーター補足(集計中)

  • 「金利水準ではなく“市場の振る舞い”を見るという視点」

  • market structure / market practice を「お作法」と訳す意図


25:00–45:00 パネル②(市場のお作法)

主な問い

  • 「先物市場における“良いお作法”とは何か?」

  • 「ストレス時に信頼を失う行動、逆に評価される行動は?」

  • 「海外勢と国内参加者で、作法の見え方は違うか?」

パネリスト別の着眼点例

  • 取引所:市場設計・ルール・透明性

  • クリアリング:予測可能性・オペレーション

  • 銀行:顧客行動・流動性供給

  • ストラテジスト:海外投資家の評価軸


45:00–55:00 全体クロストーク

  • ポール①と②を並べて再整理

  • 「最大のリスク」と「信頼される作法」は一致しているか?

  • モデレーターは結論を出さず、視点の違いを言語化


55:00–60:00 まとめ(モデレーター)

  • 本日の要約

    • 円金利市場のリスクは単線ではない

    • 凪の時にこそ見えなくなる論点がある

  • 締めの一言

    • 「次のショックを当てることより、耐えられる市場を作ることが重要」


3. モデレーターの立ち位置(共有事項)

  • 深掘りはしない(専門論争は避ける)

  • 答えを裁かない

  • 各パネリストの視点を“翻訳・整理”する役割に徹する

※マージンのプロシクリカリティについては、
必要に応じて一言コメントに留める(議論の主役にはしない)


以上