読者の方で「恋愛」の意味の愛を期待した方は少し違う話になってしまうので申し訳ない。大学生たるもの、恋愛の一つや二つあってもおかしくはないはずなのだが、縁がない。度々実家に帰ると「彼女は出来たのか?」「聞いちゃ可哀想よ」「それもそうか」と劇を繰り広げる両親はまさに無慈悲の権化である。一見、真ん中の母親の台詞に優しさを感じるかもしれないが普段から「彼女が出来るわけない」と考えていないとこんな台詞は出てこないので、実は父親よりもド畜生である。まだ可能性を見出している父親の方が何倍も優しい。

 

 話が逸れてしまったが、ここまで読んでくれている方はかなり物好きな方だと思う。私は無意義な文章を書くことが好きなので、それでもいいよという方は最後までお付き合い頂きたい。前置きはこの程度にして、本題に入ろう。一体何で「愛」を感じたのか。

 

 冒頭ではド畜生呼ばわりをしたが、実際は両親には尻より上に頭が上がらない。小学生の頃に私のクラウチングスタートのセットの形を見て「お前に短距離の才能はない」と言い放った監督もびっくりの良い形をしている自負がある。

 

 頭があがらないのは一人暮らしをさせてもらっているからである。一年間でどのくらい支えてもらっているのか計算して絶句したのは記憶に新しい。当然、昨今の物価の上昇に伴い少しでも節約するべく自炊生活をしているのだが、これが意外と大変なのだ。高校三年間、銚子丸のキッチンでバイトしていたから自炊も余裕か~^^と思っていた。断じてそんなことはない。毎晩、朝起きたらワ〇ピースのサンジくらい料理上手になってないかなぁと期待に胸を膨らませて眠りにつくが、残念ながら毎朝キッチンに対面するのは料理が下手な一般大学生だ。

 

 自炊が大変な理由は千差万別。いろいろなタイプがいる。友達に聞いてみた。

・友達A「俺に包丁を握らせるな。数秒で血の海だ。」

・友達S「家事炊飯は女の仕事だろ」(コンプライアンス違反で失格)

・友達Y「時間がもったいない」

 

 いかに無作為抽出が大切か分かる結果になってしまった。このように料理に悩んでいる理由は人それぞれであるが、私の場合はメニューを考えるのがすごくつらい。これに尽きる。最近はスーパーに行ってから安売りしているものでメニューを考え始めており、私の夢である専業主夫も様になってきているのだが、もう一年の夏の時点からずっと品切れである。実家に居た頃、母親が「明日何食べたい?」としつこく聞いてきたのはただメニューを考えるのが面倒くさかっただけだったのだと悟った。血は争えない。これから最低でも5年は住むのに、これでは残念だが専業主夫など到底務まらない。

 

 話がまたもや脱線してしまったが、メニューを考えるのがとても大変というのは伝わったと思うので結果オーライということにしよう。そしてメニューに困ったときに最もよく使うのが実家に居た頃に何を食べていたか思い出すことで、これにはかなり助かっている。あの日も例にもれずこれを使った。こうして私は、2024年1月9日、母親の味を思い出して“野菜の肉巻き”を作ろうと思い、いざ買い物へ、そしてキッチンに立った。

 

 

 

 

 

ところで、皆さんは野菜の肉巻きの美味しさを知っているだろうか。

 

和風のシンプルな味付けながら、頬張った瞬間に口中に広がるあの幸福感。

 

この一家直伝の野菜の肉巻きを、決して私の代で途絶えさせてはならない。

 

私は今ここで、母親の味を再現してみせる…!!!

 

こうして完成したのが…!!

 

 

 

 

 

肉野菜炒め

image

ごめん

 

 

 野菜に肉を巻くという工程の面倒さ、崩れないように小麦粉をかける面倒さ、その前に根菜はゆでないといけないという面倒さ。字面からもうやる気が失われる。これらに気が付いた瞬間には既に、具材たちはフライパンの上で踊っていた。間違いなくあのルフィでさえも第一話で海賊王になるのを諦めるレベルだ。誇張なしにそれくらい面倒だった。

 

 

幼稚園生の頃、泣き喚きが特技だった息子のためにこんなに面倒な工程をしてまでお弁当に詰めてくれていた母親の愛。料理は愛なのだとしみじみ思うし、私は幸せな家庭で育ったのだと改めて思う。本人にはLINEで伝えておいたが、いかんせん小説を読み漁る一家なのでまっすぐ伝わらなかったようだ。でも私には分かる。きっと裏では号泣している。

 

image

 

 想定よりもしんみりとした終わり方になってしまった。野菜の肉巻きにはいつかリベンジしたい。野菜の肉巻き王に、俺はなる。

 

P.S. ここまで読んでいただいた方々に深く感謝申し上げます。この記事をきっかけにして、皆さんに「普段お世話になっている人に感謝を伝えてみようかな」と思っていただけたならこの記事も無意義なものから有意義なものになると思います。あと今はもうお付き合いさせていただいている方がいます。