東洋経済との質疑応答


山田 ライブドア事件のころはITベンチャーが元気だった気がするのですが、現在はそうでもないと思います。この点をどう思いますか?


堀江 ITベンチャーで言うと、買う会社がなくなったんですよね。

ベンチャー企業がなんで社会の役に立つかというと、とんでもない若造がとんでもないことを考えるから面白いわけですよ。それが社会にイノベーションを与えるわけですけど、それが旧来型の大企業ではできないことなわけですよ。

ヒエラルキーができていて、保守層がいて、頭を抑えられますから。そういう自由闊達な議論ってなかなかできないし、そこから生まれてくるものって凡庸なものしか生まれてこない確立が高い。


だけど、ベンチャーって失うものがないから、どんどんアグレッシブに、これまで皆さんが思いつかなかったようなことをどんどん考えてイノベーションしていく。それが社会に活力を与える。だから、ベンチャー企業は社会的意義があるわけですけど、これが成長していくためには、イグジットが必要なんですよ。


つまり短期間でそれなりに収益規模になって、キャピタルゲインが得られて、また新しいことをする、新陳代謝です。こういうのをシーリアルアントレプレナー、連続起業家というんですけど、日本のベンチャー企業がアメリカと何が違うかって、シリアルアントレプレナーがほとんどいないことなんですよね。若干存在するんですけど、そういう人たちがイグジットをする流れが止まっちゃったんですよ。


上場しづらくなりましたよね、要は不祥事企業が出たら、審査を厳しくしようとなるわけですよ。だけど、ベンチャーなんてはっきり言って、いかがわしいですよ。正直言って。僕が知っているベンチャー企業でいかがわしくないベンチャー企業の方が少ないもん。

(会場から笑)


だってね、社員3人の会社で法律なんてまともに調べられるわけないじゃないですか?それはちょっと目をつむってあげましょうよってことなんですよ、ちょっとくらいのことは・・・。


だけど、みんなせちがらいじゃない。みんなたたこうとするでしょ、社会にとってそんなに悪いことしてるかな・・・みたいな、みんな教育ママみたいにガミガミ言うでしょ、そうすると子供は萎縮して新しいことにチャレンジしなくなるんですよ、そんな雰囲気がベンチャー企業に生まれましたよね。それが非常に残念ですよね。


それからM&Aをする会社が非常に少なくなってきたんですよ。僕が捕まったのが利いていると思うんですけど、ベンチャー企業の買収は結構えいやーでやるわけですよ。売り手の買い手がいるわけですよ。売り手は高く売りたい、買い手は安く買いたいわけです。だけど、これにたくさんの買い手がいたら、ぼんぼん値段がつり上がっていきますよね。


これは普通じゃないですか、だけど、そこでDC法とかを使って値段を合わせたりとかするわけですよ、実務では。


なのにそれを公明盛大に一個の価格でやれとかって無理があるでしょ?検察官って経済の仕組みを知らないから、一物一価だと思ってるんですよ。当然、買いたい人がたくさんいる会社だと、当然値段は上がるわけですよ。


その価格算定をするのに、方法がひとつしかないとか、DC法でやったらみんな同じになるとか、ありえるわけないですよ。当然違うわけですよ。それを実務的に合わせてるわけですよ。それを目蔵版を押しましたとかって、捕まえるわけですよ。そんなことしてたら、実務は回っていかないと思います。


そういうことも含めて、M&Aがしづらくなって、そういうことも含めてベンチャーがイグジットする手段がほとんどなくなったので、やりたくなくなった。


ベンチャーのやつらって一山当てたいと思っているわけですよ。若者ってそういう野蛮なというか、野心があって、俺も金持ちになって良い車に乗りたいとか、良い家に住みたいとかでも僕は別に良いと思うんですよ。まずそうなってから立派なことを考えれば良いと思うんですよ。


だけど、お金も人脈も地位もないなかで立派なことなんかできないじゃん、実際は。それを社会は認めるべきだと思います。許容する社会というのが今の日本には欠けているなと思いますね。


すべてにおいて、大相撲のことにしてもそうですが、少しでもちょんぼをすると、徹底的に叩いて二度と立ち上がれないようにする、そういう社会になるつつあるのはちょっと危ないと思います。






ニコニコ動画との質疑応答


兼松 今後のメディアの業界はどうなっていくのか、とくにインターネットとテレビの関係はどのようになっていくとお考えがお聞かせください。


堀江 変える人が出てこないと換わらない。現状維持じゃないですか?2年じゃ変わんないですよね。

ただ、10年とか20年というスパンでは変わる。なぜなら、ニコニコ動画とかを見ているような人たちって、10代とか20代前半の人たちが多いと思うんですけど、彼らってパソコンが家にあってそこでネット動画サイトを見るというのがライフスタイルになって、あまりテレビを見なかったりとかするんですよね。


もちろんテレビを見ている層もいるんだすけど、見ていない層も結構いる。彼らが大人になったときに変化が訪れるでしょうね。


ただ、それ以外はそんなに変わらないのかなと。本当にリーダーシップのある日本のリーダーが出てくれば別ですけど、しばらく総選挙もないと思いますし、最短で2年後ですか、2年後は変わるかもしれないですね。


今、日本はインターネットで選挙活動もできない非常に特殊な国なので、こんな特殊な国が先進国である、でももう先進国じゃないのかもしれないですね。


中国人とかと話していると、日本にいざるを得ないのが、世界から取り残されているなという焦燥感に駆られますね。


海外の人とビジネスもしたかったんですど、非常に不自由な立場でしたから、出てきたら、失われた7年間、8年間を取り戻したいと思います。


日本経済新聞社との質疑応答


山中 強制捜査がなければ、経済が違っていたのではないかと言われましたが、もう少し具体的に教えてください。


堀江 ひとつは、M&Aの件数はものすごく減りました。企業買収がものすごくやりにくくなったと思います。僕がつかまった容疑のひとつが風説の流布○○○というのがあります。


簡単に言うと、本来1億円の会社を4億円で買ったというのが罪だというのが、検察および裁判所の主張なわけですけど、そのときにディカウントキャッシュフロー法というのがありますが、これを使って価格算定をしております。あろうことか、それを作った会計士が目暗番をしましたという、僕から言わせれば虚偽の面ぜん調書を取られたおかげで、私はなぜか捕まっておりますけれども、それをDC法であれなんであれ、会計士が非常に慎重に書類を作るようになりましたので、費用が非常にかかるようになりました。


だから、ベンチャー企業はお金がかかってM&Aができなくなりました。なので、件数も減ると。その流れで外資系の会社もはげたかとかって言われて、買収にしづらくなりました。


本来、M&Aというのは、効率の悪い経営陣が居座って、赤字を垂れ流していたような会社を買い取って、再生をしたりとか、効率を上げていくための、非常に優れた仕組みなんですね。


それだけじゃなくて、株主がばらけていると、どういうことがおきるかというと、意思決定のスピードが遅くなったり、株主にあまり還元しなくなったりとか、給料を高くもらう経営陣が居座ってしまったりとか、たとえばテレビ局。なぜか放送法がひっそりと改正されまして、テレビ局の株主は単独で34%以上、もてなくなりました。びっくりしたことに。


これはライブドアがニッポン放送を買収したりとか、楽天がTBS株を買収したりとかの流れのなかで後出しじゃんけん的に放送法がいつの間にか改正されていて、34%以上もてなくなっちゃいました 
と。


これ以前にも、実は外資規制というのも行われておりまして、これは孫さんがマードックと組んでテレビ朝日株を買収したときだと思うんですけど、それまでなかった外資規制がいつの間にかできていたと。外資企業は20%以上は買ってはいけないという法律ができていると。なぜかそういった会社が自由な資本市場の証券取引所に上場していると。上場しているメリットは最大限活かせるというおかしな仕組みになっております。


そういったことが僕らの流れのなかでおきています。


あと、証券取引法も改正されて、罰則の規制が5年以下の懲役から10年以下の懲役になっております。
10年以下の懲役というと、詐欺罪と同じになります。いつの間にか重罰になっておりますけれども、こういった重罰のなかで運用するということになりますので、上場企業は怖いので、膨大なコンプライアンス費用をかけて、利益が減っていっていると。法人税の税収が下がって、日本経済はだめになってしまっているという悪循環になっています。


もしくは、上場しているとリスクが高いから、MBOして未上場化しようという動きも活発に出てきています。それはコンプライアンス強化の流れがあるのと、東京証券取引所が魅力のない市場になってしまったことが要素として上げられると。


なんで魅力がなくなってしまったかというと、流動性がなくなってしまったからと。海外からの投資も先細りになってきてしまっています。外人がどんどん売っていると。なんで打っているかというと、はげたか呼ばわりしたり、意味不明の株式の持分割合を決めたり、裁判所もよく分からない判決を出すと。


ということで、これは危ないと、ジャパンはリスクだということで、外資系企業もどんどん撤退しているという状況にあります。しかも、ライブドアは15万人以上の個人投資家を抱える企業だったわけですが、これを上場廃止にしてしまったものですから、個人投資家がいなくなったんです。


どこに行ったかというと、FXとかやってるんですね。すごくはやりました。あこれは明らかにネット証券の取引市場からFXに移ってきている現象だと思います。


ご存知のとおり、FXというのは本当のゼロサムゲームです。通貨に流動性を与えているという以外のメリットは何もなくて、ギャンブルと僕は同じなんじゃなかと思うんですけど、こういったものにお金が流れていってしまって、本来、日本経済の血液というか血管や心臓部に当たるような、証券取引所二お金がいかなくなっていると。いうことが非上場かになったりとか、お金が集まらなくなった理由なんじゃないかと思います。


ライブドアは別に悪いことをしているのだったら、課徴金を課せばすむことだし、上場廃止にするまでのことはなかったと思うんですよ。上場廃止って海外では上場廃止基準ってないんだと思うんですよ。上場維持基準はありますが。ライブドアはどうしても上場廃止にする必要はなかったと思います。もちろん有価証券報告書に虚偽記載をしたら、上場廃止にできると書いてありますが、しなくても良いんですよ。


実際に有価証券報告書に虚偽記載をした会社でも上場を維持している会社はたくさんあるわけですよ。で、堀江が悪い、僕を何とかしたいっていうのであれば、僕を何とかすればよい話で、ライブドアを上場廃止にする必要はなかったはずです。


なぜなら、ライブドアはたくさんの現金を抱えておりましたし、たくさんの社員もおりましたし、事業は健全でした。実際、その後、バラバラにされましたけど、それぞれの今でもその会社は健全に商売をしておられます。何のために上場廃止にしたんでしょうね。


それも含めて、僕は証券取引所、検察、裁判所は反省していただきたいと思います。
僕は日本経済をダメにした責任は僕はあると思います。