シャワーを浴びている時でした
あの大きな揺れがきたのは
「カチッ」という音とともに電気はつかなくなりました

これはただ事ではない
そう思ってすぐに出かける準備をして
自分の働いている病院に向かいました
震度5以上の時はお休みの日でも出社するのです

病院についても余震が続きます
すぐに災害対策本部がたてられ、救護活動の指示がきました
医局に行って非常電源につながれたテレビから
信じられない光景が目にとびこんできました

絶望…

こんな無情なことがこの世にあっていいのかと
あまりの光景に魂が打ち拉がれるのを感じました

救護の準備をしながらも自分の家族の生存を願っていました
遠く離れて暮らす家族と連絡が取れたのは午後9時頃


あの日から、病院は変わりました
毎日毎日沿岸にスタッフが派遣されました
病院も少ないスタッフで患者さんの対応を必死でやっていました

私も避難所に行きました
何にもできない自分に腹が立ちました
私は神ではない
でも手を差し伸べてあげたい人は沢山いるのに
かける言葉がない
苦しみを和らげてあげたいけど
どんな言葉も行為も無力なのじゃないかと思いました


助けてあげたかった


私ができることなんて偽善でしかないと悟りました
でも偽善でもやらないよりはやった方がいい
そう思って自分にできることをしました


名前も知らない被災者の方の顔が未だに心から離れない
あの家族はその後どうしているのでしょうか
そして時々思うのです
どうか苦しみに負けずに幸せでいて下さい
どうか…どうか…





  3・11に寄せて