2023/07/08
これはノンフィクションです。
0番目のキッカケ
日曜日は、懺悔の日。
そして反省の日である。
今、僕の全てのブログ投稿を見て、
一体誰が僕の苦悩の真ん中の0が、
分かると言うのだろう。
「ふむふむ、貴方の言いたい事は
分かりました。でも結局のところ、
貴方の怒りの中枢にある怒りが、
何であるのか分かりません。」
いや実は僕もそれを知らないのです。
お恥ずかしながらこの、
我が怒りの中央にある怒りが、
我が怒りの0になる怒りが、
何であるか分からないのです。
ですからこれではないかなと言う、
事ならば、お話し出来ます。
貴方がそれで良いのであれば?
︎★♤
︎♧
それは今からおよそ30年前。
あの某国に行った、
3回目か4回目の旅の時です。
僕はその国の首都で旅費が尽き、
節約の為に、既にその頃には、
知り合って居た最初の家内と、
北部の田舎に節約疎開しました。
2人で1カ月1万円の安ゲストハウスを借り、
2人で本田のスーパーキャブを借り、
細々と旅の残りの日程を過ごしました。
毎日30円のラーメンを食べました。
毎日メコンと言う安ブランディを飲みました。
ある日僕はいつもの様にして彼女と、
スーパーキャブを2人乗りして、
夕方の田舎の街を走っていたのです。
良く覚えていないのですが、
僕はその日至極機嫌が悪かったのです。
良く覚えていないのですが、多分それは、
貧しい彼女の家の借金の事だったと思います。
それで何かを一生懸命探して居ました。
スーパーキャブのエンジンをふかし、
今まで行った事の無い道まで走っていました。
そうしているうちに僕達は、
ある大きなホテルに辿り着きました。
それは、この田舎に不釣り合いな、
駐車場の広い、至極立派なホテルでした。
駐車場にスーパーキャブを停めて、
僕はフロントに向かいました。
最初の家内は、僕を止めました。
「こんな大金持ちの行くホテルは入れない。」
と涙を浮かべ必死で僕に訴えます。
そう言われればそう言われるほど、
僕の胸の中で怒りが滾りました。
このホテルはキングの持ち物だと言います。
確かに僕は身分に鈍感な日本人でした。
でも僕の正義感はメコンから来たものでは無かった。
僕の頭の中ではこの前見た、
電気も無い彼女のあばら屋が、
今にも嵐で飛びそうな家の屋根が、
持病の心臓病で苦しむ家内の姪が、
甘ちゃんの僕の心を勇気づけました。
そうして僕は一人でフロントに向かいました。
その日の僕は市場に吊るしてあるTシャツ短パン、
腰に辛うじて外国人だと分かる黒いベルトポーチでした。
客の少ないホテルのフロントでしたが、
従業員の緊張感は高級ホテルのそれでした。
彼等は、この貧乏な外国人に身構え、
それでも平静を保ち、
マニュアルどうりの挨拶をしました。
さてそこからが覚えて居ないと言うか、
そこからが曖昧な記憶なのです。
僕の要求に彼等は丁寧にマニュアル対応して、
僕は多分、怒りを隠さず彼等に背を向け、
長いカウンター広い階段を降りて、
皮肉と嫌味を垂らしながら、
スーパーキャブと家内の所に戻った筈なのです。
いや、間違い無く2人でゲストハウスに帰りました。
前の家内はその頃には涙も消えて、
僕のスーパーキャブの背中で寝息をたてていました。
其れだけです。
其れだけなんです。
僕の記憶にある顔も知らない王室との不祥事は!
紙幣に印刷された眼鏡の紳士をそれが王様と認識したのも、
もっと随分後、就職して某国の駐在員になってからでした。
本当に他に何も思い当たらないのです。
話はここまでです。
次の日曜日はその後何があったのか?
僕の想像力を逞しゅうして、
フィクションで続けて見ます。
では、その日まで。
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