昔、景山民夫の翻訳した本を読んだ。
「スティーヴィーワンダー歌詞集」
と言う本だった。
まだ僕が障害者じゃない頃だ。
その1番最後の後書きに、
景山民夫がスティーヴィーワンダーとの、
待合せに早く着いてしまい、
手持ち無沙汰に彼のマイクを🎙、
弄っていた事が書いてあった。
その後スティーヴィーワンダーとの、
インタビューも終わり、
スティーヴィーワンダーは、
そのまま、その場でコンサートに入ったが、
一音目の鍵盤を押す前に、
少し困って止まってしまった。
舞台の影から、
それを見ていた景山民夫は、
顔から火が出る思いであった。
自分が弄んでいたマイク🎙の位置は、
盲目のスティーヴィーワンダーのために、
セットされていたからだ。
それを景山民夫が弄ってしまったのだ。
この一節を何故か知らないが、
僕は大変気に入っていた。
今、景山民夫は亡くなり、
僕は障害者になった。
ちょっとした物の位置の違いでも、
障害を持っていると酷く困る事を、
身を以て知った。
そしてそんな事を、
一つ一つ嘆かない事も、
そんな目にあったら、
爽やかに、自らで直す事を、
身を以て知った。