秋のプール
私には娘が3人いる。
上の2人は母が一緒の姉妹で、1番上の娘が高校に入るくらいの時、私と別れたので今は20歳前後、大学生だと思う。2番目の子はその2年遅れで生まれた。彼等は多分、母に何度となく聞いた筈だ。
何故自分達に父親が2人いて、
何故本物の父親とずっと一緒に居れないのか?
何故、母は2人の父親の家を、私達、娘を連れて行ったり来たりして、どちらとも仲良くしなければならないのか?
何故、この日本人に本当の父親のことを言っては駄目なのか?
を聞いたろう。この質問に答えるどんな教科書も参考書も無かったであろう。この行為を正確に伝えるお坊さんも居なかった事であろう。方便を正当化する人はゴマンといた筈だ。
16歳下の家内は彼等に言った筈だ。
「我慢するの。」
「私達の生活は夢のように開けるわ。」
「私達はね、一生生活に困らないの。」
「お兄ちゃんも、おばあちゃんも、ウイ叔母さんもみんなよ。田舎のみんなもね。そして、国の英雄になるの!」
この子供たちは、飲み込みが早かったのだろう。頭がよかったのだろう。こうして10数年、僕は一度だってこの事に気が付かなかった。その時プールで撮ったビデオを見直せば、3歳くらいの上の子が、カメラを見つめ📷助けを求めているように見えなくもない。でもただ、初めてのプールで水に怯えている様にも見える。私は完全に騙された。2人の娘の多感な少女時代と引き換えに。
2番目の子が幼稚園の時だったと思う。
家の中にフィットネスセンターがあり、よく4人で泳ぎに行った。何より人が少なくて、大きなプール。三段階の深さになっていて、それが空中から見るとミッキーマウス見たいにデザインされていた。そもそも家内は泳げないと言う公表であった。であるから、プールサイドでコーラと氷をつついていた。上の子は、プールサイドの出っ張りを掴んで歩くぐらいであった。2番目の子がお転婆で足のつかないところに、辞めろと言われても、足のつかない所に入っていき、確かにもう少ししたら泳げそうだった。
ちょっと目を離した隙である。
2番目の子がプールの海面に見えなかった。
今思うと5Mくらいの距離。
その辺りに束の間の静寂と悲鳴が聞こえた。
大人にとっても深い所なので、泳がなければならない。
そして彼女は水を沢山飲んではいたが、
僕の腕の中に収まった。
娘は、唇を青くして震えている。
その後のことをよく覚えていない。
ただ僕が助けなければ助からないか、
或いは家内が密かに隠し持つ水泳🏊♀️能力で助けたかもしれない。
もし、死んでしまったらどうしたか?
誰に怒るのか?😤
僕か?
家内か?
全ての苦労が水の泡と怒るのか?
自己責任なんて言って威張る人の、
これが本性であるから。
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