先日書いた記事(仕事には2種類ある。そして生産性の話。
)に対して、有難いことに色々とご意見をいただきました。
そこで「事務部門における生産性の向上」というテーマで、新しい記事を書いてみたいと思います。
はじめに
企業にとって、生産性は常に高めていかなければならない課題であるはずです。
私は自動車業界に身を置いていましたが、生産現場では徹底して生産性の追求がなされていました。なおかつ、不具合品の発生を極力排除していかねばなりませんから、本当にシビアな闘いです。
その一方で、(一般的にですが)事務部門では生産性を問われる機会はあまりないようです。だからといって、事務部門において生産性の追求が不要なのかといえば、そうではないでしょう。
「残業時間を減らしたい」、「効率的に仕事をこなしてもらいたい」といった経営者サイドからのニーズは少なからず存在しますし、そういったご相談を受けることもあります。
それでは、事務部門における生産性を高めていくためには、どうすれば良いのでしょうか。
そもそも生産性とは
生産性とは、「アウトプット/インプット」という算式で表現することができます。
アウトプットを「得られる成果」、インプットを「投下する時間やその他の資本」と仮定すると、既に保有している資本をどれだけ効率的に活用して、より高い成果を得ることができるのかというテーマだと理解できます。
つまり生産性を向上させようとする場面では、「インプットをいかに減らして同レベルのアウトプットを得るのか」、もしくは「同レベルのインプットでいかにより多くのアウトプットを得るのか」という二択を迫られることになります。
事務部門にとってのアウトプットとは、定例の帳票作成や他部門へのタイムリーな支援といったものが挙げられますから、インプットを減らすという視点に立った方がより現実的でしょう。
事務部門でインプットを減らすためには
では、事務部門においてインプットを減らしていくためには、どうすれば良いのでしょうか。
私は、具体的に次の3つの対策が有効だと考えています。
・業務マニュアルづくり
・上司のチェック体制の整備
・評価基準の見直し
それぞれについて、少し詳しく見ていきたいと思います。
・業務マニュアルづくりについて
マニュアルを作るためには、担当している仕事の棚卸が不可欠です。
どんな工程を踏んでゴールに向かっているのか、その仕事のゴールは何なのか、そしてその前工程と後工程との関連性について、テキストとイラストを活用して作成するように指示して下さい。
仮に、明日担当者が変わったとしても支障がないレベルまで充実した内容にすることができれば、それが理想です。
ただし、スタッフによっては自分の仕事のノウハウを公表することに拒否感を覚えるケースもあるようです。マニュアルづくりの目的をきちんと伝えることで、スタッフの理解を得るように心がけてください。
・上司のチェック体制の整備について
スタッフを率いる上司の方は、定期的に業務内容の報告を受けるようにしてください。
例えば毎朝のミーティングで、今日の計画と前日の実績についての報告を受けることを仕組み化してみても良いかもしれません。そして、それらに対してフィードバックを与えることが重要です。
ただし、仕事の仕方について一方的に押し付けるようなことは避けた方が良いでしょう。
私も経験がありますが、怒られると分かっているとやはりバッドニュースは隠したくなるものです。
バッドニュースにはインプットを減らしていくための貴重な情報が眠っている可能性があります。上司としては、いかにそれを引き出すかに注力したいものです。
・評価制度の見直し
意外かもしれませんが、評価制度に手を加えることが必要だと私は思っています。
これはスタッフ間のチームワークを引き出すための仕掛けです。
評価項目の中に、「他者の支援をどれだけ行ったか」など、スタッフ間での連携を誘発するような仕掛けを仕込むことで、結果的に職場全体でインプットを減らす効果が期待できます。もちろん、評価項目についてはスタッフに公開する必要があります。
まとめ
生産性を向上させるための取り組みは、地味で時間がかかるものです。同時に、スタッフの意識改革や育成につながるものでもあります。
御社の事務部門にイノベーションが起きることを願っています。