調理機器の熱伝導について1
1.伝導伝熱
素材による熱伝導率は一般的にはフーリエの法則に従い、
〔W/(m・K)〕で表します。
これを、簡単に説明しますと、物質の温度が高いほうから、
低いほうに流れる際に、どのくらいの速度で伝わるかを表す
基準とお考えいただければよいです。
そして、様々な素材により、熱伝導率は大きく変わります。
以下は、主な素材の熱伝導率です。
銅・・・・・・・・・・・398.00
アルミニウム・・・・・・237.00
鉄・・・・・・・・・・・・80.30
ステンレス(SUS405) ・・27.00
ガラス・・・・・・・・・・・1.03
陶器・・・・・・・・・・・・1未満
油・・・・・・・・・・・・・0.143
天然ゴム・・・・・・・・・・0.13
水・・・・・・・・・・・・・0.61
空気・・・・・・・・・・・・0.025
(ちなみに最も熱伝導率が高い素材の代表格に、ダイヤモンド
があります。ダイヤモンドの熱伝導率は、1000以上です。)
お肉を柔らかくする科学2
筋原繊維タンパク質・筋形質タンパク質・筋膜(主にコラーゲン)これら、3つのたんぱく質の熱変性温度が異なります。
筋原繊維タンパク質は、45℃~50℃程度で凝固
筋形質タンパク質は、55~60℃程度で凝固
コラーゲンは、65℃程度で凝固
まず、筋原繊維タンパク質が、温度上昇に伴い凝固し始めますが、この段階において、水溶性の筋形質タンパク質は凝固していないため、噛むと柔らかく感じられます。
(レア―やミディアムステーキが柔らかいのは、この辺り)
肉の温度が60℃に近付くにつれて、筋形質タンパク質が、熱凝固をはじめて、筋原繊維を結束させてしまうので、噛むとかたく感じられます。
さらに、65℃を超えると、コラーゲンが、いったん最大で1/3程度まで縮み、肉全体を結束させ非常に硬く感じさせます。
しかし、75℃を超えるとコラーゲンは溶け始めて、ゼラチン化が進むため、再び柔らかくなります。
ただし、レア―ス テーキとは、全く異なる柔らかさで、筋原繊維タンパク質と筋形質タンパク質は、凝固した上での柔らかさになります。(筋原繊維タンパク質と筋形質タンパク 質に関しても、加熱を続けると、細胞破壊による軟化は見られますがレア状態とは全く異なる柔らかさを呈します)
更に、煮過ぎるとコラーゲンが溶け出てしまい、肉を結束する力を失い、肉がバラバラになってしまします。長すぎる加熱や圧力鍋での調理など注意が必要です。
それぞれの、肉の種類により熱変性温度も若干異なり、また筋肉タンパク質(3種類のたんぱく質)の構成比率も異なるのが、肉それぞれの独特な食感になっています。
これらの、柔らかく仕上げる4天王の力も借りて、そして熱変性温度も上手く理解して、美味しく柔らかいお肉料理作りに役立ててください^^
お肉を軟らかくする科学1
Point1 コラーゲンが肉の繊維組織を束ねて、肉を塊にしています。
Point2 コラーゲンは堅くなる → さらに加熱すると柔らかく、美味しさを感じさせる。
Point3 たんぱく質を分解すると柔らかくなる
肉を軟らかく仕上げる四天王!!
砂糖:お肉の下ごしらえに砂糖!?と、思いますが、調理前に肉に砂糖を揉みこんでおきますと、水分が砂糖に引き寄せられた後に、コラーゲンと結合をします。 タンパク質と水が結合をすると、コラーゲンが溶けだしにくくなりますので、肉が柔らかく仕上がります。逆に圧力鍋などで、加圧加熱を行いますとコラーゲンは非常に溶けだしやすいので注意が必要です。すき焼きや、肉じゃがなど、甘味のある多くの肉料理の砂糖には、味付けのほかに肉を柔らかく効果もあるのですね。
果物:パイナップルのブロメライン、キウイのアクチジン、イチジクのフィチンなど、果物が持つ酵素を利用して、タンパク質を分解する方法はよく知られています。
加熱済みの果物(缶詰など)には、効果がありません。 生の果実をミキサーなどでジュースにして漬けこんでから調理するとよいでしょう。使用量は、肉の重量の5~10%程度あればよいです。
重曹:アルカリには、タンパク質の分解を助ける作用があります。 30分ほど重曹をまぶしておきますと、肉繊維組織を破壊して、肉を軟らかくすることができます。
苦みやエグ味もありますので、調理前に洗い流すとよいでしょう。
酢:酸にも肉を軟らかくする作用があります。肉は酢に触れると、タンパク質分解酵素が活発に働きます。肉を固着させているコラーゲンが溶けやすい状態になりますので、柔らかくなります。
どれを使うかは、甘みを気にしない料理は砂糖を、酸味が入る料理には酢を、という風に、お料理の仕上がりの味に合わせて決めるとよいでしょう。
おいしさの科学と錯覚
苦さの美味しさの科学をご紹介します。
美味しさの評価方法に閾値(いきち)、があります。
例)高齢になると、味覚の閾値が上昇する。
例)閾値が低ければ低い程、感じやすい。
食べ物の味覚の閾値の様々で数値化もできます。
塩味は、0.4
苦味は、0.00008
と、評価されるデータもあります。
すなわち、苦みとは毒を感じさせる味であり、低い数値で反応しないと困るのです。
本来、苦味は毒を感じるための、自らを防御するための味覚ですが、この味覚は、食の多様化が進めば進む程、認識ができるようになるようです。
そして、苦みとは、体験・学習により習得できる、いわば大人の味覚なのです。
苦くないビール
苦みの無いチョコレート
子供は、ビールより、甘みばかりの炭酸飲料。 チョコでも、ホワイトチョコなどを好みます。まだ学習が浅いせいですね。
閾値の話に戻りますと、検知閾値=(何か、味がするような点)と認知閾値=(しっかり味を感じる点)とがありますが、実はこの検知閾値と認知閾値の中間点に来る程度の量の、苦みを料理に添加すると、その料理の旨みを非常においしく感じるのです。
苦みではありませんが、酸味も一種の自己防御の味覚のひとつですが、ラーメンに少しだけ、酢を入れると美味しいと言う人がいます。
これも、酢の検知閾値と認知閾値の間の量の酢を加えることで、ラーメンのうまみ成分を更に引き立てさせる、いわば錯覚効果なのです。
食べ物には錯覚も非常に重要なことがわかります。