大喧嘩!!…②

1ヶ月以上前の

…つづき

お母ちゃんの認知症は
物忘れより異常行動が多かった

結構きれい好きだったお母ちゃんだが
家の周りにツバを吐きちらし
温泉に行った時ホテルの廊下で
ツバを吐く
挙げ句の果てには家の中でも
ツバを吐いていた

お母ちゃんがまだ、普通だった頃…
お母ちゃんはお父ちゃんに対して
あまり良くしてあげていなかった

外での力仕事のお父ちゃん
休みなく働く事もあったから
たまのお休みくらいは
家でゆっくりしたかっただろう
でもお母ちゃんは休ませてあげなかった
お母ちゃんも仕事をしていたから
家事を手伝って欲しいというのはわかる
でも掃除機かけてもらって
外の草取り…
今日はここまでなんて休んでたら
あっちもこっちもと言う…

冬でも同じ…
半日雪掻きしてぐったりしてても
裏の雪や車庫の上の雪を出すように言う

お父ちゃんが家に入れば
必ず何か言いつける

休む暇のないお父ちゃんは
車の中で過ごしていた事も
珍しくなかった

お父ちゃんのお小遣いも少なかった
外仕事の方はわかると思うが
夏場は水分とらなければならないし
喉もカラカラになるし
順番ではないけどそれぞれ
みんなの分も買ってきて
渡しあって喉を潤すのだ
冬場も温かい飲み物…
お父ちゃんはあまりそれができずに
惨めな思いをしていたらしい

その怒りが爆発したように
あまり怒った事がない
お父ちゃんは
あまりに酷いお母ちゃんの
行動に腹を立て
お母ちゃんを叩くようになった

一度やってしまうと
またやってしまう

お母ちゃんはここには書けないような事もいっぱいした
お父ちゃんついに
お母ちゃんの首を絞めてしまった
シュウが気づいて止めた

お父ちゃんストレス溜まってたんだな
何年も何年も
なんでお父ちゃんには
厳しかったんだろ

お金がなかったわけではない…
お母ちゃん自分の服などは
季節毎に買ってたし
何かあったらお金くれてた…
シュウの誕生日
孫の誕生日
全部お金だ

シュウは嬉しくなかったな
一緒に見に行って買ってくれる
方がいい
安くたっていい
これかわいいね
これもいいな…なんて話ながら
楽しい時間を過ごしたかったのだ

自分の中では一番大切だった
20歳の誕生日は忘れられてたな
その頃シュウはパニック障害になりたてでずっと家から出られず
出る時は病院に行く時だけ

なんかいろんな事
5歳上の姉ちゃんと比べてたな…
姉ちゃんが小さい時
お母ちゃんは離婚して
姉ちゃんもかわいそうな思いを
させたらしい

だから姉ちゃんはいつでも
かわいそう
シュウは強いから大丈夫なんだって

成人式も姉ちゃんは着物を借りて
おすましの写真とって式に出て
シュウはお声がかからなかったから
成人式には行っていない
写真も撮ってない
成人式も誕生日のように忘れてたのかな
お母ちゃん…

結婚式も姉ちゃんは盛大に
やってもらって
シュウはやっぱり結婚式の話は
出なかった

どれもお金のかかる事だから
自分からは言えなかった

お母ちゃんは
事務的な事だったり
何か迷った時
困った時
頼りたい時はシュウに言うけど
いろいろしてあげたいのは
姉ちゃん

それはかわいそうな思いさせたから…

お父ちゃんに失礼だな
お父ちゃんは姉ちゃんの事
自分の子供のように育ててたのに
姉ちゃんの子供が産まれた時
俺に似てる
とツッコミ入れたくなる
ような事言ってたお父ちゃん
スゴイなって尊敬してしまった

でもシュウだって
お母ちゃんに相談したり
いろいろしたかった
強いから大丈夫と言われて
言えなくなってる自分もイヤで
最初から頼ったりするのをやめた

だけど…
淋しかったんだ

ただただ淋しかった…

そんな話をおばはんに話してた
そしたらいきなり

『あんた!
　だから親を恨んでこんな事
　してるんじゃないよね!?』

と言われた。

こんな事と言うのは
1年以上も精神科に入院させて
いるという事

お父ちゃんが首を絞めてしまった頃
お母ちゃんはシュウやお父ちゃんの
お金をとったり
スーパーで万引きして捕まったり
してた

ある日お父ちゃんが出掛けた隙に
いなくなった
また万引きしてるんじゃないか
とかいろんな事考えながら
シュウは探し回った
パニック発作が出ても
探し続けた

結局近所の内科にいた
帰ろうと言っても
痰がでるから
と言って動こうとしない
痰は肺の病気で診てもらってる
大きい病院で診断を受けている
だから内科に行く必要はないのだ

その日はたまたま見つかったけど
お母ちゃんがいなくなっても
シュウは探す事ができない!!
そう思った時
このままではマズイと
とてもヤバイ状態なのだと気付き
すぐに地域包括センターに
電話で相談した

とても丁寧な対応で
隣接してる介護施設の
ケアマネを紹介してくれた
そのケアマネに全部話すと

『施設ではなく病院に入院ですね。
　まずは今の異常行動を
　落ち着かせないと。
　それも緊急にです。
　お父様の事もありますから…』

と言われて
次の日当時通院していた病院に
朝一で行った
センターの女性とケアマネも
一緒に来てくれた
とても心強かった
今まで自分が全部やらなくては
いけないと思ってやっていたから

師長さんも
『こんなに酷くなってたなんて
　気付いてあげられなくて
　ごめんね』
と言ってくれて
二人で泣いた

その病院は精神科の入院病棟がなく
他を探してもらった
なかなか見つからなかったが
ケアマネがいろいろ動いてくれて
その日の午後に
受け入れてくれる病院が見つかり
その足で向かいそのまま入院になった

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大喧嘩!!…①

実は1ヶ月ほど前だったかしら…
親戚のおっさんおばはんと
大喧嘩しました

この親戚
お母ちゃんの兄とその嫁

お母ちゃんは6人兄弟の末っ子
おっさんは長男
おばはんは昔ちょっと意地悪で
お母ちゃんが娘時代
仲があまり良くなく
しかし一緒に住んでいるから
関わらないといけなくて
ばあちゃんがいじめられていたのも
根に持っていて
尚且つそれを知ってるおっさんは
おばはんには何も言えないという
それもお母ちゃんにとって腹立たしい

じいちゃんが亡くなった時
結構な遺産があったらしいが
他の兄弟で話し合い
長男夫婦に全部渡すのが一番
スムーズにいき
これから面倒な文句なんかも
でないだろうという事で
ぜ～んぶあげちゃったらしい

それもお母ちゃんは事ある毎に言って
だからあのウチだけ金持ちなんだ!!と
悔しそうに言っていた

シュウにとっては正直そんな事
どうでもいい
だからウチはご飯が食べられなかった
わけでもないし
シュウの知ってるおばはんは
もう普通のおばはんだから
意地悪な印象もないし
べつに…なのだ

お母ちゃんの兄弟はほとんど
札幌にいて
みんななんとなく仲良くやっていた

しかしお母ちゃんは兄弟の悪口を言う
物をもらう時だけ良い顔するお母ちゃん
の方がよっぽどたち悪いとさえ感じていた
だから表向きは仲良し…

そんなお母ちゃんも65歳くらいから
鬱になり
家族の中で闘いが始まった
1、2年して
症状的に認知症ではないかと
疑っていたシュウは先生に
話してみた

認知症の検査的には
当てはまらないのだが
症状としてはもう認知症だね…
鬱だと思ったら認知症だったって事
と診断された

その時すでに家の中は
大惨事がはじまりかけていた

つづく…

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