カチン


カチン


裏の山から

椎の実が落ちて

屋根にあたって

音をたてる


カチン


カチン


その音を聞いていると

在りし日の父を思い出す


一緒に住んでいた頃

この音に気づいた父が

「椎の実を拾ってこい」と

決まって言っていた


足腰が弱くなって

自分では自由に歩けなくなって

家で養生していた父

必然的に

一緒に居る時間が増えた

私達家族の

貴重で幸せな時間だったと思う


今、

同じ家に一人居て

あの頃と同じ音を聞いている


無性に

父に会いたくなる