いわし事件
近所にとても新鮮な魚屋があった。大体昼2時位に採れたてを搬送して来て店を開ける。
開店前には良い魚を求めて料理人だろうなって人もちらほら、白い作業着で並んでいる。
たまに無料の小魚や小海老や子イカなども樽いっぱい置いてあるから、頂いては南蛮やかき揚げ、エビチリなどのおかずにさせてもらっていた。
活気のあるお店なので行くだけで楽しい。
「鯖買うて来て」
命令された。田舎は安いと必要以上に買い込み、森林家のエンケル係数は右肩上がりだ、早速鯖を言われた程買い込み、帰った所に森平も帰って来た。
「鯖も綺麗だったけど、今日はいわしが一番安くて美味しそうてしたよ。」
と言った私に、怪獣と森平が入れ替わり怒鳴った。
「なんでいわしを買うてこんかったんや?!?!」
「ほんま、気の利かん子やな⋯」
二人でクレームを言っている。
嗜煮を食べたいからと鯖を指定したのは誰か?いわしを買って来たとしてもなんで指定した魚を買って来ないかとクレームになるのも目に見えている。
いい加減にして欲しい。
かわいい息子に美味しいものを食べさせたいのはわかる。
ただ毎日毎日外食の様に買い物をしていたら一般市民がどうなるか。
とうとう4人の食費(3度の飯+酒代)だけで月15万が飛んでしまった。
そのまた翌月も15万が飛んでゆく。金持ちじゃないのですから、勘弁してください。
たまには、無料の魚で勘弁して下さい。たまの昼飯位御茶漬けと漬物で勘弁してください。
生協の食パンで我慢して下さい。
勘弁して下さい。
勘弁侍のヨエコだった。
つづく