渋谷とチームと
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あと一ヶ月

シュンと遊べるのも残す所
あと一ヶ月であった。
事実上、土曜は四回しか無いので
あと四回となる。
ミタロウはシュンと同級なので
特に寂しいだろうが、何事も無いような振る舞いであった。
マサキもマモルも至って普通にしていた。
そんな訳で私も普通にしていたが
仕事が忙しいらしいマモルは参加出来ないようだが
一泊で河口湖にブラックバスを釣りに行く予定を立てた。
私達らしく、行き当たりバッタリの宿も取らない
そんな旅行である。
「来週は河口湖に行こう」私は皆にそう言うと
シュンは、とても喜んだ。
来週は、チームで初めての地方への
しかも釣り旅行となった。

言える訳が無い

シュンの事が気掛かりな私は、早々と渋谷に着くと
ペッパーで気もそぞろに、いつもの酒を煽っていた。気が付くと、マサキもミタロウもマモルも早めに来て
三人押し黙り酒を煽る。
どの位たったかなぁ
場の雰囲気をガラリと変える明るい男がペッパーに現れた。
そう シュンである。
「スイヤセン、スイヤセンどうもスイヤセン」
シュンは、面白い弁当屋の物真似をしながら
ご機嫌で席に付くなり、ビールを一気に二本飲み干した。
私達は大笑いしながら、二時間程呑んでいると
シュンが、そろそろFANに行こうと言った。
皆が席を立とうとするから私は切り出した
「皆ちょっとまてぇや、肝心な話してねぇべ」
面倒な事はいつも私の役目だが
出来ればシュンに聞きたくなかった。
「シュンよぅ、外国へ転勤ってマジかい?」
「俺達に黙って外国いくんか?」
マサキ、ミタロウ、マモルは席に深く座り直して固唾を飲む。
シュンは伸びた揉み上げを捻りながら
バツが悪そうに、それでいながらいたずらっ子のようにこう言った。
シュン:「あぁそだよ」
「悪いんね、海外長期出張の話が来たからもう受けたんよ」
「もう来月には行かなきゃいけねぇんよ」
私:「なんでそんな大事な事をもっと早く言わねぇんだよ」
シュン:「チーム皆の顔みたらこんな事、言える訳ねぇんべよ」
マサキ:「リーダーよぅ、シュンが男として自分が決めた事だよ」
「もうごちゃごちゃ言うのよそうぜぇ」
マサキが締めてくれたおかげで
また笑いながらFANに行く事となった。
本当は全員が気持ちに遣る瀬なさを感じていたろう。
来月には、もうシュンはこの輪にいないのだ。

ミタロウからの呼び出し

行きつけのレッドペッパーに集まる時には、時間にルーズなマサキはさて置き

シュンなどは待ち合わせの2時間も前から呑んでる事もしばしばで

そんな感じでいつも楽しく皆で酒を酌み交わしていた。

また私はミタロウと二人、すなわちサシで呑んだ記憶がこの頃までには無かった。

ところがこの日は、珍しくミタロウから私に誘いの電話があった。

ミタロウはこう言った「兄貴!今日はサシで新宿で呑みましょうよ!!」と

たまにはミタロウとサシでやるのもいいかな?位の気持ちで私は待ち合わせの新宿まで足を運んだ。

新宿の裏通りに、たまに行くBarが有ってそこで呑むことになったが

サシで呑むと何故か大人しく、ミタロウは「はい!そうですね!!」しか言わない。

二人で珍しく押し黙ってカクテルを呑んでいたが

おもむろにミタロウはバーボンをロックで注文しクイッと飲み干した。

するとミタロウがこう切り出した。

ミタロウ「兄貴!志藤(しどう:シュンの苗字でミタロウはシュンの事を苗字で呼んでいた)の事

      聞いてますか?」

私    「おいおい!また女絡みかぁ?」

ミタロウ「違いますよ!転勤で、が・が・外国・・・行くらしいっすよ」

私    「マジで!?そんな大事な話を、俺達にしないの可笑しくねぇか?」

ミタロウ「シュンの会社の人に聞いたから間違いないっすよ」

私  「・・・・・」

とりあえず私もバーボンをロックで呑んでみた。

明日は土曜だから、ペッパーに皆で集まった時にシュンに直接聞いてみる事になり

その日にマサキとマモルには私から電話でシュンの事情を説明しておいたが

なんとも胸に支えた一日となった。

女人禁制

この頃はチーム:屑虎党はマモルを加えて五人となっていた。
そしてレーコもよくFANに来るようになり
屑虎の皆と随分と仲良くなっていった。
そのうちレーコは屑虎に入りたい言い出した
私の事を親しみを込めて「お兄ちゃん」と呼ぶレーコに対して私の対応は甘かった。
しかしチームの大番頭、マサキは冷たくこう言い放った。
「屑虎に女は入れらんねぇな」
マサキは話を続けた
「マサ(私の名前)は甘いから、はっきり言わなぇだろうが屑虎は女人禁制だ」
マサキの作った屑虎の最低限のルール
女人禁制と薬物厳禁と喧嘩上等・・・
リーダーの私もミタロウ、シュン、マモルもこの掟に従った。
と言うのもマサキは誰よりも屑虎を愛していたし
いつも私を庇い、そしてサポートしてくれる掛け替えのないダチでもあった。
レーコは不貞腐れていたが
「レーコと俺達はいつまでもダチだろう、それでいいじゃねぇか!」
と皆で言うとレーコも機嫌を直したのだった。

その日の朝、マサキが私にこう言った
「マサよぅ来週はレーコもペッパーに呼ぼうぜ」
マサキなりに気になっていたらしい
さすがは屑虎の大番頭だと私は思った。
今でもマサキはだらしないのが玉に瑕だが
私にとって最高のダチである事に変わりは無い。

レーコ登場!!

シュンがFANで知り合った女性の一人と
その女性がいつも通う美容院のスタッフの話になったと言う。
すると偶然にも、そのスタッフが
シュンの高校時代の憧れの先輩であると判明!
シュンは嬉しそうに皆に来週はFANに
自分の先輩が来る事になったと話をした。

翌週になり、いつも通りペッパーで呑んでからFANに向かう。
しばらくすると、シュンの先輩が幾人かの後輩を引き連れて現れた。
シュンは大声で叫んだ
「レーコさぁん」
シュンの先輩はスラリとした長身で
化粧の映える美人な女性であった。
ビールを片手にセブンスターをプカリと
男勝りの、この美人こそが後のチーム:未完成の
成長を手助けしてくれる私の妹分になろうとは
この時は知る由もなかった。

シュンは屑虎のメンバーをいつものように紹介して
皆でテキーラをカツンと乾杯したら
レーコと私達はすぐに意気投合して
朝まで呑んで踊り狂った後で一つの疑問が浮かんだ
美容師のレーコと、その後輩は日曜は休みでは無いのだ。
レーコに聞くと家で着替えたら直ぐに仕事に行くと言う。
久々に自分好みの熱い女に出会った日であった。
帰り際にレーコは私に
「お兄ちゃん!また来週ね!!」
こう言うと颯爽とスクーターにまたがり帰って行った。

シュンの後輩

私とマサキとミタロウは、基本的には一匹狼みたいなもんで

他の仲間は地元に帰ってもほとんど居ない。

しかし屑虎の仲間だけで余計な奴は必要なかったのだ。

ところがシュンだけは違っていた。

シュンは友達が多いし後輩も実に多い、そんな事も有りシュンが後輩も育てていこうと言って

ペッパーに色んな筋の後輩を連れて来始めた。

その中には面白い後輩もいて、結構良いかな?なんて思う奴もいたが

ミタロウは上下関係に厳しく、しかも気難しいタイプなので

ミタロウより3つ歳上の、私とマサキのグラスに酒が入ってねぇだとか

俺の酒がもう呑めねぇのか、なんて言うから回を重ねるうちに後輩連中は少しづつペッパーに来なくなった。

ところがいつまでも来る後輩が一人だけ残った・・・

この後輩、最初はパッとしない感じの目立たない地味な存在で

次回にコイツとはもう合うことは無いだろうとさえ思っていた。

しかし暫くしてそれは間違いで有ると気づいた!!

ミタロウに何を言われても淡々とこなし、FANまで付いて来ては私達に紛れ騒ぐ始末だ。

この後輩が、屑虎党の末席に座る事になるマモルである。

マモルが後にチーム「未完成」二代目リーダーに就任する事になるとは

この時は誰もが知る由も無かった。



切り札「JOKER」

この日は、シュンが合コンの帰りだと言う

私達がペッパーで飲んでいると女と同伴でシュンが現れた。

シュンはこう言った「紹介するよ可愛いだろぉこのコ、そんで俺の兄貴にマサキ君にミタロウ」

皆でシュンをからかいながら一頻り飲み終えると

マサキが「そろそろ俺達はFANに行きますよ。シュンはヨロシクやって下さいよ。」と言う

シュンは「俺も行くがなぁ」と言うので相手の女も一緒に行く事になった。

FANでもシュンはイチャイチャしていて、今夜のシュンは女が大事のようだった。

今一盛り上がらないうちにFANはクローズとなり

するとシュンは女といつの間にか消えていた・・・

私も兄弟達もその日はFANからは真っ直ぐ帰った。


その翌週は私とマサキとミタロウで飲んでいた、するとシュンが一人でペッパーに現れた。

私達はシュンが来てくれた事に喜び酒を煽った。

酒が回りだすと、シュンがこう切り出した

 シュン:「こないだの女の子なぁ、本気になっちゃったんよ・・・俺は彼女は欲しくないんだよねぇ」

 マサキ:「シュン気にすんな!とりあえずFANで騒ごうぜ!!」

 ミタロウ:「はい そうですね。。。」

私は嫌な予感がしていた。

しかしこの日は何も無く終わったのだった。


そして、そのまた翌週に何時もと変わらずペッパーで皆で飲んでいた

するとペッパーのマスターがシュンを呼ぶ「シュンさんにお客様みたいですよ」

シュンはオタつき「居ないって言ってよマスター・・・、兄貴頼むよぉ」

そう言うと、次の瞬間にシュンはペッパーの最奥へと逃げる。

其処に女が入ってきた

マサキとミタロウは何も知らないと言ったシレーっとした顔をしている

私は席を立ち、その娘と話をした

 私:「シュンとなんか有ったのかい?」

 女:「なんか嫌われちゃったみたいで・・・」

 私:「そんな事無いと思うよ、でも困ったらなんでも僕に相談しなよ只なぁシュンを縛らないでやってあげて」

 女:「ありがとお兄ちゃん、でももうダメかも」

 私:「そんなに悩まないで、僕達はいつでも此処で飲んでるからさぁ」

 女:「本当にありがと、今日は帰るね」

話はまとまり女は帰っていった、それを見てマサキとミタロウはニヤニヤしてやがる

相変わらず女には冷たい野郎共だ。

するとシュンがサッと戻ってきてこう言った

 シュン:「アニキィはやっぱし凄いんなぁ!!これで別れられそうだいなぁ」

      「やっぱり兄貴は切り札だよ!JOKERだよ!!」


それ以来、私の顔を見たら最後だなんて話がでかくなり

私は切り札「JOKER」なんて言われる様になったのだ。

屑虎と音楽と酒

音楽が好き酒が好きって言う屑虎党のメンバーだ

屑虎党を正式にチームとして発足してから、それに拍車が掛かった。


そんな訳で毎週末FANで酒を飲み、踊り狂うわけだが

他の常連客なんかとも随分と親しくなれて、楽しさも倍増していった。

またその頃から、私達屑虎党は名前も少しづつ売れてきて

興味を持つ女の子から声を掛けられる事もでてきた。

元々女好きな兄弟達だから、随分と女も口説いたように記憶する。

シュン、ミタロウ、マサキと三人共良くモテた

この頃は三人ともカッコ良くて人を引き付ける魅力が強くあった様に思う。

それでも私を含めて全員、特定の彼女は作らず男と女の駆け引きを楽しんでいた。

時に兄弟達と女を取り合ったり、誰が一番モテるかなんてゲームしたりした

と言うのも女の子とデートするより、屑虎党の兄弟達で

最高の音楽で酒を飲むのが皆好きだったからに他ならない。


これから先も、最高の音楽と美味い酒をこよなく愛する姿勢は変わる事は無いだろう!!

腐っても虎

久々の心の兄弟達の再会から火が付き

土曜になるとレッド・ペッパーで酒を引っ掛けてから、FANへ4人で行く機会が増えた。

灰汁の強い4人だから、程なくしてペッパーでもFANでも顔が売れて人気が出てきた

そうすると決まってこう尋ねられる「4人はどんな関係なの?」ってね

最初はダチだの兄弟だのって返答する訳だが、私の中では、しっくりこなかった。

そんなFANからの帰り道にシュンが、今日は自分のアパートにみんなで来ないかと誘ってきた

勿論みんなでシュンのアパートに行ってふざけながら雑魚寝をした。

どの位寝ただろうか、目が覚めてからコンビニで弁当を買ってみんなで食べた

食べながら私はこう切り出した

「俺達よぉFANの客とかにどう言う関係か良く聞かれるじゃん?

 4人でチーム創らねぇか?」

すると皆賛成してくれた

そしてチームの名前をどうするか皆で話あった

私とシュンとマサキの三人でアーでも無いコーでも無いなんてやってると・・・ミタロウが

ミタロウ「腐っても鯛・・・俺達は一人一人は屑みたいなモンだよな?屑でも4人揃えば虎のように強いよな?」

シュン 「それいいねぇ!!」

マサキ「お!悪くないですね!!」最年長者がなぜか敬語・・・

私「キマリだ!屑虎党!!そしてリーダーはどうするかい?」

皆がフッと笑うとシュンがこう言った

「そんなん兄貴に決まってんべがなぁ!!」

ここにチーム・屑虎党が誕生した。

タバコに火を着けて、少し落ち着いてから私はこう言った

「これからもよろしく頼むぜ兄弟達!!」

するとマサキがトンっと軽く私の胸を拳で叩いた

私がその拳に拳を合わせると、シュンも拳を合わせた

照れ屋なミタロウが無視しているとシュンが叫んだ

シュン 「おい!ミタロウ!!」

ミタロウ「分かったよ・・・」

ようやくミタロウも拳を合わせた

四つの合わさった拳は私達の結束の証である

それは、この時から8年経った今でも変わる事が無いと私は信じている。

帰り道

帰り道に、寂しがり屋のミタロウは決まって何処かに行きたがった。

FANの帰りの途中にファミレスのジョンソンが有ってそこに寄った。

兄弟達も私も、たいして選ばずに注文は決まる

全員がイタリアン・ハンバーグのセット・・・

皆その頃はまだ若かったから、朝からでも関係無く食べた。

相変わらず取り留めの無い話をするが、大抵シュンと私が冗談を言って

みんなで笑ったものだった。

最後はマサキが何処でも寝るもんだから

それで、お開きになる訳だ。

眠そうなマサキを連れてジョンソンを出て、駅に向かう

寝て起きれば、明日は仕事だ。

サタデーナイト・フィーバーかぁ・・・

まるでジョン・トラボルタになった気分だぜ!!

私はそう心に呟いた。

気が付くと渋谷駅に着いていた

全員乗る電車が違うので、ここでお別れだ。

私が少し皆から離れるとシュンが私に何か奇声を掛けた

「おぅ またな!!」

私はそう答えて、地下鉄へ続く階段を降りた。