月下の一群第1集の5曲目は1985年の全日本合唱コンクールの

課題曲にもなった“秋の歌”です。


タイトル通り、秋という季節の持つなんともいえない切なさ・物悲しさを

歌い上げる曲ですが、曲は前曲“海よ”の最後の達観を引きずるような

レントによる物憂げな始まりで、ピアノ伴奏は最小限にして合唱をじっくりと

聞かせます。

「時の鐘鳴りも「~から「涙は湧く」まで8小節のアカペラで前半を終えた後、

ピアノのアルペジオが入っていき音楽は次第に熱を帯びGマイナーの9thの

音色「かなたこた 吹きまくれ」で再びクライマックスを迎えます。

ffまで膨らんだ音楽は最後はまたppまでディクレシェンドしてゆきバロック

ぽいピアノの和音が静かに曲を閉じます。

(バロック音楽ってそういえばそれだけで秋っぽいですよね。

ポップスでも秋っぽさを出すためにバロック音楽風にする手法がよく用い

られますが・・・何故バロック音楽は秋っぽいでしょうか?)


前回の“海よ”の所でも書きましたが1集全体としてみた場合やはり

音楽的なピークは4曲目で間違いないと思いますがしかし“海よ”で

爆発した満たされない悲しさのようなものを再度確認するようなこの

秋の歌というのは不思議な存在感が有ります。

月下の一群が建前上組曲ではないのは百も承知ですがしかしこれは

組曲として見た場合はなかなか面白い構成に思えます。


月下の一群シリーズは5曲目が曲集全体の後奏みたいな所が有りますが

この秋の歌もそんな印象を受けます。


誰も知らない楽曲なんて書いてますが月下の一群第1集は合唱曲としては

実は結構人気の有る部類で、多分次の2集からは合唱ファンでもあまり

良く知らない人が多いかも知れません。

3集まで熱心に聞き込んでるのはもしかして私ぐらいかもしれませんが。


ということでまだまだ続く。