月下の一群第1集の2曲目は3拍子による軽快なワルツテンポの「輪踊り」

です。


徹頭徹尾明るく・軽やかで、全く邪気の無いシンプルな平和賛歌を歌い上げる

曲ですが、実は南弘明氏は現代合唱曲が陥りがちな難解な和音やリズムの

構成のためにメロディーが犠牲になることをこの曲集では行わず、奇をてら

わない曲づくりをしています。

ことによるとそれはそれは“俗っぽい”曲になることに繋がるかも知れませんが

しかしあえて良い旋律を作ることから逃げないで内から湧き上がる自然な

メロディーに素直に従って曲を作るとこの曲のように例え和声的にまったく

難しくなくても名曲は生まれることをこの「輪踊り」は教えてくれます。


この曲は詩が3部構成で

1.“世界中の娘さんたちがみんな~”

2.“世界中の若者たちがみんな~”

3.“世界中の人たちがみんな~”

と女性から男性、そして男女の垣根なく人々が手を取り合う理想郷を

思い描く歌詞ですがこの曲ではメロディーの4回目のパートで上記1・2・3を

同じ縦のリズムの中で組み合わせるという手法を取っています。


あとこの曲はメロディー自体はまったく難しいものでは有りませんが、ほぼ一貫

して主旋律を担当するトップテナーパートは結構上下の音の動きがあり発声

は以外とおそろかにはできない曲のような気がします。

合間合間のピアノソロでの伴奏も中々工夫が有って、開放感や高揚感に満ちた

心躍る良い曲です。


3曲目に続く。