2月24日の埼玉大院・田中規夫教授の講演「落合川の旧川の機能を考察する。」は当日強風と寒さのため聴衆は少なかったのですが、中味は大変濃い充実したものでした。概要は

 旧川の持つ治水機能の一般論

 武田信玄の霞堤の治水と貯留機能

 荒川上流の横堤と越流堤

 東京都・空堀川・柳瀬川の旧川を生かした実例

 同埼玉県・市野川・北海道・釧路湿原の蛇行流路の修復・自然再生

 2路流路方式の理論と図解〔主流・本流と分流の流れ・速度等)

 落合川の数値計算上の旧川の治水効果は

2流路方式は本川流速の約50%。分流を半分にすると〔分流分岐点を半分に閉めると)やく20%になる。霞堤方式〔分岐点を締め切る~上流の旧川の入り口を埋める〕の場合、背水影響で水が入ってくるだけなので、旧川の流速は問題にならない。

 ということは落合川の今回の工事の旧川の入り口は本川の半分くらいであるから流速は本川の20%位で洪水での護岸の心配はあまりない。事実今までなんでもなかった。ましてや上流を締め切った場合の下流合流点からの浸水は単に水かさの増すだけで問題にならない。

 ということを数値計算で証されたのである。これは私たちが北北建との交渉で主張してきたことを専門家の見地から保障されたことであるが、この講演の企画が残念なことには一歩遅く工事の阻止には間に合わなく工事は実施されてしまった。後は裁判官の判断にこの講演要旨をどう提供するかの問題となった。

 2月12日第三回公判があり、被告都側が昨11月27日の第2回公判での原告の訴訟の正当性の論拠と都の工事の違法性の陳述に対して工事の正当性を反論した。それまでは、都は原告を訴訟の正統性がないと裁判所の門前払いを期待していたのが裁判長が原告の主張を正当に扱うものであるからやっと工事の正当性と手続きの正当性を述べだしたので双方の言い分が同じ土俵にやっと乗ってきた。

 被告・都は旧川を残した場合に新たな治水対策が必要な理由を述べているが上流を締め切って埋めた前提でも地蔵橋下流の雨水排水量だけでの護岸対策をいっているが、それは本川とは関係ない量で今までも問題になったことはない。最低の護岸で足りる。また下流からの逆流も上の説明で問題にならない。これは次回の第4回公判〔4月22日〕での論点となる。

 また、ホトケドジョウもナガエミクリも捕獲移植されて安定的に生息していると述べているが、本当に安定的に生息し繁殖しているのだろうか。現在その場所は工事の際の濁水と上流の釣堀のヘドロの流失によるヘドロのの堆積によってナガエミクリは滅失寸前でわずか存在していたミズニラは完全に姿を消し湧水しか生きられないホトケドジョウの命は風前の灯火である。工事箇所の湧水保全は導水管2本設置によって湧水の保全措置は確保されたとしているが、現実はその導水管からは湧水は流れていない。これも次回の論点になる。

 次回4月22日16時東京地裁での第4回公判には是非傍聴においでくださるよう要請する次第です。