二か月間、自粛が続いておりましたが、松濤庵もやっと稽古を再開いたしました。衛生管理の徹底をして、密集回避するように予約サイトから事前予約いただき、当面は個人教授とさせていただくこととしました。タオル、茶巾はお一人ごとに使い捨てとし、道具もなるべくアルコール消毒することとし、お菓子も銘々皿に盛り、お茶も自服としました。寂しいお稽古場となってしまいましたが、生徒さんの安全・安心が一番大事なことなので最優先させていただきます。今後、コロナが収束してきたら徐々に戻すようにいたします。花月など大勢で集まってお稽古をすることは当分できないですが、その分、一対一の丁寧な指導でしっかりと基本の所作を体で覚えていただければと思います。

露草（ツユクサ）

今回は、お茶の疑問あれこれ其の四　右か左か？です。生徒さんからよく右足か左足かどちらが先かわからなくなり、面倒で嫌だと聞きます。茶室に右足、左足のどちらで入るかや、立つときに右足、左足どちらで立つか決まっています。また、道具を右手で持つか左手で持つかも決まっていて面倒なことです。体で覚えてしまえばよいのですが、体で覚えるまでに時間がかかります。実は右足か左足かについては、いつもお客様の座っている側の足（客付きの足）から立つことになっており、一々覚える必要はありません。確かに客付きと反対の足で立てば着物の中が見えてしまい見苦しいですが、客付きの足で立てば美しい姿となります。客付きの足はとても理にかなっていると思います。点前の右手か左手かについても、基本は利き手の右手で、座っている半畳の右半分の側ならば右手、左側ならば左手と理にかなっています。客で座ったときに右手を上で組むのは、右手が利き手で、利き手の右手が上ならばさっと出せるなど理にかなっていると思います。

蛍袋（ホタルブクロ）

これらの右手を上に組むことや客付きの足から入ることは裏千家十一代玄々斎が統一されたそうです。　以前も書いたかと思いますが、私は覚えが悪く、理由無しに体で手順を覚えるのが苦手で、どうして右足なのか、右手なのかなど理由をつけて覚えるほうが忘れないので好きです。　点前の中には理由が付けられない、どうしてという手順もごく稀にありますが、それだけを注意して体で覚えていければ自然な動きでできるのではと思います。

白花河原撫子（シロハナカワラナデシコ）と蛍袋

今後は"with cofona"の世の中でお茶をしていくことになり、当分はお茶会も難しいかもしれません。坐忘斎御家元はビデオ・メッセージで濃茶の回し飲みはせずに各服点にするようにと話されておられました。十三代円能斎が明治時代に各服点を考案されたとのこと。今の時代も工夫が必要と話されていました。当たり前のことですが、毎回の稽古を単なる練習と思わずに、茶会のつもりで掃除をしっかりして、軸を掛け、花を生け、道具を用意し、お菓子とお茶を用意して生徒さんお一人、お一人をお客様として迎え入れる気持ちで稽古に臨みたいと思います。

茶の湯の疑問あれこれ 其の四 右か左か？

茶の湯の疑問あれこれ　其の四　右か左か？