学生なのにできちゃった。 -2ページ目

すいません

続きを書きたいのですが、最近忙しくて更新できずにいます。申し訳ないです。
明日はおそらく書けると思われます。

それではまた!

決戦の土曜日

ついに彼女のお父さんと対面する日がやってきました。

朝からなんとなく落ち着かない感じ。午前中は研究室の報告会があり、それをこなした後、彼女のお父さんが待つホテルへ。彼女は先にホテルへ向かっていて、両親と共にオレを待っていることに。
初めて降りる駅というのもあってか、なんか変に緊張してくる。電車を降りてホテルへ向かう。なんだかすごく大きいホテルで、見上げると飲み込まれてしまいそうな気持ちになってしまう。こんな感覚は初めてだ・・・。足がすくんでしまい、大学の友達にTEL。「がんばってくるから。」と伝えることで自分に気合を入れ、ホテルの中へ。

お父さんはホテルの一室で待っているらしい。ホテルのロビーから彼女に電話して迎えにきてもらう。一週間ぶりに会った彼女は、つわりのつらさもあって顔色が悪い。部屋に向かうエレベーターの中で彼女に、「(お父さん)どう?」と聞くと、「・・・。やっぱり断固反対だって。(説得は)かなり難しいよ。」

・・・まじでか。心臓の音がうるさくなってきた。

友人の後押し

彼はできちゃった結婚をした友人で、2歳になる娘がいます。
大学3年生の時に付き合っていた彼女が妊娠して、結婚。きちんと大学を卒業して就職し、今地元で親子三人で暮らしています。彼が結婚したと聞いたとき、俺は正直凄いと思いました。俺と同い年なのに結婚して子供を育てるなんて信じられませんでした。オレは当時子供も好きじゃなかったし、そんな若く結婚して良いことあるのかなとさえ思いました。

でも彼の娘を見たとき、オレの人生観は180度変わることになります。今まで子供なんて好きじゃなかったのに、彼の娘はかわいく思えてしまうんです。赤の他人の子供ではなく、仲の良い友達の子だからなのか、すごくかわいいんですね。彼自身も、「大変なこともあるけど楽しい。子供を見ていると全然飽きない。」と言っていました。その時、こういう幸せはいいもんだなと思ったんです。一人で暮らしていて彼女もいて、十分楽しいと思っていたけど、家族がいることはなんて素晴らしいんだろうと思いました。

オレの人生観を変えた、その彼に電話したんです。なぜ電話したかというと、背中を押してもらいたかったから。オレが進もうとしてる道は正しいのか、その先にある幸せはどんなものなのか再確認したかった。そして「そのまま進め」って言って欲しかったんです。

彼に今思っている不安をぶちまけました。すると彼は「大丈夫だよ、お前ならできるよ。」と言ってくれました。「今楽しい?」と聞くと、「楽しいよ、大変だけど楽しい。」と即答でした。これで迷いは吹っ切れました。やっぱりこれでいいんだと思えました。今まで以上に、気合が入りました。ありがとう。

不安

彼女のお母さんと話した次の日。さっそく大家さんを訪れ、結婚しても住んでいいか、子供も一緒だけどいいか聞きにいきました。ビックリしていたけど、良い返事をもらえて一安心。もし同居が無理だと言われてしまっていたら、出産費用に加えて更に引越費用が必要になってしまいます。とにかく、これで住む場所を確保することができました。

次は市役所へ。
今オレは母親の扶養に入っているから保険料はなし。彼女は会社の社会保険。だから彼女がもし会社を辞めたら国民健康保険に入らなきゃいけません。その年額を具体的に知りたかったんです。前年の収入がなければ年額7500円!だと分かりました。これなら全然平気だ。そして色々役所の人と話してみると、もし彼女が会社を辞めないなら、彼女の社会保険にオレが入ればいい、とアドバイスしてくれました。なんか彼女におんぶでだっこみたいで悪いなあ、とも思いましたが、そんなこと言っている場合ではありません。一円でも出費を抑えたいところです。

とりあえず心配だった住居と保険の問題はなんとかなりそうな感じ。それなりに準備はできた。でもそれなりしかできませんでした。不安は拭いきれず。これで説得できるんだろうか。いやそれより本当に産んで育てていけるんだろうか。俺が不安そうな態度を示せば、彼女はもっと不安に思ってしまう。そしてお腹の中の子供はもっと不安かもしれない。だから不安な態度は見せないようにしていました。

でも、実際心の中は不安だらけ。どうしようもなくなって、一人の友人に電話をかけました。

初対面

妊娠が判明した次の日。彼女のお母さんに会いに行きました。

実家には彼女のおじいちゃん・おばあちゃんも一緒に住んでいるらしく、いきなりそういう話をしては驚いてしまうだろうということで、近くのファミレスで話をすることに。
先に店に入り二人で待っていると、すぐに彼女のお母さんが来ました。「初めまして。」と挨拶をしたものの、予想以上の重い雰囲気。短いのか長いのか分からないけれど沈黙が続く。でもいくら時間を引き延ばしたって言わなくちゃ。よし、言おう!と思ったら彼女が先に、

「結婚する。赤ちゃんができたの。」

と言いました。その瞬間、お母さんから溜め息が聞こえてきました。そりゃそうです。突然娘が男を連れてきて、赤ちゃんができたから結婚すると言われてもリアクショしようがないです。

「産むの?あなた会社はどうするの?せっかく入った会社なのよ?そんな簡単にあきらめられるの?後悔するんじゃない?」

普通の親なら当然心配するであろうことを聞かれました。そして今度はオレの事が聞かれました。嘘をついてもしょうがないので、隠さず思っていることを全て伝えました。学生であること、収入がないけど結婚して子供を産んで育てていきたいと思っていること、奨学金をもらって生活していこうと思っていること・・・などなど。正直めちゃめちゃ緊張していてあまりこの時の事を覚えていないんです。でも言いたかったことは全て伝えたつもりでした。

その後三人で色々話し合ったのですが、結局お母さんに納得してもらうことはできませんでした。来週彼女のお父さんが香港から帰ってくるから、その時にもう一度話をしよう、ということになりました。お母さんがファミレスを出て行ったあと、正直一瞬どうしたらいいのか分からなくなりました。少しは分かってもらえるかもしれない、もしかしたら応援してくれるかもしれない、そんな考えはやはり甘かったようです。

やはりどんなに下調べをしたところでオレが学生で収入が無いことはどうしようもなく、説得には一番ネックになっているようです。そりゃそうだよなあ。大事な娘を収入のない男の所に嫁がせる親はいないです。今自分が父親になろうとしているから痛いほどあちらの両親の心配がよく分かる。

でも来週までの一週間でなんとかしなければ。あまり時間がありませんでした。

応援

電話は母親からでした。

「もう認めるよ。」

へ?

「お母さんはあんたのこと応援することにするよ。あんたは言い出したら聞かないからね。しょうがないさ、こうなってしまったもんは。不安は本当に大きいよ。まだ無理だとも思ってる。でも、こういうことは本来お祝いすべきものだからね。考え方によっちゃ、命を大切にする良い子に育ったってことでもあるからね。いいことさ。だから応援するよ。がんばりなさい。ただ一つだけ約束して。大学だけはちゃんと卒業すること。わかった?」

と言ってくれました。自分の安易な考えを応援してくれる。申し訳ないのと嬉しいのとで、ただただ涙が溢れてきました。隣で彼女も泣いていました。

よくよく母親の話を聞くと、その頃体調が優れなくて病院に通っていたそうです。更年期障害の初期症状みたいのが出てきていて、ちょうど肉体的にも精神的にも疲れていてあまり冷静になれない、と言っていました。タイミングが悪かったというか、そんな時にこんな話を出してしまって、本当に申し訳ないと思いました。

たくさん心配かけて迷惑かけてしまったけど、それでも止まるわけにはいかない。いつの日か生んでよかったねと言ってもらえるようにがんばらなければ、と強く心に誓いました。

問題その②

考えなければならない問題はまだまだ山積みです。


①住む場所
お金がないので、俺が一人暮らしをしている六畳のアパートに住むか。でもそもそもシングル向けの物件に家族で入居することはできるのか。その辺のことを大家さんに確認しに行かなければ。んで、もし引っ越すことになったらそのお金がまたかかる。それはどうしようか。

②彼女の仕事
彼女は入社したての新入社員。そんな新人がこんなことになって辞めさせられたりしないんだろうか。もし辞めないことになっても、俺の就職がいずれ決まって場所が離れていたら物理的に続けられなくなるかもしれない。それでも彼女はいいんだろうか。

③バイト
ただえさえ忙しい研究室。バイトしてる人なんてそうそういない。研究しつつバイトを増やすことはできるのか。うーん、でもやらなきゃどうしようもないよ。


などなど問題は山積みでした。その中でも一番気になるのは②の問題。就職活動で本当に苦労してがんばってやっと入った会社を辞めなければいけないかもしれない。彼女の苦労を知っているから、そういう選択をさせてしまうことに胸が痛みました。でもどれも考えていても仕方がありません。聞くなりなんなり行動を起こさないとどうしようもありません。

そして、彼女の両親にもこの事を話さなければなりません。しかもできるだけ早く。遅くなればなるほど話しづらくなるし、隠してもしょうがない。むしろいち早く報告することで、こちらなりの誠意をつくそうと思いました。当時、彼女の両親に会ったことがないどころか、オレと付き合ってることさえ知らない状態。そんな状態でオレの話なんて聞いてもらえるんだろうか。殴られたり、怒鳴られたりするのは覚悟の上。それだけのことをしたんだから。それでも話を聞いて、そして結婚と出産に納得してもらわなければいけません。

中には両親に勘当されてでも結婚する!っていう人がいるじゃないですか。でもオレはそういう事はしたくなかったんです。両方の家族みんなが納得して、みんなに望まれた状態で生まれてきて欲しい。じゃないと生まれてくる子供がかわいそうだし、彼女もそして彼女の両親もつらい思いをしてしまう。そういう事態を避けるためにも、現状の問題について二人でよく話し合って解決して、そして納得してもらわなければ。
というわけで次の日彼女のお母さんに会いにいくことにしました。電話で「会って欲しい人がいる。」とだけ告げて。あいにく彼女のお父さんは仕事のため、香港に住んでいるとのこと。すぐに帰ってこれる距離ではないので、とりあえずお母さんに話をすることにしました。

そんな時、オレの携帯に電話がありました。母親からでした。