まずは新大阪から名古屋まで新幹線で移動した。
試合前日でみんな緊張の面持ち…
荷物の半分は食料だったのだろう。
全てのお菓子をテーブルに並べるために、何度も青のリュックに手を突っ込んでいた。
新大阪-名古屋は近い。
出発して間もなく(お菓子を食べ始めてから間もなく)名古屋到着を知らせる放送が車内に流れた。
さすがの彩もこの新幹線のスピードは計算外だったようだ。
つまり、食べきれなかった。
お菓子を並べるのに時間がかかりすぎた。
彼女は自分自身に腹が立った。
いや、腹が減った。
そして、お菓子を食べ足りないストレスのしわ寄せは当然私に襲いかかる。
名古屋に着きホテルに向かう道中、美加紗が持っていたホテルへの地図が強風によって吹き飛んだ。
私は普段絶対に出さないトップスピードで必死に人混みを駆け抜けた。
地図を拾って振り返ると、みんなは遠くでゲラゲラ笑っていた。
私は名古屋の人達から変な奴だと思われた。
いいのだ。
全てはみんなの緊張をほぐすための計算である。
ホテルに着くと、みんなで身体を動かしに公園に行くことにした。
トレーナーのリエちゃんの指示にみんなキチンと従う。
しかし、私の言うことは相変わらず聞かない。
完全に無視されている。
その後、私は重大な失敗を犯したことに気づいた。
ストレッチ後のメニューを考えていなかった。
普段全てを完全に計算し尽くしている私にとって超珍しいミスだ。
その結果が…
これだ。
本気で遊びだした。
もう私の声は誰にも届かない。
遊具に飽きたら、次はケイドロを始めた。
ドロボーの美加紗と莉央は半端なく速い。
全然捕まらない。
葵はすぐに捕まった。
彩は…
彩は…
隠れきれてない。
頭隠して尻隠さ…
いや、どこも隠せてない。
しかし、本人はそのことに気づいていない。
でも、私は大人だから、見つけられないフリをした。
大人は大変なのだ。
最後はなぜか私が捕まり、このような始末にあった。
私は三半規管に支障をきたし、気分が悪くなった。
でも、その結果、お菓子のことも忘れ、みんなは気分が良くなったようだ。
お菓子のことを忘れた彩は…
さらに遊具で遊ぶ…
ただし、遊具のバネが弱っているせいか、動きが鈍すぎる。
本当はもっとギュンギュン動くはずだ。
ここに連絡しようと思う。
『乗ってる人が異常だ』
と言われると思う。
夕食後も彩は…
このお菓子も食べまくったようだ…
こんなことで、次の日はいい結果になるのだろうか…
私が不安しかない前夜を過ごしたことを誰も知らない。
以上が前日の一部始終である。
これからはストレッチ後のメニューを考えておこうと思う。
それでは、皆様、失礼します。