【核密約】抄録(5)
衆院外務委員会が19日午前に行った日米間の「密約」に関する参考人質疑で、鈴木宗男委員長が冒頭、総括的質疑を行い、東郷和彦元外務省条約局長は密約文書などについて、後任の条約局長らに引き継いだことを明らかにした。
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--東郷氏は(意見陳述で)文書管理について触れた。誰から引き継ぎ、誰に引き継いだのか
東郷氏「引き継ぎを受けましたのは前任の条約局長、竹内(行夫)条約局長で、引き継ぎを行いましたのは後任の条約局長、谷内(正太郎)条約局長でした。ただ、作成しましたリストに関しては北米局長、藤崎(一郎)北米局長にも送付しました」
--谷内氏への文書は、局長には直接説明されているのか
東郷氏「局長としての引き継ぎを1回行い、その際にこの文書の話をしたと記憶してます」
--東郷参考人は、当然あるべき会議緑、議事録が欠落していたと、有識者委員会での話をされたが、破棄されたのではないかといわれる文書について、もし破棄されたとするなら、破棄する立場にあった人はどなたか
東郷氏「私の記憶では、外務省の文書管理規定というのがございまして、文書の廃止の権限は局長にあったように記憶してます」
--廃棄の権限が局長にあったとするならば、当時は谷内氏ですね。同時、谷内氏は誰に指示できるのか
東郷氏「条約局の責任範囲にある文書に関しては条約局長だと思います。条約局長が廃棄をどういうふうにするかに関しては、それぞれの局長の判断で行われると思いますので、よくわかりません」
--先ほどの話で、12月4日、有識者委員会から意見陳述を求められた際、58点のリストを出されたという。58点のリストが今回の委員会の報告書にはすべて出ていますか
東郷氏「発表された文書を全部は読んでおりません。しかし、私が読んだものの中で申し上げれば、58点のリスト全部は、今回発表されていないと思う。私が読んだものの中に、非常に貴重なものがあったということを申しましたが、発表されていなかったものもあったと思います」
--58点のリスト中、16点、二重丸をつけて出したといわれた。重要な二重丸をつけた16点は出てますか
東郷氏「私が数えましたところでは、二重丸をつけた文書のうち8点、今回発表されました。残り8点は私は見ておりません」
--先ほどの証言の中でも、メディアに昨年8月以降、自分の考えを伝えたといわれた。雑誌では、情報公開法が施行される前に破棄されたという話が耳に入っていたと述べている。その認識は今も変わりないか
東郷氏「当時、外務省の内情をよく知っていると思われる人から、情報公開法の施行の前に本件に関連する文書も破棄されたという話を聞いたことがありました」
--東郷氏が7ページのリストを出した。外務省の内情に詳しい人から破棄された話も聞かされ、今回の報告書で欠落する部分があったことも明確になっている。文書管理上、破棄された可能性が高いと思うが
東郷氏「最終的に外務省の中でどのように行われたかに関しては、ぜひ委員長より、外務省にご照会をお願いしたいと思います。私の個人的な感触を申し上げれば、私が残した文書の全部は残っていないと、ここまではそのように思いますが、その後、本当にどうなったかということは率直に申し上げて分かりませんので、ぜひこれからの委員長および委員会にご調査いただけたらと存じます」
--今の話について理事会などで協議していきたい。引き継いだ谷内条約局長は部下に書類管理などをよしなに計らえという指示をした、と新聞なり雑誌に出ているがそれはご存じか
東郷氏「そういう報道があったことは承知してます」
--間違いなくあるべき書類は破棄された、東郷氏が精魂込めてまとめた文書がなくなっていることも事実であるということか
東郷氏「外務省の中に、本当に今、どの文書が残っているかに関しては、私は承知する立場にありません。ただ、今まで出てきている資料で見る限り、私が残した58点の文書の中の重要なものはいくつか出ていましたが、出てきていないものは明らかにあると認識します」
--明らかになっていないものが破棄された可能性が高いと
東郷氏「推測で申し上げることは控えた方がいいと思います」
--推測ではなく、明らかに文書が欠落していることは有識者委員会で明らかになった。さらに東郷氏がファイルをつくったことも公になっている。ないということは破棄されたとみるのが、自然な成り行きではないか
東郷氏「委員長のお考えに私は特に異なった感触はありませんが、ただ、外務省に勤務した者として、あの文書がどうなったかということは本当に大事な問題でございまして、文書がどうなったかについての最終的な判断は、いま外務省で勤務している人たちにしかできません。外務省で勤務している人たちがこの問題を正確に調べ、きちんとした発表をしていただきたいとお願いする」
--いわゆる密約問題は、歴代の次官が総理に引き継ぎをされていることが明らかになった。斉藤邦彦参考人は細川(護煕)総理、羽田(孜)総理の、村山(富市)総理のときの事務次官だが、3総理に説明報告はされているか
斉藤邦彦元外務事務次官「委員長が言及されました3人の総理の前に宮沢(喜一)総理にも、短期間でしたけれど、お仕えいたしました。4人の総理、どの方に対しても、いわゆる密約問題でお話したことはございません」
--宮沢総理は外務大臣もされている。外務大臣のときは説明をされているか
斉藤氏「ございません」
--有識者委員会の報告によると海部(俊樹)総理までは引き継がれた。同時にサインをした文書があることが明らかになった
斉藤氏「その文書は今回、公表されてから読みました」
--条約局長のころ、この文書は見たことはあるか
斉藤氏「ございませんでした」
--海部内閣までの話で、その後の総理には説明されていないという認識でよろしいか
斉藤氏「その通りでございます」
--資料の管理、審査の遅れは不十分であった点。外務省がなぜこういう体制だったか、どう受け止めるか
斉藤氏「弁解のように聞こえたら申し訳ございませんが、1つには資料があまりに膨大で、処理する人員が著しく不十分であったということ。それと公開すべきか、すべきでないかという判断をするとき、外務省職員はどうしても安全サイドに立った判断をしてしまう。公開すべきかどうかが争点になっている文書を公開し、万一、日本政府、外交姿勢に悪影響が出ることになったら、大変、具合が悪い、そういう判断の方が先にきて、公開、非公開の判断をするに際し、慎重すぎたということがあるかと思います。
設置されます、岡田克也外務大臣を本部長にします検討委員会におきましては、有識者の意見も公開、非公開にあたって加えるべきだという結論が出るのではないかと思いますが、大変有意義なことだと考えています」
--鳩山政権になり、外務省報償費が官邸に上納されていたことが明らかになった。報償費が官邸に上納されていた時期はいつから、いつまでというのはご存じか
斉藤氏「そこは私は存じません」
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