今回は私の今は全幅信頼に至ったT主治医(女性)とIサブドクター(男性)について、また、精神疾患患者にとってどのような精神科医が真に求められているのかを書いていきたいと思います。

以前のブログで書きましたが、T主治医との初対面での私の態度は酷いものでした。「俺の何かあんたに分かるんた!このヤブ医者が!もう帰れ!」とT主治医の精神往診を追い返していました。しかし、T主治医はその暴言に屈せず毎週、当時のボロアパートに精神往診に来てくれました。

そして、これも以前のブログで書きましたが、そんな私に対してT主治医ば自分の携帯番号とメールアドレスを教え「苦しい時はいつでも連絡していいからね。」と心から言ってくれたのです。例え、仕事用の携帯としても精神疾患者の患者に自分の連絡先を教えることは365日24時間オンコール状態を意味します。現代のプライバシー保護が謳われるこの現代社会でここまでT主治医のほうに自らの連絡先を自分の患者に教える精神科医が今日本に何人いるでしょうか?私は精神科医が必ず自分の患者に連絡先を教えないといけないとは決して考えていません。だた、T主治医のように全身全霊で患者に向き合う時、患者に自分の連絡先を教えるというのは一人の精神科医として、素晴らしいことだと思います。また、T主治医がどれだけ一人ひとりの自分の患者を大切にしているかが分かる象徴的な出来事がありました。

引っ越しも終わりT主治医の精神往診が半年程経過した時、T主治医から「メンヘラ王子さん、そろそろ私じゃなくて他の先生に変わってもらって環境変化した方が良いと思うの。」と突然伝えられました。私は、半泣きで「先生ここまで私を診てくれて来たのに私を見捨てるんですか!」と驚愕して答えました。すると、T主治医はハッとして目から涙を流し、「メンヘラ王子さん、ごめんなさいね。言い方が悪かったわね。あくまで、私のクリニックのサブドクターの男性のI先生に変わってもらうって意味よ。勘違いさせて本当にごめんね。」と言ってくれたのです。

毎週、精神外来と精神往診で何百人の患者を診ているT主治医が、たった一人の私の為に涙まで流がして謝る姿に、私は心打たれました。医師も精神科医も長年経験しているとどうしても一人ひとりへの患者への思いは時に希薄化します。そのような中で自分が精神科医となり真に困難にある精神疾患の患者さんを決して見捨てないT主治医の姿に医師、精神科医のあるべき原点、また、精神疾患患者にとってどのような精神科医が真に求められているのかを私は知り出会うことが出来ました。

精神科医は単なる服薬主義に陥れば医師の分野で最も楽な医師だと私は思います。しかし、真に自分の患者のことに全身全霊に向き合えば、T主治医のように最も忙しく楽ではない尊い医師だと思うのです。

まだ、日本の精神科医療は単なる服薬主義の精神科医が蔓延しています。精神科医には、患者が全て完治してしまったら自分の稼ぎがなくなるというジレンマがあります。そのジレンマが多くの精神科医の服薬主義を助長させていると私は考えています。この問題を完全に解決していくことは困難ですが、これからブログで書くオープンダイアローグの精神科医の研鑽や、薬を処方しないでも患者をしっかり診た精神科医にはクリニック経営が盤石にできる診療報酬の仕組み作りなどが求められていると思います。