濫用的会社分割と詐害行為取消権 | 士業・法務担当者のためのマニアックな登記・会社法・債権法改正情報~司法書士・行政書士大越一毅~

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帝国ホテル傍で開業している32歳・キャリア10年目
の司法書士・行政書士こっしーが、開業したての士業の
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を語るブログです。

ブログ訪問、ありがとうございます。

士業のための登記パートナー 司法書士・行政書士の大越です。


昨日は、ここ半年間準備をしていた、東京司法書士会判例・先例研究会の研修講師の本番でした。

テーマは「濫用的会社分割と詐害行為取消権」。


クレープ事業を営む会社が濫用的な会社分割を行ったとして、債権者が詐害行為取消権を新設会社に対し行使し、それが肯定された判決(東京地裁平成22年5月27日判決・東京高裁平成22年10月27日判決)に関する研究発表が主な内容でした。


準備期間が長い研修講師は初めてで、また大学ゼミの恩師のS先生とのコラボだったので、失敗はできないと、始まる直前までかなり緊張でしたガーン


でも、始まってからは、調子よく喋れ、何とか持ち時間通り終了できたので、自分的には超満足です。

というか、そのあとの懇親会での自分の解放感っぷりが凄かったですにひひ機会があればまた是非やりたいですね。


濫用的会社分割の問題は、上記判決前から問題視されていましたが、債権者保護手続の範囲外である分割会社の債権者の保護策の1つとして、詐害行為取消権の行使+価格賠償を認めた本判決の影響は大きいと思います。

これによって、泣き寝入りをしない債権者が多くなるかもしれませんので、我々専門家としも、依頼者が会社分割を検討する際には、リスクをきちんとアドバイスする必要がありますね。

もちろん債権者側から相談を受けた際には、債権の回収方策の1つとして詐害行為取消権を検討する際に、本判例の理解は必須といえるでしょう。


また、今後検討しなければいけない課題としては以下の点が考えられるのではないでしょうか。


①本判決の射程範囲をどこまで認めるべきか

  債権者保護手続の対象範囲内の債権者であっても、官報+定款所定の方法でダブル公告をすることによって、個別催告が省略されれば、会社分割の事実を知らないケースが少なからずあるので、そのような債権者にも行使を認めるべきか


②新設会社に引き受けられた債権者等、新設会社側の債権者との平等原則をどうするか


もし、会社分割を検討している企業・クライアントから相談を受けている士業の方・回収を考えたい債権者の方で興味がありましたら、お気軽にご相談ください!