米澤穂信「満願」を読みました。
6編からなるミステリー短編集。
夜警・・・自分のミスを取り返すはずが・・・。事は上手く運んでいたのに最後の最後で・・・。
警察に向いていない者。それを冷めた目線で俯瞰する警察官。
死人宿・・・昔の恋人に再会、そしてある依頼を受ける。試されているようではあるが、
過去の自分とは違う良い姿を彼女に見せることはできた。しかし彼女はどこかどうしようもないことは
どうすることもできないと始めからわかっていたのかもしれない。
柘榴・・・中学生姉妹の物語。法律に触れることは犯していないが、
彼女たちの決断はいわゆる「中二病」を超えたものだと。
この話は母親に同情するしかない。
万灯・・・仕事の利益を求めるあまり、殺人を犯す。そして負の連鎖に巻き込まれる。
異国の地での焦り、すぐ目の前にある成果を手に入れるための殺人。ストーリーの経過と
最後のシーン、そして「万灯」というタイトルが皮肉にも破滅していく主人公を上手く描写している。
関守・・・都市伝説が本当の恐怖になる恐怖。頭や心で警戒のサイレンは鳴り響いているが、
全てを悟った時にはすでに遅い。ミステリー、サスペンス、ホラーすべての要素を含んだ怖い話。
満願・・・大切なものを守った女性。そして優しさゆえに内には強い意志がある女性。6編の中では残酷さや
人の怖さなどはなくきれいにまとまっていて、人を殺めていなかったら本当に立派な人なのだと思えた。