麗しの皆さま
ごきげんよう
✴︎2020 10/5 ✴︎
砂時計のセリフを追記しました
何度この映画を観たことだろう
Death in Venice
邦名はベニスに死す
トーマス・マン原作
ルキノ・ヴィスコンティ監督
イタリアの中でもとりわけ
大好きなベニスの光景が懐かしい
全編にマーラーの音楽が
効果的に使われている
一歩間違えば
きしょくわるいオジサンの
ストーカーめいた話に思われがちだから
マーラーの音楽が
品格をもたらしているのかも
交響曲第5番
アダージェットは素晴らしい
衣装には目を奪われたものだ
なんてお上品な衣装なの!
むかしはマメにつけていた
10年日記の一ページに
その衣装のことを書き込んでいる
1997年11月の記録
この映画の衣装を手がけたとか
音楽家である主人公
グスタフ・アッシェンバッハは
バランスを取ることを重視している
芸術に魔力は受け入れない
芸術美は計算や努力の上に成されるものだと
愛する家族のいる
しあわせな生活
しかし
ある出来事によって
それは崩れてゆく
いつしかアッシェンバッハの
体調も思わしくなくなり
ベニスへ静養に行くことに
ベニスの地で彼は
完成された彫刻美のような
美しい少年タジオに
一目で魅了されてしまう
揺らぐアッシェンバッハ
これまでの固定観念がはがれてゆく
それは美しき崩壊なのだろうか
唐突に湧きいずる
こんな感情が
自分にあったのだ
揺らぐ感情
ベニスに蔓延するコレラの恐怖
表向きは美しいベニス
しかし観光地の裏事情をも知り
苦悩と恍惚が交差する
複雑な思いの中
彼はベニスに死すのです
ストーリーの始めの方にある
アッシェンバッハの言葉
父の家にも砂時計があった⏳
砂が通る道はとても狭くて
最初はいつまでも上の方の砂が
変わらないように見える
砂がなくなったことに
気づくのはお終いの頃だ
それまでは誰も殆ど気にしない
最後の頃まで時間が過ぎて
気づいた時にはすでに
終わってしまっているのだ
✴︎画像はお借りしました
✴︎画像はお借りしました
タジオはわたし好みの
ビジュアルではないものの‥
その独特の雰囲気に
画面に釘付けになり
引きこまれたものです
この映画を初めて観た時から
どれほどの年月が経過しただろう
最近になって
ネットで検索してみた
タジオ役の
ビョルン・アンドレセンさんの
現在はどんななのだろうか?と
そうか‥
こんな風に老いゆくのだな
あの独特の個性美は
映画を観た時そのままに
こころにそっと留めておけばよかったかな‥
いやいや
人は彫刻ではない
生きているのだ
静ではなく動なのだ
動ならば変化もある
さまざまに
柔軟に
受けとめてゆく
老いもまた然り
この映画は
若さ(活性のエネルギー)と
老い(収束のエネルギー)の対比も
表現されているのでしょう

麗しき人生







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ありがとうございました
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