悠久の爽やかな風が流れる白い本の部屋
『本の内容についてはできるだけ語らない』、『表現や比喩はシンプルに』などと『一度も読んだことのない著者の作品でも読んでみたいと思えるようなレビュー』をできるように心がけてたりします。
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『月の影 影の海 -十二国記-』 小野不由美

私は主人公が異世界へ飛ばされる物語をいくつか読んだことがありました。
その物語の世界に引き込まれ魅了され、この世界へいけたら面白いだろうなぁなんて考えたこともあります。自分が異世界へ行ったら~なんて想像したこともありました。

甘かった―

現実的に考えれば、今一文無しで話のできない国へ行くのと同じなんですよね。そう考えるとそこで生活すること、他人とコミュニケーションの取り方、文化の違い…などの厳しさがクリアに想像できます。

この十二国記の第一巻目にあたる「月の影 影の海」の上巻では主人公がわけのわからないまま異世界へ飛ばされ、そこでの生活を強いられます。先ほど私が言った厳しさとの違いは、その地の人との言葉がわかり、会話ができること。

主人公は境遇と文化の違いから、裏切られ続け、精神的に疲弊する。その様は読んでいて切実で、主人公と価値観が違うわけでもないのに感『したくない』って初めて思いました・・・

それだけの感覚を与える著者の筆力はすごいと思いました。それでいてこれだけ不幸な気分を味わっても不快感はありません。それがこの物語の面白さかもしれません。それでも、この小説の一番面白いところは広大な世界観だと思います。読みやすさや描写のかっこよさもあげたいけど、まだまだ全然語られてないのに、いろいろと想像したくなるこの世界自体の魅力には勝らないかと思いました。

とはいってもまだ一巻目なのでなんとも言えないもので、早く続きが読みたいものです。

小野不由美 『月の影 影の海 -十二国記-』講談社文庫

無気力の心理学 -やりがいの条件- 波多野 誼余夫,稲垣 佳世子

明けましておめでとうございます。

この一ヶ月、無気力状態が続きまして何事にも一生懸命になれないというような状態でした。ひきこもってたわけじゃないですが、勉強しても遊んでもふつふつと燃えるような熱意が無いんですね。何事も適当で済まし、めんどくさいことは放り投げ…と結構ひどかったです。

12月の下旬には治ってたのですが、今までのツケが襲ってきたかのように忙しかったです。

今回紹介するのは、この無気力状態をどうにかして治そうとやみくもに読んだなかの一冊。正直あまり役に立った気はしませんが、どうして「無気力」になるのか?ということを科学的に分析してました。子供のころの育ち方で無気力な子とそうでない子ができるようなこともあり、小説ではないので読みずらいところがありますが、子育て中のママさんなんかちょっと立ち読みしてもいいかもしれません。最近無気力な子供が多いって良く聞きますから…

写真が見つからなかったので後日写真アップしま~す。

『ただそれだけの片想い』 唯川 恵

恋をみつけることのできない片想い、忘れることのできない片想い
さまざまなかたちの片想いに悩む女性たちに贈る、ちょっとビターな恋の処方箋

数多くの恋愛話を例にとり、その時の男性の立場や女性の心情を語っています。この小説は『出会えない恋』『始まらない恋』『報われない恋』『満たされない恋』『終わらない恋』の5つの構成で、ひとつひとつにいくつかの例が載っています。

ほとんどが別れ話を例に取っているのでが、切なさだけでなく、後悔や裏切り、寂しさといったことも取り上げられいてそれらの例にエールを送ったり、ばっさり切ったり、喝を入れたりと読んでいて面白かったです。

とはいっても、それらは例となる恋愛話を通して「この恋にめぐりあえて良かった」と思ってもらうための処方箋であるので面白かったというよりためになったというのが正しいかもしれません。

特に『満たされない恋』ではセックスついて扱ってたりするのですが、『セックスに対して保守的な考えを持っている女の子が、自由奔放にセックスをする友人に対して軽蔑をしようとするのだけど、どこかで羨望を持っている自分もいることに気づき情けなくなった』というものがあったのですが、ここで書かれているセックスについての概念などがいろいろと考えさせてくれます。

純粋な恋愛小説とは違いますが、こういったものも中々良いかと思いました。

『ただそれだけの片想い 始まらない恋・終わらない恋』 唯川 恵 集英社

ポリシー

いつのまにか本をレビューした数が10冊越えてました。最低10冊は書かないとなぁと、最初に誓っていたりしたのですが、達成できてうれしいです。これからも小説中心のつもりですが、少しはバラエティに富んだものも書いてみようかなと思ってたりします。

このブログを始めるまで、一度も小説を読んだ感想や意見を言葉にしたことがなかったのでとても良い機会でした。レビューの書き方に慣れてきて、思ったことや感じたことを言葉にしやすくなっています。何事にも慣れというのは重要のようですね。がんばります。

最近、他の書評系のブログのも良く読んでいるといろいろと啓発されるのですが、ポリシーというか、書く時に気をつけてることとかあるでしょうか?私の場合は『本の内容についてはできるだけ語らない』、『表現や比喩はシンプルに』などと『一度も読んだことのない著者の作品でも読んでみたいと思えるようなレビュー』をできるように心がけてたりします。でも、読み返してみると心情や情景に対する語彙が足りないですね。似たりよったりになってしまったり、微妙な違いも同じ言葉を使ってたりしています。意思の言語化は難しいです。

だから、レビューは全てが当てはまるわけでないので書いてあることを鵜呑みにしないで自分の意思や意志を大切に。多くの中の一つの意見と思って読むための参考にしていただければ幸いです。

『ワインデイズ』 マーク・ピーターセン

私はお酒を良く飲みます。とりわけワインを飲むことが多いのですが、そのせいかこの本を一目見たときに衝動買いで買ってしまいました。

この本は著者のマーク・ピーターセン氏が8年間のワイン生活ついてが書かれています。やはりワインを趣味として飲む人のための本といった感じでいろいろなワインとその時の食事についての感想などが書かれています。

著者は冒頭で『ワインのおかげで、私の前に明るい新世界が開かれ、人生そのものも豊になった』と語っています。私には小説にこれに当たるのだろうと思いましたが、こういった心の底から好きだと思えるものに出会え、夢中になれることって以外と少なくて何にしろこういうものができることが幸せの一つかもしれないと思いました。

ワインを良く飲むといっても名前とか全く知らなくてなにが良いのかも分かっていないのですが、先日飲んだドイツのリースリングというぶどうで作られたワインは美味しかったです。ラベルを読んだ時のリースリングという単語の聞こえが良かったというだけで買ったものです。酸味はやや強いかなという印象で、口当たりが良く飲みやすい白ワインでした。

読んでいってもワインと料理についての感想がずっと続くので結構飽きやすいかもしれません。ワインに凝るとオリーブオイルやニンニク、ハーブにも凝りだすから健康的になるとか、第5章で日本のワイン(甲州ワイン)について書かれているところはやはり日本人だけあって読んでいて面白かった。この甲州、確か美味しんぼでも取り上げられていて、日本料理に合うワインだとか?

大のワイン好きな人ならこの本はお勧めしますね。ところどころに写真ででてくるワインは飲みたくなりますし、その時食べてる料理は作りたくなります。この本を読んで思ったことはトスカーナとかカベルネ・ ソーヴィニヨンとかワインよりもぶどうの種類に詳しくなりそうってことでした。

マーク・ピーターセン 『ワインデイズ』 文藝春秋(文春文庫PLUS)

『ブルータワー』 石田 衣良

今月は『天使の梯子』や前回レビューした『GOTH』などの比較的文体が読みやすいものを読んでいたのでこの本は読み応えのある一冊でした。

実は私はこの小説の最後に涙ぐんでしまったのです。私は泣きたい時は泣ける小説を探す性質で、まさかファンタジー小説で泣くと思っても見ませんでした。これは一人の小説読みとして参考までに…

この小説の最高の良さは読後感とその余韻にあります。途中読む疲れてくるところもあったのですが、エピローグを読んだ時にそれは全部なくなりました。

だけど、最初の読み始めは『IWGP(池袋ウエストゲートパーク)』シリーズや『波のうえの魔術師』などとは語感が違って感じて、少し客観性が増してるような気がしましてました。それはこの本が例に出した二冊の本と違い、ファンタジーだからという点であるゆえに感じたものだったのかもしれません。ファンタジーはファンタジーでもライトノベルにあるような剣と魔法の世界というわけでなくて瀬名秀明氏の『BRAIN VALLEY』、『パラサイト・イヴ』に近いイメージがありました。物語も従来のものよりも理系的な要素を多く含んでいます。

それでも読んでるうちにぐいぐいと惹きこまれてしましいました。最近は当たりな小説が多いです。主人公は脳腫瘍を抱え死の宣告の中で生きる男性。脳腫瘍の痛みとともに200年後の世界へタイムリープする。タイムリープ(時間跳躍)といえばラベンダーが最初に思いつくだけに脳腫瘍の痛みというのは私的には以外なものでした。物語中では痛みを耐え抜いての跳躍に主人公の『決意』、『覚悟』、『依存』といった感情が見受けられたのが印象的です。

名前の付け方とかがユニークで、私には少し子供っぽいというか陳腐に思えたのですが子供には好感かもしれません。その年齢層が読むには少し辛そうですが…ちょっと笑えました。

瀬名秀明 『BRAIN VALLEY』 角川書店
瀬名秀明 『パラサイト・イヴ』 角川書店

『GOTH リストカット事件』 乙一

本好きブログさんのところで紹介されていたのに影響されて市立図書館から借りて読んでみました。

私的にはかなり面白かったです。ミステリー小説なので、実際のトリックとかについて議論し始めればいろいろなダメだしは出てくるかと思いますが、『こういった世界観もあるんだなぁ』と、新鮮さを吟味しながら楽しく読んでいました。主人公にはあまり共感できなかったのですが、それでも十分楽しめました。今までで体が受け付けなかったのは羽田 圭介氏の『黒冷水』という小説ぐらいですね。

乙一氏の文体は石田衣良氏の小説に似ているところがあって非常に分かりやすいものでした。後で調べてみるとお二人とも一部の人たちに『春樹チルドレン』と呼ばれているようで、その分かりやすい文体には定評があるようです。…自分に合う理由が分かりました。(春樹チルドレンとは村上春樹氏の影響を受けた新鋭の作家さん達のことだそうです)

主人公やヒロインの心理描写も私が普段読む小説とは一風違った感じで、『殺伐さ』や『無機質感』といったものが滲み出ています。だからこそ、時折垣間見れるちょっとした感情には「おっ」って感じです。似たようなものでは綿谷りささんの『インストール』も結構殺伐としてましたね。

正直なところ、大衆娯楽小説としても好き嫌いがハッキリ分かれるような本であることは確かです。特にグロテスクな表現がお嫌いな方は控えた方がいいかもしれません。

皆さんにお勧め!という本ではありませんが、私の読んだ小説の中では異色なのでずっと心に残ってるかもしれません。もう一度読んでみたいと思っているだけに、自分の中では当たりな小説でした。

きっかけ2 『ノルウェイの森』 村上 春樹

私の部屋には小説だけで250冊以上の本があります。今でも手にとって読む本や一度しか読んでない本、一度も読んでない本すらあります。読みたければ図書館に行けばたいていあるので、数はなにも意味を成さないのですが…。まぁ、それゆえに最近は図書館で借りるということを覚えたので買う頻度は少し減ってます。

なにが言いたいかというと、この小説のうち五分の一以上が『村上春樹』の本なんです。病的に村上春樹氏が好きです。村上春樹が世界的に売れている作家であることを知ったのは不覚にも「海辺のカフカ」が発売したときで、しかも川上恭一氏の「世界の中心で愛を叫ぶ」が450万部を超えたときに、今まで日本で一番売れていた小説が「ノルウェイの森」だったことを知りました。(つまりはつい最近まで知らなかったんです)

知ったときは「やっぱりそうだったのか」という嬉しい気持ちと「一部の人だけじゃなかったのか」という独占できなかった残念な気持ちが入り混じって、ショックでした。

何故かと言うと、その「ノルウェイの森」が私を「小説中毒」にしたきっかけの本だったからです。

その本に出会ったのは5年前の夏の終わり、私は友人がそれを読んでいた隣でゲームをしてました。私は先日まで、読み終わった友人に勧められたと思っていたのですが、友人に聞くと私が「その本は面白いのか?」と聞いて面白半分で借りていったとのことです。

借りて読み始めた時も、ペースはそれほど早くなくて一週間から二週間ぐらいかけて読んだのを覚えています。時代背景が分からなくてもその内容はリアルに伝わってきます。どのシーンを切り取ってもその密度は濃く、小説の主人公と同じように『適当なページを開き、そのシーンを読む』ということは今でも時々しています。それほど自分を惹きつけて止みませんでした。

ですが、最初に読み終えた時は「これで終わり?」と思うほどそれは訪れ、正直言って拍子抜けまでしたほどです。その時の感想が「性的描写が多すぎる。」の一言で、17歳らしいといえばらしい感想でしたが、ほかに何も感じなかったのかと突っ込みたくなります。

そしてある意味「病気」のようなものになってきたのがそれから一ヶ月後ぐらい経った後です。余韻というのは時が過ぎれば次第に薄まってくものですが、この本を読んだ時は帰って濃くなってく一方で、夜に寝ようとして目をつぶると、ノルウェイの森のことしか考えられなくなって、主人公はその後どうなったのか、あの時のヒロインの感情は?といったものが頭の中に駆け巡ってました。最初の感想が嘘のようです。

それからは読んだ友人の考え聞いたり、自分で箇条書きとかにまとめてみたり…本を読む友人を見つけては読ませてみたり…ホントに病人のようですね

そのときは読んでること、考えてること、まとめているのが楽しくて楽しくてしょうがなかったです。その年の二学期に図書委員をやったぐらいです(関係ない)

そんなわけでこのトランス状態の時でもいろいろと考えていましたが、今だから言えることですがそれだけのことやっても当時17歳の私にはその内容の全てを分かることはできていませんでした。そのピークが過ぎてから(いつに過ぎたのかは分からないのですが、大学受験が近づくにつれてだと思います)は一年に一回読むぐらいにまで落ち着きました。5年経った今でも毎回新しい発見とか、目に付いてなかった言葉が印象に残ったりとかしています。

この一件で、同じような思いをもう一度したい…というかそのような訴えてかけてくる本に出会いたいといろんな本を読むようになりました。今では一ヶ月に10冊程度読んでます。理工書だったり、啓発書だったり、ビジネス書だったりしますが、なるべく広く読むようにしています。そして村上春樹のファンになったのもその時からです。

それでも村上龍の本を最近初めて読んだりと、読める本が多すぎて楽しみ(時にはうんざり)することがあってこれからが楽しみです。

どの本がその人の取っての『最高の小説』でありうるかはわかりませんが、小説を好きでなかった時の私でも『ノルウェイの森』出会えたものですから、きっと誰にでもそういったものに出会えるのではないかと思います。それは他の人からバッシングされている作品であろうと、世界的人気を誇る作品であったとしても、自分の中で一番になれる作品に出会えることができればそれに勝るものはないかと思います。あなたのバイブルがみつかりますように

『天使の卵』 村山 由佳

先日、続編の『天使の梯子』を発売された村山 由佳さんのデビュー作。
最初に読んだのは19歳になる半年前、偶然にもこの本の主人公と境遇が同じ、浪人生になった時。あの時はその関係で最初から好感で読んでました。

ただ、正直物足りなさでいっぱいでした。もっと読んでいたかった。クライマックスの展開の変わりようの早さに感情がついていかなくて、納得がいかないまま終わってしまいました。だから自分の納得がいくまで何度も読み返してました。

内容は純粋でまっすぐ。ライトノベル風味なところ(感情を全て言葉で表してしまうところとか)もあるけれど、それはそれで読みやすく分かりやすいし、それだけに登場人物に感情移入しやすかったです。それに、これほどストレートな恋愛小説を読んだのは久しぶりだった。

ちなみに、この本は村上春樹の小説の隣に置かれてることが多くて良く目にしていたというのが読むきっかけでした。

『限りなく透明に近いブルー』 村上 龍

セックス、ドラッグ、バイオレンス、ロックについての描写は、あまりにも激しく、あまりにもリアルに描かれています。ただ、そこにある醜悪さ汚さなどを自分が感じたことがなかったために、窓越しに見る景色という感じで読んでました。

ただ、読んでいた時に「孤独感」や「虚無感」と言ったものを感じたのですが、それがどうして感じて、それが何かというのがつかめなかったので、もう一度読んでみる必要があるようです。もしかしたらそれが「限りなく透明に近いブルー」に繋がる何かかもしれません。

と、結局はタイトルの意味もつかめずに読み終えてしまって不完全燃焼だったので他の村上龍の本を読む前に読み直したいと思ってます。

実はこれを買ったのはこの前の土曜日で、しかも初めて買った村上 龍さんの本でした。前から友人たちに勧められたり、雰囲気が「女」と「ドラッグ」聞いていたのでどんな本だと思っていたのですが予想以上に激しかったです。この人が本当に13歳のハローワークを書いた人なのだろうかと思いました…(その本自体まだ読んでないのですが)

でも友人たちがこぞって「読んでみるといいよ」というだけあって、文章に力があります。セリフが「」で囲まれてたりそのまま話されてたりするのですが、そういった定まってない視点で主人公たちの薬にまみれた生活を彷彿させる。そういった抽象的技巧があったりして内容に関係なくカッコイイと思いました。この人本はこれからいろいろと読んでみたいと思います。