航空輸送データのブログ
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明けましておめでとうございます。

サボりがちですが、今年も少しずつ気ままに投稿していこうかと思います。

 

さて、本記事では2022年末におけるグローバルにおける最新状況について見てみたいと思います。データはICAOのデータソースを参考にしております。

 

1)国際旅客輸送

航空旅客需要は徐々に回復を見せておりますが、最新の2022年9月時点のRPK(Revenue Passenger Kilometers: 有償旅客キロ:各有償旅客が搭乗し、飛行した距離の合計)ベースで、コロナ前の2019年同月比-27.4%まで回復しました。これはパンデミックの急落後、最高値です。

 

 

またASK(Available Seat Kilometers:有効座席キロ)ベースでは、2019年同月比-24.7%まで回復しております。

 

ASKで地域別に確認すると、北米が一番回復が早くて2019年9月と比べ、-6.9%まで戻ってきております。次いで南米が-10.7%欧州が-17.2%と続いております。一方でアジアは-48.8%と一番出遅れております。日本の国際線は急激に回復傾向にありますが、市場が大きい中国が特に影響している状況です。米州、欧州で旅客需要の回復が先行し、ここのところ日本を含むアジアでの回復が、全世界のRPK・ASKの改善に影響しております。

 

なお9月時点のデータですが、年末にかけて更に回復していくと考えられます。

 

2)国際貨物輸送

まだコロナ前の需要に到達していない航空旅客輸送と比較し、航空貨物輸送は先にコロナ前を超えた回復を見せてました。FTK(Freight Ton Kilometer: 貨物トンキロ)ベースで、2022年2月では2019年同月比で+11.9%の回復を見せておりました。以前の記事で記載した通り、旅客便が停止したこと、海運の混乱で一部の荷物が空運に回ってきたことが要因と見られます。ところが、ここのところ航空輸送と海運の正常化、更に景気のリセッション局面から航空輸送が減少傾向にあり、2022年9月では2019年のそれを下回る-3.6%に低下しております。航空貨物需要については過去の記事でも説明しておりますが、更に悪化していくリスクもあります。

 

 

 

以上の通り、航空旅客部門の需要はまだ完全回復していない一方で、2023年は更に回復する余地が残されていると考えられます。特に、中国市場はゼロコロナ政策解除による混乱が見られるものの、世界第二の市場として回復の潮流に乗ると世界の航空旅客需要に大きなインパクトを与える可能性があります。

 逆に、航空貨物部門は、コロナ前を超えた成長を記録した反動とリセッションの深刻化で、下落傾向を見せており、2023年は次第にネガティブな影響が表れる可能性があると考えられます。

 

過去2回は国内線国際路線をそれぞれ総合的に見ていきました。今回は特定日系エアラインの視点から、航空業界の分析を行いたいと思います。過去の月次運航状況をトレースできるANAのデータを使っていきたいと思います。旅客部門に関しては、ANAとJALは似た事業バランス(内際比率はほぼ半々で同じ)をとっており、主要日系エアラインの代表値として参考になると思います。

 

 コロナパンデミックが発生した直前の2019年12月から最新値の2022年4月旅客数利用率(RSK/ASK)に見ております。前回までの供給座席数と異なり旅客数と利用率を見ているため、実際の需要状況(旅客数)と需要・供給のギャップ(利用率)をより正確に見ることが出来ます。旅客数は2019年12月を100として見たとき、どの程度で推移しているか確認します。

 

1)国内線

コロナ直後に旅客数は大きく激減し、最初の緊急事態宣言が発令された5月ごろにボトム(10%以下まで低下)を作っております。その後2020年秋ごろまでGoToトラベルの採用もあり緩やかな回復を見せますが、新たに驚異的なベータ株が国内でも流行り始め、2020年終わりごろから20%まで低下しました。ワクチンが導入された2021年の夏以降はまた回復を見せますが、冬にはオミクロン株で低下。一進一退を繰り返し、2022年春まで予想ほど回復していない印象です。2022年春以降はブースタ接種が広まり、オミクロン株も落ち着いていることから、今後は回復傾向にあると考えられます

 

 

2)国際線

国際線のほうは、より悲惨的な状況にあります。前のブログで説明した通り、日本は世界的にも厳しい入国制限を導入しました。観光ビザはしばらくシャットアウトされ、必要な外国人しか入国を認めない方針を取ってきました。その結果、ANAの国際線乗客数はパンデミックが始まってから3年目に突入した2022年でも、以前の10%以下にとどまっております。これは旅客を乗せない定期便プレイター運航(旅客機を使った貨物便運航)も利用率データに含むため、搭乗率が実際の旅客便搭乗率より低く出ております。

 なお、2021年冬ごろから外国人の入国制限に留学生を除外したりし、1日当たりの入国者数を拡大し、わずかに国際線は回復傾向にあります。そして6月からは、1日当たりの入国者を2万人まで拡大し、団体ツアーによる観光ビザの発給が認められることから、更に右肩上がりに回復していくでしょう。利用率が6割程度まで回復しておりますが、これは運航便数(供給)が極端に減っている影響で、高めに出ていると解釈できます。2022年4月時点でも、座席キロ(ASK・座席供給を表す値)はコロナ前の1/3程度を推移しております。

 

 

以上より、国内線と国際線の乗客数についてANAの月次運航データを活用して、視覚化分析しました。日本の場合、やはり国内線が頑張って牽引し、何とか持ちこたえている状況です。ただ想定より、国内線が回復していないという印象も感じました。逆に国際線が最近明白に右肩上がりで回復しているのは、嬉しい限りです(どん底からのスタートですが・・・)。ANAもJALもコロナ以降大赤字が続いておりますが、ワクチンが普及した2022年こそは国際線も含めた回復が待ち望まれます。

 

そうした期待の一方で、現在のウクライナ情勢とアフターコロナ需要の拡大による極端な原油高が、今度は航空需要の回復に新たな暗い影を落としつつあるかと考えられます。本当に災難続きの航空業界です・・・ 次回は過去のデータを用いて、原油高と航空需要の相関性について分析したいと思います。

 

前回の国内線の分析に続いて、今回は国際線にフォーカスしてみます。

 

2020年から続く(正確には2019年)COVID-19(コロナ)パンデミックの影響で、各国政府は真っ先に、コロナが深刻な地域(最初は中国・武漢)からの入国制限を実施し、航空国際線は前例のない打撃を受けました。その後もワクチン接種や陰性証明、入国者数の縮小など、非常に厳しい規制を課し、国際線の回復は国内線に比べてかなり出遅れたものとなっております。今回はそんなアフターコロナ下における航空需要の回復について、OAG社のデータを用い(2019/1~2022/5の航空会社別月ベース)、ふたつの2国間データをもとに分析したいと思います。なお、最新の乗客数データがないため、供給データをもとに推測します。

 

1)日本=米国

まずは入国制限が厳しい日本からの主要国際線市場である米国路線の座席供給データについて見たいと思います。市場規模から、両国間は太平洋路線の代表値として最適であります。今回は双方間の座席供給量を見ております。

 

コロナ前の値から一時期は10%以下の値まで低下したことがわかります。コロナ下における日本の入国制限は世界的にも、中国に次いで厳格なレベルであり、国際線の回復の伸びは国内線と比較してもだいぶ出遅れていることが見受けられます。日系エアラインの回復は50%程度まで戻し、オミクロン株が流行った2022年冬以降も徐々に回復傾向にあります。一方で米国エアラインはユナイテッド航空(UA)やデルタ航空(DL)はオミクロン株が流行り、外国人の日本入国ビザ発行が厳格化したあとは下落傾向または一定水準に留まっております。

 

 

2)米国=英国

続いて米国と英国双方間の供給座席データを確認します。両国間の経済的・文化的・航空輸送的繋がりは現代においても大変強く、大西洋路線における代表的なドル箱路線です。コロナ前では例えばニューヨーク・JFK=ロンドン・ヒースロー間でブリティシュエアウェイズ(BA)だけで747-400(ジャンボジェット)等の大型機を使って、10往復便程度を運航しておりました。

米国=英国間のコロナによる減少は、日本と同様に過激なもので各社ともに1割程度の値まで低下しました。当初イギリスを含む欧州は、コロナの状況が厳しかった米国に対して厳格な入国制限を課していたため、日本以上に低い停滞が続きました。しかし、コロナワクチンの生産国として普及が比較的早く、2021年ごろから入国制限が緩和され、急激な回復を見せ始めております。オミクロン株で2021年末~2022年冬まで再び落ち込んだものの、BAの場合は最新の2022年4月の値はコロナ前の9割程度まで回復を見せております。現在両国間では入国に際し、ワクチン接種証明を提示できる限り、陰性証明及び自宅待機の必要がなく、比較的簡単に旅行できる状況にあります。

 

 

3)世界の国際線推移

以上から、太平洋路線と大西洋路線で回復速度に大きな差があることがわかりました。欧米各国は一般的にワクチンの普及が進んだあとは、入国条件を緩和しワクチン接種が完了していれば、以前と同様に旅行できるようになりました。一方で、日本や中国などは現在も入国ビザ発行は非常に制限され、かつ陰性証明の提出・自宅待機(一部国に限るが)など様々な制約があることから、国際線の回復が遅れていることと想定されます。なお、同じアジア太平洋地域でも、東南アジア地域ではすでに入国緩和が進んでおり、地域内でも国により大きな差が生じていると考えられます。

出典:ICAO

 

上記グラフは、国際航空民間機関(ICAO)が発行したコロナ後の国際線座席供給量も推移データです。コロナ前と比べ、黄色のアジア・太平洋地域(-60%強)の国際線が、北米地域(-20%)や欧州地域(-20%)などの他の地域と比較し、明らかに出遅れていることがわかります。

 

出典:ICAO

 

前述の入国制限が緩和されれば、アジア地域も他地域と同様に、早急な回復が見られるでしょう。上記グラフは、今後の国際線需要を予測したシナリオ(Better)となっております。図に示されているように、アジア太平洋地域において、年内までにコロナ前の-4割程度までに回復することを期待したいと思います。

 

 

前回・今回の供給座席数とは異なり、次回はANAの実際の旅客数推移データをもとに、日本国内際線動向について確認したいと思います。

日常生活の変化が激しく、だいぶ更新をさぼってしまいました。。。

 

2020年から続く(正確には2019年)COVID-19(コロナ)パンデミックの影響で、航空業界はどの業界よりも厳しい影響を受けたことは言うまでもありません。しかし戦後最悪の世界的ともいえる航空業界における状況も、ようやくワクチンや治療薬の登場により改善しつつあります。今回はそんなアフターコロナ下における航空需要の回復について、ふたつの国内線路線データをもとに分析したいと思います。なお、最新の路線ごとの需要データがないため、供給データをもとに推測します。

 

1)日本国内

まずは日本国内線の運航状況について見たいと思います。ここでは日本の代表的なドル箱路線である東京(羽田+成田)⇒福岡片道の供給座席量をOAG社のデータをもとに見ます(2019/1~2022/5の航空会社別月ベース)。

 

2020年の1月下旬ごろから中国武漢におけるコロナの蔓延の深刻さが世界に伝わり始め、航空輸送に影響するようになってきました。その後戦後初めて緊急事態宣言が国内で発令され、同年GWには航空会社によりパンデミック直後の半分以下まで低下しました(特に日本航空)。その後何度かコロナの波が続き回復つつあっても、また低下するということを繰り返して、低迷が続きました。しかし、2021年秋ごろには国内でワクチンが普及し、回復をみせます。オミクロンの蔓延で一時また下がりましたが、2022年5月はGWもあり、日本航空に関してはコロナ前とほぼ同じ座席供給量に戻しております。一方ANAはまだコロナ前ほどではないですが、日本航空と同じ程度の座席供給量まで戻しており、全快まであと一歩の状況まで戻ったと考えられます。その他のエアラインも同様に戻しております。

 

 

2)米国国内線

国内線が強いエリアとして米国の国内線を選択しました。特に巨大都市を抱えるカリフォルニア州とニューヨーク州間の航空供給量に注目しました。(2019/1~2022/5の航空会社別月ベース)。

米国の2州間のコロナによる急減速は、日本国内線より激しかったことがわかります。ユナイテッド航空(UA)やジェットブルー(B6)は2020年5月ごろには1/4程度まで急減速したことがわかります。その後も厳しい移動制限によりなかなか航空需要は回復しませんでした。2021年にようやくワクチンが打たれるようになり、右肩上がりに回復を見せていきました。2022年にはほぼコロナ前の同等レベルか、ニューヨークJFK空港に拠点を置くB6はコロナ前以上に回復をしました。米国国内線の急回復が激しいことがわかります。2022年5月現在、ウクライナ戦争による影響により、原油価格はWTIが100ドル以上を常時つける異常事態で航空券の高騰が見られておりますが、それでもアフターコロナによる航空需要の強さを示しております。

 

 

3)世界の国内線推移

このように国内線需要は、ワクチンの登場により各国で急回復をしており、ほぼコロナ前と同レベルに回復したとみてよいでしょう。下記はICAOが毎月公表している国内線供給座席数データで、コロナ直前を100としたデータを示しております。このように回復度具合において、地域格差が大きいことがわかります。

出典:ICAO

アジア以外の地域ではほぼ-10%以下まで戻しており、アフターコロナ景気の最中にあると思われます(一部地域では100を超えて、コロナ前越えを見せてます!)。一方で、アジア太平洋地域は2022年4月時点でまだ-30%と出遅れている状況にあります。特に中国は例外的にオミクロン拡大に対して、上海や北京など一部都市で再び厳格なロックダウンを取り、国内需要は停滞しているとのことです。早く、アジア地域を含む世界規模での回復を期待したいものです。

 

次回は国際線の主要都市間の供給データについて見てみたいと思います。

前記事では、ウクライナ情勢の旅客便への影響について書いたが、今回はまた航空貨物に焦点を当てたい。

 

コロナ禍で航空貨物の需要が増加し、供給が逼迫していることについて触れたが、ウクライナ情勢の影響は日欧間の航空サプライチェーンに完全な混乱と破壊をもたらしたと言って、差し支えないだろう。もはやほとんど機能していないのだ。西側諸国とロシア双方間の飛行禁止により、旅客便だけでなく、貨物便もロシアを避けて飛行しなければならなくなった。戦争報道であまり触れられていないが、それにより航空貨物網は前例にないほどに混乱している。この混乱は、航空業界の歴史に書き込まれるレベルの大惨事であるだろう。

 

前記事の通り、日欧間の旅客便はウクライナ戦争前と比較して半減している。そしてウクライナ戦争前の時点で既にコロナ前と比較して、便数が半減していることを思い出してほしい。航空貨物の半分以上は通常の旅客便の床下貨物部分で運ばれており、これは壊滅的や破壊的な影響という形容詞が最適だろう。

 

この影響は如実に表れている。日本海事新聞によると、航空貨物機のチャーター費用が1機2.5億円へと高騰しているとのことである。コロナ禍前の平均的なチャーター料金は1機5000万―6000万であるから、5倍程度である。

 

また、日本郵便は欧州向けのEMS(国際スピード郵便)を停止した。 これは欧州在住日本人にとって大変なことであるだろう。

出典: impress

 

(2022/3/20追記)

イギリス、フランス、ドイツ、ベルギーなど、一部欧州向けのEMS受け入れを徐々に再開しているとのこと。

出典: FNNプライムオンライン

 

航空貨物専用機を運航するNCAやANA Cargo、DHLなどはロシアを避ける形で日欧間の運航を部分的に再開した。しかし、旅客機を活用した貨物便はまだまだである。現在ロシアへの経済制裁の影響で、原油価格は歴史的な高騰をしており、ジェット燃料も同様に高くなっている。加えてロシアを避けて飛行しないため、余計に燃料が必要となる。そのため、航空会社各社はこれまでの旅客機を使った貨物便の運航に二の足を踏んでいる可能性がある。

 

まだ報道は少ないが、サプライチェーンへの影響も甚大であると考えられる。高額な電子機器や自動車部品は航空貨物で運ばれることが多いため、これらメーカーへの影響もじわじわと表れ、最終的にはコロナかのサプライチェーンの混乱のように、消費者にも直接影響が出てくるだろう。

 

ウクライナ戦争直後のため、まだ確かな数字には表れていない。貨物に関するデータが公表され次第、定量的な分析を行いたい。

 

 

3月24日をもって本情報の更新を停止したのでご注意ください!稀にみる状況のため、歴史的価値からこのまま保存・維持しておきます。

 

 

前記事では、一部の欧州国によるロシア航空機の乗り入れ禁止と、ロシア政府による対抗措置について書きましたが、その後状況は劇的に悪化し、EUだけでなく非欧州の米国や永世中立国のスイスを含む多くの欧米諸国が、ロシアに対して制裁を開始しました。また、日本政府は実施していないものの、安全の観点から日系エアラインも3月12日現在はロシア上空の飛行を行っておりません。

 

こうした状況はせっかく日本政府が水際対策を緩和し始めたにもかかわらず、航空会社に打撃を与えております。日欧の一部航空会社は運航を再開したものの、イレギュラーな運航パターンとなっております。日本・ヨーロッパを往来する利用者にとっても、飛行時間や追加運賃などの面で多大な負担となりうるでしょう。かつて欧州を拠点にしていた筆者にとっても気になる状況でありますので、現在運航されている日欧路線(旅客便のみ)について紹介したいと思います(3月24日現在 今回をもって更新中断)。

 

日本航空

東廻りによる運航 ※日本から見て

●羽田⇔ロンドン 1~2便/日(曜日による)(~4/7)

●羽田⇔ヘルシンキ 運航頻度は週による(~4/7)

 

ANA

西廻りによる運航(ロシアを避けて南方を飛行)

●羽田⇔フランクフルト 1便/日程度

※2022年3月18日(金) 以降の羽田発フランクフルト行(NH203およびNH223)は、直行便からウィーン経由に変更。給油のためのテクニカルランディングのため、ウィーンでの乗り降りは不可。


●成田⇔ブリュッセル 曜日により異なる


●ブリュッセル⇒中部 3月11日のみ(片道のみ)

 

●フランクフルト⇒成田 3月17日のみ(片道のみ)

 

●フランクフルト⇒中部 3月17日のみ(片道のみ)

 

●フランクフルト⇒関西 週1便(月曜日のみ、片道のみ)

 

フィンエア

西廻りによる運航(ロシアを避けて北極圏を飛行)

●成田⇔ヘルシンキ 週4便

 

ルフトハンザ航空

西廻りによる運航(ロシアを避けて南方を飛行)

●羽田⇔フランクフルト 週3便(3月4日~3月25日)

 

スイス・インターナショナル・エアウェイズ

西廻りによる運航(ロシアを避けて南方を飛行)

●成田⇔チューリッヒ 運航頻度は週による(~3月26日)

※週3便程度?

 

エールフランス

西廻りによる運航(ロシアを避けて南方を飛行)

●成田⇔パリ 週3便(2月1日~3月26日)

羽田運航無し

 

●成田⇔パリ 週4便(3月27日~5月29日)

 

●関西⇔パリ 週3便

 

KLM

西廻りによる運航(ロシアを避けてソウル経由で南方を飛行)

※ソウルにて乗り継ぎ可能(途中乗機/降機可)

●成田⇔アムステルダム(ソウル経由) 週2便 (3月14日~3月末)

 

●関西⇔アムステルダム(ソウル経由) 週2便 (3月14日~3月末)

 

LOTポーランド航空

西廻りによる運航(ロシアを避けて南方を飛行)

●成田⇔ワルシャワ 週1便程度 (いつまでは不明)

 

トルコ航空

西廻りによる運航

●羽田⇔イスタンブール 週5便 (~3/27)

 

●羽田⇔イスタンブール 1便/日 (3/28~)

 

【HIS】旅行プログラム

 

上記が3月24日時点(今回をもって更新中断)で確認されている運航中の欧州便です。ブリティシュエアウェイズやSASなど多くの欧州航空会社は未だ運航を見合わせております。また、上記の欧州便はいずれもロシア領空の飛行を避けた航路をとっており、通常より3~5時間程度余計に飛行時間がかかっております(詳細は各社スケジュールをご確認ください)。状況は非常に流動的ですので、ご自身でのご確認も併せてよろしくお願い致します。筆者もしばらくは毎日確認していきたいと思います。

 

図: 羽田=ロンドン間をシベリアを避けて東廻りでアラスカ上空を飛ぶJL42

コロナで喘ぐ航空業界にとって、新たな深刻な頭痛の種が発生した。

ロシア軍は2022年2月24日より、隣国ウクライナの侵攻を開始した。その直前にロシアは、ウクライナ領土内の親ロシア地域の独立を承認した。大義名分は、独立国内のロシア系住民の保護だが、実際はウクライナのNATO加盟阻止だと考えられている。

 

NATO諸国はロシアの侵攻に対抗して、複数の経済制裁を実行している。その一つが、ロシア航空機・エアラインの領空飛行の禁止である。もちろんロシア政府は報復措置として、同様の飛行禁止を相手国に課している。

 

最初のロシア航空機の飛行禁止を発表したのはイギリス政府であった。アエロフロートなどのロシア航空会社は同国を乗り入れはもちろん、上空を通過することもできなくなった。ロシア政府は直ちに、イギリスに対して同じ措置を課した。

 

残念ながら、この経済制裁はロシアより欧州諸国にとってのほうがインパクトが大きいというジレンマを抱えている

 

例えばイギリスの場合、ロシアにとってこの制裁により、ロシア航空会社は同国を乗り入れと上空通過ができなくなった。もともとイギリス領空を飛ぶ便は、ロシア・イギリス間のフライトなどに限られている。

 

一方で、イギリスのエアラインへの影響はより深刻である。欧州からアジア諸都市へ向かうは、これまで全てロシアのシベリア上空を飛行する必要がある。なぜなら最短距離でヨーロッパとアジアをつなごうとすると、どうしてもロシア上空を飛行しなければならない。

 

2022年2月24日の日本航空44便(ロンドン・ヒースロー⇒50万円程度の通過料金を支払うことになる。

上空通過料として旅客一人あたり7000~10000クローナ(約7000~10000円)かかるということ

出典: Sky-Budget

 

ブリティシュエアウェイズは、2022年2月27日現在コロナの影響で自社便で日本路線をしていないものの、ほかのアジア路線の欠航を余儀なくされている。現在はエアライン各社が旅客機で貨物を輸送しているケースも多々あり、コロナで打撃を受けているエアラインにとって影響は甚大になる可能性がある

 

ほかの欧州諸国もイギリス政府に追随し始めている。それに対して、ロシア政府は報復措置を予定または実施している。

27日現在で、ロシア機の上空通過禁止を表明した(または計画する)国は下記のとおりである。

 

イギリスドイツ、ブルガリア、チェコ、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、ラトビア、リトアニア、エストニア、イタリア、フィンランド、ベルギー、オランダ、フランス、デンマーク

出典:BBC (2022年2月27日現在)

 

赤字の国からは、自国エアラインが日本に乗り入れている(貨物エアライン含まず)。また、EU加盟国すべてが、禁止させる可能性の報道も出てきている。その場合、事態はソ連との冷戦時代と同じ状況に陥る可能性がある。少し前にはとても考えられない動きである(ウクライナ侵攻そのものが想定と理解を超えたものであるが)。

 

ドイツ政府の急な措置により、フランクフルトへダイバートを余儀なくされたルフトハンザ716便(フランクフルト⇒羽田)

 

日本政府からはそのような措置は発表されておらず、日系エアラインにそのような動きは現時点では見られない。

 

ブリティシュエアウエイズはアジア路線に関して、冷戦時と同様にアメリカ・アラスカ州のアンカレッジを経由する可能性を示している。冷戦時代は経由地として重要な要所であったが、いまは主に重量が重い貨物機が経由する程度である。不幸な形で、アンカレッジがまた日の目を浴びる可能性が生じてきた。アンカレッジを経由することで、余分な飛行時間と燃料がかかることは言わずもがなである。旅行者は不便を被り、エアラインは余計なコスト増加につながり航空券を値上げせざるを得ず、需要がしぼむことが予想される。これは旅客便だけでなく貨物便も同様である。領空飛行停止が長引く場合は、他のエアラインも検討する可能性が十分にある。

 

筆者としては、効果の薄く、むしろ自国への悪影響が大きい不毛な経済制裁ではないかと感じている

 

次の記事では、その影響について深堀することを検討している。

2020年初旬から世界的に発生したコロナパンデミックは、航空業界にかつてない規模でダメージを与えた。

本書では主要エアライン8社の決算書を元に、どのような影響があったかを数字から読み解いていく。Googleファイナンスでデータを抽出しやすかった主要エアラインを選んだ。利益率のグラフを除いて、Y軸の単位は1億ドル。分析はPower BIを使用。
(CSN:中国南方航空、DLH:ルフトハンザ航空、FDX:フェデックス、JAL:日本航空、KAL:大韓航空、LUV:サウスウエスト航空、SIN:シンガポール航空、UAL:ユナイテッド航空 ※アルファベット順)



 

1)パンデミック直前:2019年
●収益

 

 

 

まずは過去5年間の収益(売上高)および純損益のデータを確認したい。
パンデミック直前の2019年の収益額は次の順である。
大韓航空<シンガポール航空<日本航空<サウスウエスト<中国南方航空<ルフトハンザ<ユナイテッド航空<フェデックス
注:JAL、SINは3月31日締め、FDXは5月31日締め。これらは一部コロナの影響を含んでる。

それまでの航空需要は世界規模で年々増加傾向にあり、各社増加傾向を示している。

●純損益

  

 

次に2019年の利益率でみると次の順である。
大韓航空<フェデックス<中国南方航空<ルフトハンザ<日本航空<シンガポール航空<ユナイテッド航空<サウスウエスト航空

 

まず注目すべきは、サウスウエスト航空の10%を超える高い利益率である。同社は以前から高い数字を出していた。LCCのサウスウエストは常に高い利益率で定評である。日本航空も2019年の決算以前は10%以上の高利益率をたたき出していた。

一方で、コロナかで高い利益率を出している航空貨物を手掛けるフェデックスは2019年では1%以下と、予想外に低い。これは中国で幅広くビジネスを展開する同社が、同年に発生した米中貿易摩擦により、両国間(日中を含む)の航空貨物量にブレーキがかかっていることが大きく影響している。これは他の貨物エアラインも同様の影響を被っている。

中国南方航空も同様の影響に加え、中国路線における過当競争が同社を含む中国エアラインの低い利益率につながっている。

大韓航空は唯一赤字を計上している。当時韓国内ではアシアナ航空及び参入が乱発したLCCとの競争が激化していて、利益率の低下につながっていた。さらに、貨物比率が高く、更に中国比率が高い同社にとって米中摩擦は打撃となった。

2)パンデミック直後:2020年
2020年1月に武漢での蔓延が表面化し、中国政府は異例の都市ロックダウンと、国民の旅行禁止を実施。各国は様子見をするなかで、航空輸送を通してウイルスは世界に拡散。各国は中国との運航停止を指示、次第に水際対策を強化していった。



 

2020年の決算からその影響が反映されている。各社2020年は最大の損失を被っている。

国際線比率の高いエアラインは特にダメージが大きかった。国内線は非常にわずかで、蔓延が深刻であったヨーロッパのルフトハンザはこれらエアラインの中で最大の損失を計上している。シンガポール航空は国内線を全く持たないため、損失率は100%を超えている。

一方で大韓航空は、引き続き赤字ではあるものの、2019年の赤字額を縮小させた。これは大韓航空は多くの貨物機を保有し、コロナかの航空貨物特需に応えることができたからである。貨物便しか運航をしないフェデックスは唯一黒字を計上した。

複数のエアラインは資金調達に奔走し、①株式増資を実施、②金融機関から調達、③公的資金の調達などがみられた。

3)パンデミック1年後:2021年
世界的なパンデミックから1年が経過した2021年では、各社に違いが見られるようになった。主に下記の特徴が見られる。

 

①コロナワクチン、経口薬の承認・普及
ワクチンの普及は、航空業界にとって最大の救済となった。ワクチンの普及は国内線の再開にすぐに効いた。こうしたことから、国内線比率が比較的高い、米国、日本、中国では国内線を主にした回復が見られる。一方で、国際線に関しては、国によって水際対策の対応が分かれるため、2021年ではまだ低く推移している。とりわけAPAC地域での水際対策の強度は強い。

国内線比率が高いUALは四半期で黒字を達成した(LCCのLUVは年間で達成)。JALも4Qではキャッシュバーンをほぼ0にした。

②航空貨物特需
前年から続いているが、航空貨物特需により航空貨物単価は急騰した。これにより、貨物を運航しているエアラインにとって恵みの収益源となった。FDXやKALという貨物便を運航するエアラインは黒字を計上している(ルフトハンザも貨物比率は高め)。また、ほとんどの旅客エアラインは現在旅客機を使った貨物輸送を実施しており、旅客部門で発生している赤字補填をしている。


こうした状況から、国内比率と貨物比率が高いエアラインはよりコロナ・パンデミックに対して耐久性があると考えられる。また2021年に入ってから各社売上、利益率は少しづつだが回復傾向を見せている。2021年に入ってからデルタ型、オミクロン型と新しい脅威的変異種が登場し、そのたびに新しい感染の波が発生した。しかし、各国ではwithコロナに向けた社会体制づくりを整えている。今後は、少しずつ航空会社の収益性が改善していくことが期待される。