それはともあれ、大会のレベルの高さは知る人のみぞ知る水準!形の個人戦と組手の団体戦が特に闘志が炸裂し合い、見どころ満載の大会となっています。そんな東京都シニア大会の形競技へ久しぶりにエントリーしました。今年の女子の形は松と竹が総勢59名、梅の部は4名でした。全体で4面あるうち松竹合同の使用面は1コートだけなので、優勝者が決まるまで2時間半、延々と形が繰り広げられます。選手は、各道場においては指導者クラスである方々も多く、一瞬として目が離せないほど内容の濃い競技となっています。
この日のために私が稽古してきたのは「セイエンチン」。4回も出てくる四股立ちの切り返しには瞬発力が要求されるので、目の前に聳え立つ<落ちることのない城>のような存在でした。最近数年間取り組んできたものの、なかなか納得がゆくようにできないので、「もうやめよう、この形はやめるんだ!」と何度も思わせたものでした。
かといって、セイエンチンを制せずして、その先の新しい形には進めない気持ちになっていました。今年のシニア大会で勝たなければ、1年間はまた先に進むことができないという強迫観念さえ抱いていました。しかし、ふと「セイエンチンは惚れ惚れするようないい形だなぁ」と思えた時がありました。その時から本当の稽古が始まったような気がします。
大会本番では、気持ちを集中させるようにしました。判定方式はフラッグ制。赤の自分が「セイエンチン」と形の名前を言った後は、青の相手が発した形の名はもう耳に聞こえてきませんでした。自分のセイエンチンと闘う気持ちしかありませんでした。・・・結果は勝ちでした
そのことで気付いたのは、フラッグ方式の形競技においては相手を意識しない方がうまくいくという事でした。気にすればするほど負けを引きこんでしまいそうです。闘う相手は、形の中の想定上の敵以外にはないのです。その敵が見えるほどに、そしてその敵に勝てるほどに稽古を積む。そこにこそ形をする醍醐味があるといえましょう。
よく稽古を積まずして安易に級や段位だけを欲しがる人がいたりします。私自身も、早く黒帯を締めたいと気持ちが焦った時もありました。でも、そんな時は自分の真の相手が見えていなかったし、自分自身さえも見えていなかったと今は猛反省しています。級や段は他の人との差を示すものと錯覚されがちですが、標準は他人ではなく、己の課題にいかに取り組むかという自分の内側にあるものだと思います。順番を覚えた程度で審査に臨むとしたら、それは通過するだけであってステップアップしていないことになります。
昇空館の皆さん、じっくりと本物の空手や古武道をしていきましょう。大会であまりに素晴らしい形の数々を今回観て、そんなことを感じてしまいました。地道に稽古して、東京都シニア大会でいつか私も梅の花を咲かせられたらいいな、と思っているこの頃です。
)とハードな日程でしたが充実した合宿になりました。