おわら風の盆【札幌・高間満生さん】 | 富山市八尾山田商工会 わいわい やつお やまだ

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おわら風の盆の八尾(やつお)と柿酢やりんご、大根で有名な山田の地元情報をお届けします。

今年のおわらで楽しみにしていたことがあります。

私には毎年、おわらを楽しみに札幌から八尾にきてくれる友人がいます。

踊りをすべて覚えて、夜の町ながしの時間になるとすっとんでいくような友人です。

なんとその友人がおわらの法被を貰うというのです。しかも町ながしに参加するというのです。

こんなことは前代未聞といっていいんじゃないでしょうか。

なにせ、おわら風の盆でおわらを踊る人は、地元の人かその縁者くらい。

八尾町以外で衣装を着て踊る人といったら、お嫁に行った人の子供とか仕事でやむを得ず八尾を離れた人ぐらい。

県外で、しかも親戚もいない私の友人が法被を着させてもらうことなんてほとんど奇跡に近いことです。

と、いうか。今まで例はないのでは・・・??少なくとも最近は聞かないことです。

しかし、友人はそれをやってのけたのです。

彼の人徳であるとともに、そのおわらを愛する気持ちが町の人にも伝わったんでしょう。

昨年のおわらのときに法被をもらうという話がでて、そこから一年。

私は楽しみに彼の法被姿を待っていたのです。


私と高間満生さんが出会ったのは5年前のおわら風の盆のときでした。

おわらの時は西町の平野電機さんの店先にはおわらのおみやげものが並べられていました。

私はそちらにお邪魔しておりました。

縁台が置かれ、演舞場の模様を生中継するケーブルテレビを写した大きなテレビが店先にありました。

そのテレビに見入る一人の青年が、高間さんだったのです。

「演舞場いってきたら?」

「いや、お金がないので入れないのです」

彼は縁台に座り、ずっと演舞場の模様を見ていました。いつまで経ってもみていました。

どこか放心したような、上気したような顔をして。

変わった子やな、と私をはじめ平野電機さんも思ったと思います。

いまどき、おわらを愛する「若い子」なんて地元の子しかみたことがないのですもの。

あきらかに県外の人で、しかも男の人・・・なんか変わってる??

聞くと、テレビなどでおわらを知り、一度みてみたいと思っていたそうで。

当時、高間さんは東京に住んでいて、青春18きっぷで富山にきたと聞いたときはびっくり。

各駅停車で東京から八尾なんて…気が遠くなる…

疲れもあったのでしょうが、高間さんは平野電機さんから動くことはなく。

「ご飯食べたの?」

「食べてないんです…」

聞くと、宿もとってないし、ご飯を食べるお金もあまりないとのこと。

そんなおわら好き青年をほっておくこともできず。

結局、平野電機さんでご飯をごちそうになっていました。もちろんお酒付(笑)

ほろ酔いになった高間さんを、夜のおわらの町へ誘い出しました。

実はそのとき、八尾の取材にきていたフリーのライターさんがいたのですが、その人への案内もあり、平野さんが八尾の町を案内したのです。

私もちゃっかりついていき、いろいろと連れて行ってもらいました。


最終的に東新町に知り合いのうちがあるので、そこに連れて行きました。

そのうちは中川さんといって、娘さんが全員東新町おわらの踊り手のOGさん。

深夜の町ながしには必ず参加するので、一晩中ガレージにおとうさんがいらっしゃる。

椅子やテーブルを出し、おわらを観に来た知り合いに飲み物を勧めてくださるのです。

ガレージならば雨露をしのげるし、なによりお話好きのおとうさんがいるから…

私たちは、高間さんとそのライターさんを中川さんのガレージに置き去りに…

宿がないことは知っているのですが、かといって知らない人を泊めることもできず。

このガレージで朝までがんばれ…さらばだ!と帰ってきたのでした。

中川さん、その節は本当にありがとうございました。


ということで、それが運命の出会いになったようで。

次の年もその次の年も…毎年、高間さんは八尾に訪れるようになりました。

その間に、東新町の中川さんを通じて町の方とも仲良くなっていったようです。

もちろんおわらもしっかりと教えてもらったようです。

お宿は、平野さんの倉庫を使っても良いということになり。

西町に泊まりにきて、東新町に踊りにいくという変わったおわらのすごし方をするようになりました。

もともと創作舞踊をやっていたので、おどりも凄く伸びやかできれい。

そんな青年を東新町の人たちは快く向かえ入れてくれたのでした。

もう5年、高間さんは八尾に通ってきています。


私は毎年会えたわけじゃないのですが、彼がくることが楽しみになっていました。

昨年来たときは、衣装を付けた東新町の町ながしのど真ん中に、自前の浴衣で踊る彼の姿をみて思わず笑がもれました。

なんといっていいか、そう。一生懸命でほほえましいというのでしょうか。

中川のおとうさんが「ほれ、行ってこい」といって送り出してくれたのが、町ながしのど真ん中だったのです。

最初は戸惑う高間さんでしたが、すっと踊りに入っていきました。

きっと、何も知らない観光客の皆さんは戸惑われたことと思います・・・

なぜ浴衣の人が真ん中で踊っているんですか…?となったと思います…

夜中の町ながしでは自前の浴衣で踊る方もいるのですが、まだその時間は行事の時間帯でした。

中川のおとうさんも、町のひとも「こいつならいいや」といった感じ。

更に高間さんは、東新町の皆さんからあだ名までつけられていました。

「若大将」

謎・・・なんでかはわかりませんが、東新町出身の方にそう呼ばれたらそれが定着したようです。

今では「高間さん」といっても通じず、「若大将」といわないと町の人は分かってくれません。

そんな高間さんをぜひこのブログで紹介しようと思っていたのですが。

富山新聞さんに先を越されてしまいました…

しかも宮崎駿監督の長編アニメ引退の記事の隣。

出世しすぎだ、若大将!!

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ブログのために写真撮らせて~とお願いするとこのポーズをしてくれました。

案の定、他のお客さんも便乗して撮影を開始。

まるでアイドルの撮影会のような時間になってしまいました…



高間さんは、爽やかな青年です。

しかもまじめです。

自分の踊りが合っているかどうかが物凄く気になります。

そして納得するまで、教えてもらいます。

高間さんにとって、この三日しか教えてもらう日がないのです。

必死で覚えています。

町の人も、そんな彼だから受け入れてくれているのでしょう。

しかし…おわら風の盆は楽しまなくちゃ損です。

来年くるときは、もっと楽しんで欲しいものです。


法被姿、とても似合っていました。

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来年のおわら風の盆のときは、東新町の若大将を見に来てください。

若大将、まってるよ!