イラン革命3年前に作られたアッバス・キアロスタミの少年をテーマにした50分映画。
A Wedding Suit (結婚式のスーツ) ーAbbas Kiarostami (1976)
لباسی برای عروسی - عباس کیارستمی
アッバス・キアロスタミは、2016年7月4日、76歳で亡くなられたイランの映画監督です。
アッバス・キアロスタミ監督の代表作1987年の『友達のうちはどこ』は、隣の席の友達のノートを間違えて家に持って帰ってしまった男の子が、明日までの宿題のためにそのノートを友達の家に届けるお話です。夜遅くまで山を越え、林を抜けて走り回って友達の家を探しまわります。
場所は、イランの北部のカスピ海周辺にある、コケールとポシュテの隣り合った村です。『友達のうちはどこ』の撮影後1990年6月にイランの北西部でマグネチュード7.3の大地震がありました。カスピ海周辺の市町村では建物の被害、人的被害がかなり出た地震でした。大被害が出た地震の後『友達のうちはどこ』の映画に出演した人々を捜すという半分ドキュメン映画で1991年の『そして人生は続く』があります。
子供達、人々を優しく見つめるキアロスタミの暖かさを感じます。
『そして人生は続く』の後の1994年の作品『オリーブの林をぬけて』に続きます。
この3作品の舞台はコケールで、コケール・トリロジーと呼ばれています。
1997年の『桜桃の味』、1999年の『風が吹くまま』などの作品は、イランの詩人ウマル・ハイヤームのルバーイヤートの詩を思い起こさせてくれます。
今回紹介するA Wedding Suit(結婚式のスーツ)は、1976年の作品です。
イラン革命が1979年ですので革命3年前に作られました。
女性は、スカーフをしている人、していない人、チャドルという全身を覆う布を付けている人と、いない人と。決りではないので女性の各々の好みで付けてます。
特にチャドルは、見てると大変便利そうです。部屋着など着ていても、出掛ける時にさっと頭から被れば普段着でも隠す事が出来て便利が良さそうに見えました。
映画は3人のティーンエイジャーの少年達の軽はずみな行為が大人の社会では通用しないという事を身をもって知らされるという内容です。
小学校を出ると技術を習得する為に弟子入りをして、お店で寝泊まりをしながら雑用をして仕事を覚えるという子供達がいました。親方というお店の主人からは、しつけなども厳しく教えられるようです。親代わりとなり仕事を教えながら手に技術を教えて行きます。
一人の男の子が紳士服の仕立て屋さんに弟子入りしております。年の頃15歳ぐらいです。まだ幼い顔立ちです。そこにひとりの婦人が年の頃15歳ぐらいの息子を連れてきて、婦人の姉妹の結婚式の為、息子が結婚式で着る紳士服のスーツの仕立てをして欲しいと頼みます。弟子の少年は、仕立て屋の親方の横で同じ年の少年を見ています。婦人の息子は自分の好みのスーツのデザインが写っている写真などを見て生地の柄、若者が好きなデザインの注文をします。
同じ建物で同じ様に弟子入りしている二人の少年がある計画を立てました。一人はミシンがけをしている17歳ぐらいの少年、もう一人は、カフェで働いている15歳ぐらいの少年です。二人とも仕立て屋に弟子入りしている少年よりも、ませているようです。
計画は、仕立て上がったスーツを仕立て屋の親方が家に帰った後に夜そのスーツを着て夜の町を少しウロウロしようという計画でした。しかしカフェで働いている少年は、スーツを着て朝になっても戻ってきません。その朝は、婦人と息子が受け取りにくる予定の日です。仕立て屋の弟子の少年は、朝からドキドキです。親方が店に来て自分たちのやった事がバレてしまうんではないか、婦人と息子が受け取りにくるのではないかとハラハラです。
仕立て屋の親方が店に来る前にギリギリでカフェの少年はそのスーツを着て戻ってきました。しかし朝帰りをした事でカフェの店主からひどく叩かれました。鼻血が出てスーツのズボンを汚しました。カフェの少年がしゃがんで泣いている間に仕立て屋の少年は、スーツを脱がして血を急いで拭きハンガーにかけました。そこに仕立て屋の親方と結婚式のスーツを受け取りにきた婦人と少年が同時に店に入ってきました。
仕立て屋の少年は、ドキドキです。
しかし婦人と息子は結婚式に行く為に急いでいるので、ズボンの試着はしませんでした。
ホット一息です。
しかし婦人と少年が戻ってきて、やはり心配なのでズボンも試着したいと店に入ってきました。仕立て屋の弟子の少年はドキドキです。
でも仕立て屋は、試着しなくても綺麗に出来てると言って、婦人は、安心して店を出ました。
仕立て屋の弟子の少年には人生の大きな経験となりました。
セリフが必要ない程に少年達の表情が上手いです
撮影現場
(http://www.akhbar-rooz.com/article.jsp?essayId=74580)