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将棋LIFE

タイトル戦やNHK杯等の注目局の検討を行っております。
また定跡研究、創作次の一手・詰将棋、自戦記も不定期に掲載しております。

第65回NHK杯テレビ将棋トーナメント3回戦第3局、戸辺誠六段と行方尚史八段の一局を振り返ります。



第1図は終盤戦、▲2三銀の王手に行方八段が△4三玉とかわした局面です。数手前は先手の攻め駒は飛車と角しかありませんでしたが、角を叩き切った後の▲2三銀が強烈な一手で食いつきに成功。穴熊らしい展開になりました。飛車角だけで手になるなんて驚きですね、トベ攻めおそろしや…。

実戦では第1図から▲3六歩△同銀▲3四銀成と進んだのですが、感想戦によるとこれが不味かったようです。以下△同玉▲4二飛成△4四角(第2図)と進行。



このとき歩が一つ足りないんですよね…。2歩あれば▲3五歩△同角▲3七歩とできるのですが。実戦は第2図以下▲5八金△6七と▲2六金△同角▲同歩△4四角で後手が余せそうな展開になりました。先手は2七に穴ができてしまったのが痛いです。▲3六歩△同銀で銀を呼び込んだことにより△2七桂が生じています。



第1図では単に▲3四銀成とするのが良かったようです。以下△同玉▲4二飛成△4三金▲2二竜(参考1図)と進んだときに後手の手が難しい。▲3六歩△同銀▲3五歩△同玉▲2六金が先手の狙いなんですが、

△2五銀には▲3六金

△4四玉には▲3六歩△同銀▲2四竜

△4二飛には▲3二金△9二竜▲3三金△同金▲1一竜

いずれも後手良しとはいえません。先手の攻めは細いんですが、チクチク来られると後手としては結構嫌ですね。先手は△6八とと金を取られても痛くもかゆくもありません。こういう展開になると穴熊は心強いです。

負けはしましたが、戸辺先生の苦しい局面からの勝負術はとても参考になりました。行方先生はこれでベスト8。さすがA級棋士て感じですね。

本日の棋譜

先手:戸辺誠 六段
後手:行方尚史 八段

▲7六歩 △8四歩 ▲5六歩 △8五歩 ▲7七角 △5四歩
▲5八飛 △6二銀 ▲4八玉 △3四歩 ▲2二角成 △同 銀
▲8八銀 △5三銀 ▲5五歩 △同 歩 ▲同 飛 △5四歩
▲5七飛 △4二玉 ▲3八玉 △3二玉 ▲7七銀 △4二金
▲2八玉 △3三銀 ▲5九飛 △4四歩 ▲7八金 △5二金上
▲1八香 △1四歩 ▲1九玉 △1五歩 ▲2八銀 △4三金右
▲3九金 △4五歩 ▲6六銀 △4四銀左 ▲7七桂 △3三桂
▲8九飛 △6四歩 ▲6八金 △3五銀 ▲5七銀 △2四歩
▲8六歩 △同 歩 ▲7一角 △8三飛 ▲8五歩 △8七角
▲同 飛 △同歩成 ▲6一角 △8二歩 ▲8三角成 △同 歩
▲8二飛 △7七と ▲5三角成 △同金寄 ▲2三銀 △4三玉
▲3六歩 △同 銀 ▲3四銀成 △同 玉 ▲4二飛成 △4四角
▲5八金 △6七と ▲2六金 △同 角 ▲同 歩 △4四角
▲3八金 △6九飛 ▲3七歩 △2七桂 ▲同 銀 △同銀不成
▲同 金 △3八銀 ▲4六桂 △同 歩 ▲4五銀 △2三玉
▲4一角 △1三玉

まで92手で後手の勝ち