今だからこそ、羽生さんの書籍を紹介します‼ | 将棋大好き雁木師の新将棋文化創造研究所

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「将棋大好き雁木師の将棋本探究」をリニューアルしたブログです。
主に将棋に関する詩などの作品紹介と、自分の将棋の近況報告を行います。

読者の皆様こんばんは。雁木師でございます。さて、注目を集めた竜王戦が今日決着しました。結果は、広瀬章人八段が羽生善治竜王に4勝3敗で勝利し竜王のタイトルを奪取されました。広瀬新竜王、初の竜王獲得おめでとうございます。

 一方、敗れた羽生九段(12/25追記:日本将棋連盟より今後の肩書を「九段」にするとの発表がありました。日本将棋連盟HP「羽生善治の肩書について」)は竜王のタイトルを失ったことで、27年ぶりの無冠となりました。私の父は実は羽生九段と誕生日が同じ(9月27日)なのですが、

羽生さんが負けてもこれまでの功績が色褪せることはない

と言いました。また、私は今日の第7局の決着を某インターネットテレビで見ていたのですが、似た内容のコメントを見かけました。確かにタイトルは失いましたが、羽生九段の今後の巻き返しを願っているところです。

さて、今回はその羽生九段の書籍を一冊ご紹介したいと思います。

タイトルは

羽生善治の将棋

『次の一手』150題」

 

 

著者:羽生善治 出版元:成美堂出版

価格:740円+税 頁数:319P 縦:16cm

昨年の9月に発売された商品です。

次に、今更紹介する必要もありませんが、羽生九段についてもご紹介します。

 羽生九段は、埼玉県出身。1985年に四段(当時15歳、史上3人目の中学生棋士)昇段後、いきなり、将棋大賞で新人賞と勝率一位賞を受賞されます。1987年12月に公式棋戦初優勝。1988年度は対局数、勝ち数、勝率、連勝の4部門を独占し、将棋大賞の最優秀棋士賞を受賞(史上最年少記録)。タイトル初挑戦は第2期竜王戦。島朗竜王(当時)から、4勝3敗(1持将棋)で竜王を奪取。当時は19歳2ヵ月で、タイトル獲得の最年少記録でした(この記録は翌年、屋敷伸之九段の18歳6ヵ月によって破られます)。その後も、タイトルを次々に奪取、防衛し、1996年に王将を獲得して将棋界初の七冠を達成されます。

 初めての永世称号は1995年3月、棋王戦で5期連続獲得し永世棋王の資格を得ます。この年の7月に永世棋聖、翌96年に名誉王座、さらに次の年の97年に永世王位の資格を得ます。その次の永世称号の獲得は2007年王将戦で通算10期獲得を達成し永世王将の資格を得ます。翌08年に悲願の永世名人(十九世名人)の資格を獲得。そして昨年、通算7期目の竜王を獲得し永世竜王の資格を獲得し史上初の永世七冠を達成されました。

ここで、羽生九段がこれまで手にした99期のタイトルの内訳を見ますと

 

竜王 7期

名人 9期

王位 18期

王座 24期

棋王 13期

王将 12期

棋聖 16期

 

特にもっと強いといわれる棋戦は王座戦。19連覇と通算24期は、ともに歴代1位の記録です。他にも名誉NHK杯選手権者(優勝10回)を持っており、一般棋戦の優勝回数は44回にものぼります。これも、歴代1位タイの記録です。

 この功績をたたえられ、今年の2月には国民栄誉賞、先月には紫綬褒章も受章されました。竜王戦は来期から1組、順位戦はA級に在籍し、名人への挑戦権を懸けたA級リーグ戦でも好調を維持しています(12/21時点)。

 

 では、今回の書籍の内容に移ります。この書籍は次の一手問題なのですが、題材は全て羽生九段の実戦譜で、正解の手も実際に羽生九段が指した手となっています。つまり、正解すると「羽生さんと同じ手を指した」という感覚を味わえます。私の経験上、次の一手は当たると嬉しいものです。ただ、喜びすぎて解説を飛ばしてしまうこともたまにあるので気を付けなくてはいけません。で、紹介するにあたって何問かやってみたのですがなかなか当たりません。題材が羽生九段の実戦譜とはいえ、もっと将棋を勉強しなくてはいけないですね。

 構成としては、序盤、中盤、終盤、最終盤というカテゴリーに分けて次の一手の問題を示しています。さらに最終盤は、寄せの場面と、詰みの場面に分けて出題されています。5つの章に分けて、合計150問を用意されています。そして巻末には実力判定をチェックする表があり、正解数に応じて、実力を判定するものです(ただしこれは、あくまで目安です)。初段の目安は、全150問中61~90問正解となっています。実力判定は5段階に分かれており、全問正解なら実力三段以上、以下120問まで正解できれば二段以上、90問まで正解できれば初段以上、60問まで正解なら上級者。正解が30問以下なら2級以下という具合です。私の場合だと、持っている認定状の額面通り1級どおりの実力なのかもしれません。

 こういった次の一手問題は、一度読むだけで終わらずに、繰り返しやることをお勧めします。繰り返し解くことで自分のミス、弱点に気づき力がつくのではないかなと思います。また、今日正解しても、次の日やってみたら間違えたなんてこともありますので、結構これが面白いというのもあります。おすすめとしては、この書籍のコンセプトが初、中級者の方の上達に役立つようにというものですが、将棋を指す全ての方において、力試しの一冊になるかと思います。ぜひ、挑戦してみて「羽生流」を体感してみてはいかがでしょうか。

この書籍を読んで、有益になった、将棋の力がついたというお声をいただければ、これほど嬉しいことはありません。読者の皆様が将棋本を読んで将棋が好きになる、将棋が強くなることを祈念いたします。また、羽生九段、広瀬新竜王の今後のご活躍も併せて祈念して終了したいと思います。本日も最後までお読みいただきありがとうございました。