
原曲の「やさしい訴え」も聞いてみました。チェンバロの短編だったのですね・・・
触れれば壊れてしまいそうな微妙なバランスの繊細な曲だと感じました。
まさに、この小説の世界観と一致します。
情熱的でありながら、繊細で傷つきやすく不安定な主人公。
でも彼女の訴えは本当に優しいといえるのだろうか?男のおいらはそう思えてしまいます。
三角関係の嫉妬や愛憎を描きならも全体に不思議な透明感が漂っているは、人里はなれた高原の別荘と移り変わる自然いった現実と離れた別世界で綴られる物語のせい?小川ワールドに脱帽です※
小川洋子さんの本は少なからず読みましたが、おいらの中では「博士の愛した数式」を超えて一押しの本です
本書より引用
「私にはまるで二人が抱き合っているかのように見えた。私と新田氏が肉体を結びつけた場所は遠く離れたところで、もっと深い私服に浸っていた。彼らに肉体の悦楽など必要ないのだ。そのことを、残酷にもわたしは一瞬のうちに知らされてしまった。彼らだけの営みの場所に紛れ込んでしまった自分を、哀れに思った。」
この小説の核はこの一文では・・・そう思わせるほど、印象に残ってます。