「ほらほら、もう泣かないで…」
『うー、ごめんね翔くん…』
「ううん、俺の前で泣いてくれてよかったよ。ここのところ毎日辛かったよな」
『なんで、神様はこんなことするんだろう…みんな一生懸命生きてるのに…』
「そうだね…でもほら、いつまでも泣いてないで。やっと会えたんだから」
『うん…ありがとう』
ドラマ撮影で慌ただしくしている間、この美しい恋人はずっと世の中のニュースに胸を痛めていて。
何もできないことに苦しみ、心を痛め、1人で傷ついていた。
ようやくやっと会えた今日も。
もちろんこんな災害、俺だって悲しいし苦しい。
ただ潤がこんなにも落ち込んでいて、見ていられなかった。撮影でも訪れたことのある街に特に思い入れもあるんだろう。
一見クールだが実は心から優しくて涙もろい恋人。
今俺ができることといえば、彼の涙を止めるくらいだから。
「潤、ほらおいで」
身体を向き直し腕を伸ばすと、
普段は恥ずかしがってあまりしてくれないが
俺に向き合って乗り上げてきた。
しっかり抱き止めて、背中と頭を撫でて、頬にキスをする。
『う〜…翔くん忙しいなかせっかく会えたのにごめんね…』
本当は明日のオフにくっつけて一泊で温泉にでも行くつもりだったが、とてもそんな気分にもなれず部屋にこもっているんだけど。
こうして普段は殻に隠れている弱い部分を見せてくれて、甘えてくれる姿はとても愛おしい。
「大丈夫だよ。旅行はまた今度行こうな。
今日はずっとこうしてるからいつでも肩も胸もお貸ししますよ」
『ん…落ちちゃう…32.3度…』
「よくそんな細かく覚えてるな!笑」
『ふふ』
やっと笑ってくれた。
鼻まで赤くして啜り泣いてた恋人。
「落とさないよ。ずっと捕まえるから」
そう言って、やっと唇にキスを贈る。
『ん…もっとして…』
甘えん坊の潤。
悲しい気持ちはなくならないけど。
だからこそ、今目の前にいる人をめいっぱい愛して、大事にしたい。
「仰せのままに」
お互いを満たして、まずは俺たちがちゃんと生きないと。
そして、できることを見つけて、その時に備えてやるべきことをやっていこうと思う。
まずは、目の前の人を幸せにしないとね。
もっとたくさんの人を幸せにするために。