触れ合わせてた唇を ゆっくりと離した。



楠の瞳が オレを…追う /////



その瞳に映る熱に…


もう一度… 唇を寄せたくなったけど…





いまやめねーと…



止めらんなくなるから…







楠の潤んだ瞳を見つめながら
額に キスをひとつ おとす。




「…帰ろう。送るよ。」



「///// は、はい。」




急に我に返ったように 
帰り支度を始めた楠を見ていた。




グレーのスーツに 眼鏡。
髪はひとつにまとめてる。
決して 華美なわけでもないのに…
綺麗、、なんだよな。スタイルもいいし。

なにより 纏う雰囲気が凛としていて、
人を惹き付ける。



男性社員達が 用事もないのに会いに来ていたのを思い出す。



オレがミーティングスペースにいた数時間であれなんだから、、明日からもこのまま秘書課にいたら、マジでわんさか虫が寄ってきそうで、嫌になる。



「…専務、お待たせ致しました。…どうかされましたか?」



…いきなり、秘書モードだし。


切り替え早すぎだろ?



「いや、なんでもない。じゃあ、行くか。」



「…私、一人で帰りますので大丈夫です。駅はすぐですし、、もう社内に…いるとは思えませんし。 」 



「…朝、約束したろ? 毎日送るって。」



「…専務が 一方的に言われただけです。約束はしてません。専務は 昨日、体調を崩されてましたから、、松岡社長のお誘いをお断りしたのですし、ゆっくり家で休まれてください。」



また…

オレのことばかり考えてる。


オレを優先するあまり、自分の本心を言わないんだから、困ったものだ。




それならオレが…

素直に誘うしかない。



「…オレはまだ  楠と一緒にいたい。」



目をまん丸く見開き 真っ赤になった楠は
周りをキョロキョロしながら、


「/////  専務!!まだ誰かいるかも…」



慌ててる様子が 可愛らしい/////



「誰に聞かれてもいい。別に困らないよ オレは。」



「///////////////」



耳まで 赤くなってしまった楠が、
丁度 来たエレベーターに乗り込むと…



「…わたしも/////  専務と一緒にいたいです。」



そう言って、隣に並んで ぴたりと体を寄せてくる。




くっそぉ〜


こんなとこで、なんつー可愛いことをしてくるんだ。



エレベーター内は カメラがあるから、触れたくても出来やしない。ぐっと気持ちを抑えて、駐車場のある地下一階へ向かった。



エレベーターから降り、警備室の前を通り過ぎてから、隣にいる楠の手を握った。



楠をチラリと見れば 恥ずかしそうに微笑んでいた。





//////////



なんて柔らかい顔をするんだろう…



会社では見たことないその笑顔に ドキッとして、///// このまま連れて帰りたくなった。



普通に誘えば断られることは明白だから
切り札を使うことにした。



「 真っ直ぐ 家に帰るのと、みなみとサクラに会いに うちに来るのと、どっちにする? 」



「え♡ いいんですか?みなみとサクラに会いたいです♡」



「( ˘•ω•˘ ).。oஇ」



作戦は成功したが、余りに嬉しそうにのってきた楠に イラっとする。



「…どうしたんですか?」



「…傷ついた。」



「…どうしてですか?」



「みなみとサクラに、負けた感 ハンパねぇし。」



「えっ! 」



びっくりした顔したかと思ったら、クスクス笑いだして、優しい瞳になる。



「専務と一緒にいたいのは 本当ですよ。だから、そんなに可愛い顔して いじけないでください。」




「/////  べつに、猫に妬いてねーし。メシは、どーする? お腹空いてるだろ?」



「そうですね…」



「…買って帰るか?」
「…買って帰りませんか?」



声と意見が、揃った。

お互い目を合わせて なんだか照れくさくなる。



「…話すタイミングが よく合いますね。」





また…


優しく微笑んだ楠に、


止めらんなくなって、、キスしてた…







暫し…



車を発進させることが出来なかった…