【目標は殺処分ゼロではなく、譲渡率を高めること】

環境省の統計にある殺処分数の内訳には、(譲渡不適切)があります。

1、個体的理由

①病気(感染症、治療不可)や怪我(予後不良な状態)

  限られたスペースでは、パルボ等の感染症は拡大する前に対処しなければ重大な事態を引き起こす。

痛みや苦しみから解放するために安楽死が必要な場合もある。

②性格(人馴れしない、攻撃性がある)

  譲渡に時間がかかる。乳児や大型犬は飼育する職員の負荷も大きい。

幼齢、老齢、病気や、施設内事故による死。


2、人為的理由

①収容スペース

②人員の不足

どちらが欠けても飼育困難に陥る。


先日のセミナーであるセンターの獣医師さんのお話が忘れられません。

「昔は毎年700匹から処分していたのが、現在は70匹位まで減りました。処分する私もメンタルつらいですよ。安楽死という最終手段が出来るのは私たち獣医師だけだということをわかってください。あまり責めないでくださいね。」


1の①はゼロには出来ません。

2の問題を解決しても、収容数が増えるだけ。譲渡数を増やすためには

譲渡しやすい動物を増やさなければなりません。

そのためにはセンター、愛護団体共通の分類が必要です。


【アシロマー報告】

2004年米国の愛護団体年次総会にて「年次活動報告を統一しよう!」と宣言されました。


A.健康な個体…すぐに譲渡可能

B.治療可能…適切な対応により更正、管理が可能

C.不健康・治療不可能

当初はCであっても、B⇒Aに変わる可能性があります。

これら3つの分類毎に入所、在所、出所数を記録します。


この記録を公表することで、各団体の特色が明確になりました。

・宣伝効果上がり寄付が集まる。

・譲渡率が上がると、保護動物が停滞しにくくなる。


私たち一般飼い主はどの団体に寄付すれば良いか迷います。

その際に「若い健康な子を集めてたくさん譲渡につなげている」

「看とりを積極的に受け入れている」など、応援したい団体を選択しやすくなります。


日本もアシロマー統計を参考に、統一した指標を出す。

センターも愛護団体も入所から出所(死亡含む)まで、見える情報を発信すべきと思います。


つづく