先日の保護犬逸走事件から、愛ちゃんの団体について賛否両論の意見がSNS上で展開されています。

 

私は団体から犬を迎えた側で、団体の活動に共感して支援をしています。

内側でも外側でもない大変微妙な立ち位置にいます。

そして興味をもって真剣に動物愛護について勉強をしているので、今回の件を冷静に俯瞰してみることができると思っています。

これから少し厳しい話をします。

 

今一番苦しんでいるので誰でしょう?

長く一緒に活動をしてきた代表を含む団体スタッフのみなさん。

そして原因を作り出してしまった元預かりさん自身です。

 

一連の経緯について事実だけを確認すると人為的なミスで起きたことがわかります。

つまり防ぐことができた事故だったということです。

事故の原因はスタッフのみなさんがそれぞれブログで発信しているように、元預かりさんだけの問題ではありません。

仲良くなれ合いになっていたことが、犬の命を危険にさらすことになったのではないでしょうか?

今後同様の事故を繰り返さないため、スタッフのみなさんは今、真剣に対応策を考えていることでしょう。

 

そして該当犬についてです。

たしかに環境が変わり今は不安になっていると思います。

預かりスタッフの中で中型雑種の飼育経験を多く持ち、現在の犬の状況に一番ふさわしい方が担当を代わりました。

動物は今を生きています。人間のように過去や未来をあまり気にしません。

これからの彼の幸せを願い、預かりさんは大切に育てています。

一部の方が「この子を元の預かりに戻すべきだ。」と言っています。

しかし身体も心も傷ついている元預かりさんのところ戻すことが本当にベストな選択なのでしょうか?

 

私は元預かりさんのことを存じています。

とてもやさしく強く、そして傷つきやすい人です。

犬は飼い主のストレスを同様に感じることが科学的に証明されています。

今の彼女に犬を戻すことは、もしかしたら双方の負担になるとは思いませんか?

 

私は彼女が今後も動物に関わる活動を続けることを信じています。

そのためには休息をとる時間が必要であり、今がその時なのだと思っています。

それは団体スタッフのみなさんも同じように感じているのだと思います。

時間が必要なのです。

 

今の一番の問題は、団体がセンターからの信頼を失いかけていることです。

犬の引き出しができなければ、愛護団体の活動目的をなくしてしまいます。

 

感情的にならず、一歩下がって今の状況を冷静に考えてください。

一人のミスが一人だけの責任では終わらないことを誰よりも理解しているからこそ、元預かりさんは身を引いたのです。

団体の誰かが何かをしたわけではありません。

代表として辛い選択を発表せざるを得なかった代表たちの責任感・・・。

 

「かわいそうだから」とキャパを超えて引き出し、結果として多頭飼育崩壊に至る団体も多い今日この頃です。

保護活動は抒情的に走ると目的とは真逆な結果を生み出します。

だからこそ今できることをやるべきこととして実行していくしかないのです。

「かわいそうだ」という気持ちだけで何もできません。

 

 

もう一度最初の話に戻ります。

今一番つらいのは誰でしょうか?

 

実際に保護活動をしていない(できない)私たちは、懸命に命をつなげる活動をしている人たちを非難することができるのでしょうか?

今まで応援していた人たちに石を投げるのですか?

そんな様子を見ていて一番悲しむのは元預かりさんかもしれません。

 

顔を見ることなく、現状を理解することなく、一方的な発言をして相手を傷つけることができるのがネット社会の問題点です。

ああしろこうしろ、というだけならだれでもできます。

自分が書いたその一言でどれだけ相手を傷つけるのか想像してください。

想像することができるは人間だけなのです。

 

みなさんにお願いです。

今、私たちにできることは、団体がよりよい活動を続けていくよう応援すること。

そして元預かりさんが心と身体を癒して、再び保護活動の場に戻ってくることを見守ることです。