真剣交際中の彼が、前の奥さんとのトラウマから抜け出せずにいることが判明し、
ショックを受けすぎて寝込み、過呼吸に苦しんだしずかさん。
幸か不幸か、会う約束はアホみたいにたくさんしていたので、すぐにまたお会いする日がやってきました。
丸一日、ガチでベッドから出ず、夜もしっかり早寝したおかげで、なんとか立ち上がれるほどにまでは回復しました。
が。
やはりダメージは特大。
メイクをしながら泣きそうになり、
でもメイクが崩れるのが嫌すぎて、堪えるのが精一杯でした。
会いたい。
でもすげえ会いたくない。
ていうか、めちゃ気まずい。
うへえ。
そうこうしているうちに、待ち合わせの時刻が迫っています。
とりあえず準備を終え、家を出ることにしました。
いざ会ってみると…
お互い、前回のことには触れずにいつも通りに振る舞っていました。
いつも通り、手も繋いで。
行きたいところをブラブラ散歩したり、カフェで休んだり。
まるで何事もなかったかのよう。
そんなおり、彼がふとこんなことを言い始めました。
「しずかさんは、決断が本当に早いよね。ボクはビビリだから、どうしても不安を潰して行きたくなっちゃうんだ」
「うん、確かにわたしは決めるのが早いね。経験上、最悪の事態はどんなに避けようとしたって起きる時は起きるって知ってるから」
「もし最悪の事態が起こっても、どうとでもなるって考えてるんだよね?」
「うん、どうとでもなるっていうのも、経験上、知ってる」
「いやあ、すごいなあ」
わたしね、彼のこういう観察眼の鋭いところが好きなんですよ。
すごい見てるの。
人がどう判断して動いてるのかっていうのを。
ここまで鋭く見てる人、なかなかいないんです。
わたしもすごい人を見る方だから、こういう話ができる人って少なくて。
彼とは意思疎通が容易にできるんです。
でもこの愛すべき鋭さと繊細さが、わたしを悩ませてる原因でもあるっていうね…
なんでまあ、複雑な人にばかり惹かれちゃうんですかね、わたしは。
一緒にいて楽しいのに、心の中はまだまだ意気消沈で。
会えて嬉しい、でも辛い。っていう矛盾した感情でいっぱいになりながら1日を過ごしました。
その日はとても気持ちよく晴れた暑い日だったので、テラス席のあるお店で夕食をとることに。
そして、遂にコトは起きたのです。
▶︎つづく