当時通っていたクリニックは、待合ロビーにTVモニターがあり、順番が来ると自分の診察券番号と入室する部屋の番号が表示されるシステムでした。


最初はなんとも気にならなかったこのシステム。

しかし通っていると、だんだんその仕組みが分かってきます。


「上何桁の数字の古い人は、長い間通ってるんだなぁ。」

「診察室2は、お腹の大きい人が入ってくことが多いなぁ。(ってことは妊婦健診専用?)」


なんとなく観察してしまうモニター表示、そしてつい目で追ってしまう診察室へ向かう人の後ろ姿。


ふと待合ロビーに目を戻すと、あれ?他の人もちらほら見ている。

なんとなく、妊婦さんではなさそうな人ばかり。な、気がする。



そうして通い続けて一年が過ぎ、自分の番号に近い数字の人たちも気づけばあまり見かけなくなっていました。きっと、治療者よりも妊婦さんが比較的多いクリニックなんだと思います。


その頃には、待合ロビーでお腹の大きな人を直視するのがしんどくなっていました。それはおろか、診察室2に入っていく人(妊婦健診と思われる)でさえも。

細くてスラッとした人で、同じ歳くらいかな?と思って観察、すると診察室2へ。心がチクッと。

若いのに、治療かな?初診の子を観察、すると診察室2へ。さらにチクチクッと。


モニターに表示される診察券番号はどんどん桁を更新し、自分の診察券はまさにおいてけぼり。ずっと、診察室1に表示され続ける虚しさ。

もう、病院でチラチラと人を観察している時点で心が荒んでる。まさに、この頃が不妊様への一歩を踏み出した時期でした。