濃淡・潤渇と点・線・面 | 水墨画 八重桜日記  無二無三の世界を目指す旅をしよう

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水墨画家小嶋志津のブログです。墨を使い気運生動を生みだす伝統文化である水墨画の技法を次世代へ伝えるため貢献したいと思っております。
沈和年先生に師事。日美展水墨画一般部門準大賞受賞。作家部門入選等

 

ひよこの頭と羽は点です。菊の葉は三墨法で、これも点の組み合わせです。

 

濃淡・潤渇(のうたん・じゅんかつ) ・点・線・面

 

水墨画の表現における重要な要素として、『濃淡・潤渇』、『点』『線』『面』があります。

濃淡・潤渇は、黒く深い墨色や薄墨の透明感、三墨法による濃淡(グラデーション)による表現、渇いた硬質な線や柔らかい滲みなどの、墨による全ての表現を指しています。

 

『濃淡』

墨の濃淡による美しいグラデーションや滲みは、奥行きと透明感によって、画面に神秘的な豊かさをもたらし、見るものを惹きつけます。

そして、黒く深い墨色は深く深淵な気の動きを感じさせ、心が洗われるような心地がします。

滲む紙に墨と水がもたらす美しい画面は、まさに画材の特性を最大限に活かした芸術だといえるでしょう。

 

『潤』は水分を多く含む水墨画ならではの、美しい滲みです。それから墨と墨がぶつかった所に出来る滲みや、透明感のある薄墨の美しさ、薄墨から透明感に抜けてゆくような美しさは素晴らしいです。また、墨を多く含ませ勢いのある運筆で筆の跡が残る様なみずみずしい筆跡を見せる作品も、見ていてとても楽しいものです

 

『渇』は筆の穂先を割って描く事により、渇いた掠れた線で、枯れた侘び寂びのある世界を表現します。その線は、乾いて枯れていますが、決して貧相ではなく、生命のあるがままの尊さを体現しているのです。

 

『点・線・面』

濃淡・潤渇が、点、線、面により構成され画面を作っています。

 

力強い点は、重さや存在感を感じさせます。付立て技法で描く水墨画は、点で構成されているといってもくらいなので、様々な表情の点を描けるようになると、楽に描画ができるようになります。

線ですが、うまい人の線は、線に迷いがなく堂々としています。

面は、大きな点や太い線を組み合わせています。

 

 

これらの濃淡潤渇に表情豊かな点や線、大胆な滲みや奥行きを感じさせる余白を含む『面』の要素が組み合わせ、花鳥画や人物、風景、抽象画などのあらゆる表現をする事ができます。

 

 

付立て技法でいちばん大事な事は滲む紙に勢いよく描くことです。

勢いよく描いた結果、かすれた線や美しい墨色や思いがけない滲みが出るということです。そして失敗を怖がらないという事です。水墨画は描き直しが出来ませんから、常に失敗と隣り合わせです。特に滲む紙を使うときは失敗しがちですが、怖がらず思い切って描くことが、画面に生命力や魅力を与えてくれます。

 

『濃淡・潤渇』、『点・線・面』について、詳しく解説された良書をご紹介します。

『水墨画の表現力を高めるために』

私の師事している沈和年先生(しん わねん)のご著書です。濃淡潤渇を踏まえた水墨画の技法や様々な点・線・面の描写ついて、沢山の素晴らしい作画例で詳しく学ぶ事ができます。そしてなんと、作例のお手本の描き方の動画が無料で見られるQRコード付です。

 

水墨画の世界で最高の技術を持っている沈和年先生の神業のような筆使いをぜひご覧になって頂きたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

 

 

 

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