雨が降りしきる、梅雨真っただ中の今日この頃。

そうなると心配なのは、

「トマトたち」

トマトの露地栽培(野外)をする者にとって、この季節は"鬼門"とでもいうべき時期に当たります。

水分が多く、しかも水はけが悪い場所にトマトを植えてしまうと、青い木のまま立ち枯れていく。

そのサマは、"青枯れ"なんて言われたりもするのです。

雨が多く、毎年梅雨が訪れる日本において、トマトの露地栽培は実に困難。

多くの方が食べているトマトのほとんどは、ビニールハウスで肥料・農薬を駆使して栽培されたもの。

露地で無農薬・無肥料で、しかも自家採種ものの我が家のトマトはあまりに希少・・・。

手前味噌ながらも、そんなことを思いながら、毎年この時期のトマト栽培を続けているのです。

トマトに限らず、露地で夏野菜を手がける方の多くが使っているのが「マルチシート」。

マルチシートとは黒いビニール製の布のようなもので、これを畝(うね)全体に被せておく。

そうすると、雑草を抑制することができ、土を温かく保温することまでできてしまう。

さらには梅雨の時期のトマトの雨対策にもなる。土に雨が降り注がないようにと、水分調整までをもできてしまうことになる。

マルチシートには、このような利点があるというわけです。

でも我が畑においては、それも当然使わない。理由は、マルチなどは反自然物そのものであるから。

「自然に学び、学んだことを実行する」

このことをコンセプトに掲げる我が農園においては、反自然物を最大限排除することこそが最大のテーマ。

ノーマルチで野菜のお世話を続けているのです。

※無肥料・無農薬、自家採種のトマトです。

■環境を整える！

実際に使用済みのマルチシートを『一般ごみ』で出すことはできません。これは『産業廃棄物』としての扱いになります。

また畑で風雨に晒され続けるとマルチは耐用限度を超えてしまう。そうなると当然、千切れていくことになるのです。

それをキレイに取り除けるのならまだしも、土に残り続けてしまうケースだって少なくない。

時間の経過でマイクロプラスチックとなって、野菜に付着してしまうリスクがあるのです。

根っこから吸収してしまうリスクだってあるし、川や海に流れ込んでしまう事態だって指摘されている。

※参考：『マイクロプラスチック問題は海だけじゃない？！』

こうしたことから一切の農薬を使わない。一切の肥料も使わない。そしてマルチも当然使わない。

これらをモットーに日々、土の清浄化に取り組んでいるのです。

マルチを使わないとなると、それ相応の対策が必要になります。特にこの時期のトマトに対しては、雨対策を施さなくてはなりません。

そこで私が対策として行っているのが、「高畝」。

畝を極端に高くすることで、水はけの良い土の状態を作り出してあげる。お山の上でトマトを育てているような感覚です。

トマトの原産地はアンデスの標高の高い場所で、昼は30度以上と暑く、夜は氷点下にまで一気に下がる。

それでいて年間降水量は1ミリ以下。トマトはこうした実に厳しい場所を故郷に持つ野菜なのです。

トマトは激しい寒暖差と乏しい水分の中で、力強く生命を繋ぎ続けてきた野菜。

よくトマトは水がキライな野菜の代表選手のように言われていますが、それはどうかと私自身は思っています。

私の感覚ではトマトは水が好きだけど、水はけの悪い場所は大キライ！

この方がしっくりとくるわけです。実際に水田のような場所でトマトを育てることはできないわけだし、雨が降っても、上がれば土から水がサッと下に流れていく。

そういう環境を整えてあげれば良い。

人でいえば汗まみれになることはやぶさかではないのだけれども、作業を終えれば一目散に着替えをしたい・・・。

そんなイメージで私はトマトを捉えているのです。

また農家にとって「雑草」は憎き相手となりますが、トマト栽培に雑草を上手に活用してあげるのも良い。

トマト付近に雑草があることで余計な水分を吸ってくれるわけだし、雑草が生えることで根っこの周りの傘のような役割をも果たしてくれる。

「草生栽培」なんて言われますが、この二本立てで、私は毎年トマトを育てているのです。

■急遽の対処！

とはいえ、高畝を作り上げるにはかなりの時間と労力とを要することも事実です。

私は耕運機や畝立て機などの機械類を一切使用することがないため、鍬(くわ)を主力とした手作業での栽培をモットーにしています。

この春先の私は、無投薬・無医療での闘病生活を強いられた中での畝作りであったため、パワーに難がありました。

よって、畝の高さがどうにも低い。

梅雨の豪雨に晒され続ける中、通常よりも低い畝のトマトが数本、枯れ始めてしまいました。

そこで低いなと感じる畝の周りに急遽側溝を作ることで、土から水を速やかに流す。

この作業に取り組むのと同時に、庭にある大きなフキの葉をトマトの根の周辺にあてがうことで雨からトマトの木を守る。

※急造の側溝には雨がたまって、城のお堀のような具合になってしまいました

急遽、このような措置を採ることで、梅雨の強烈な雨から今のところトマトの木を守ることができています。

明日もまとまった雨とのことですが、出勤前に対策に不備がないかを確認した上で、仕事に赴こうと思います。

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