「ちっっっ、くそがぁぁぁよぅぅ」
久々にきっちゃねぇ悪態が
口をついて出た。
 
 
バリ風樹木の並ぶ、とあるマンション
その下を通り抜ける時だった。

このマンションの最上階の角部屋は
元彼と内見した部屋だった。
  
 

 
東京駅や、新宿駅で
突如、泣き出す頃に比べたら
悪態つけるだけ元気になったのな。
 
  
 

悲しい気持ちから、悔しい気持ちへ
季節が変わるように
時間薬が効いている。
  
  

 
もう存在しない未来。

あの角部屋で、朝日も夕陽も一緒に
眺めるはずだった。
 
朝、あたしはマットの上でヨガしてて
そこに彼がコーヒー持ってきてくれる。
 
お料理は順番で、洗い物はじゃんけん。

夕食後、子供達とするボードゲーム。

飲み友達を呼ぶのは私で、転がった瓶や缶を片付けるのは、俺なんでしょうと彼がよく言ってた。
 
もう存在しない未来。
 
   

 
変なのー。
もうここに
あたしの胸に存在してしまった未来。
 
 
何度も思い出しては
あたしをあっためてくれた
もう存在しない未来。
 
   
 
 
 

 

ちょっと長くなるが
大好きな又吉さんのYouTubeで
こんな話があった。
  

 
30年間、忘れられない恋の話。
  
 

3校合同の水泳大会に出た又吉さんに
数日後、よその小学校の女子
「ヤマモトアイミ」からラブレターが届く。
  

水泳大会かっこよかったです。
よかったら焼却炉まで来てください。
 
 
 
授業のあと、喜び勇んで
焼却炉へ向かう又吉さん。
 

ところがそれは「ドッキリ」で
焼却炉には、男友達たちが集まって
笑っていた。
 

「ヤマモトアイミ」は存在していなかった。
 
 
又吉さんは、困った。
 

手紙をもらった時点で、もう
恋が始まってしまっていたし
 
 
焼却炉へ向かう間も、どんどん
好きと言う気持ちが大きくなってしまったからだ。
 
  
 
 
 

ここに存在する、この気持ちは
「ドッキリ」と言われても
どうしたものだろうか、と。
 
 

 
 
以降30年、又吉さんは
「ヤマモトアイミ」という女の子の名前を
忘れることができず

その手紙の筆跡さえ
今もありありと思い出せるそう。
 
  
 

 
ものを書く人の性なのかもしれない。

想像力の強さや緻密さが
幼い頃から発揮されている
エピソードだなって思ったし

  
一方で
自分の中に確かに存在した
『恋心』

無形にしては、存在感の大きすぎる
この『恋心』を

又吉さんは、30年どうする事も
できないまま、でも大事に
心の引き出しにしまってる。 

 
 
 
 

あぁ、いっか。
 
私のも、存在しない未来だけど
このまま心の引き出しに
あってもいっか。

と、そう思えた。 
 

 
ふたりでする未来想像話は
話してて楽しかったなぁ
いっぱい笑ったなぁ 

 
 
 
 
又吉さんはこのエピソードを
次のように締めている。
  

 
何か目標を達成するまでの、その過程に
"自分が生きている"と感じる。 

そこで"自分が人間で在る"と
いうことを強く感じる。
 

だから悔しいけど、実は
人間はそういうところがある。
 
  
  
 
あーーーーーー、もう好き🥰
  



  
「持って行き場のない想い」

私も、又吉さんもきっと「ネタ」にできた。
 
こうして振り返ることでもう一度

あの日の幸せを望むことができる。

自分の好みの未来、を知ることもできたな。 
 
 

 


長文、読んでくれてありがとう。