不安やうつ、パニックなどで受診する患者さんで、職場や家庭における不適応を生じている際、素振り、話し方、失敗の仕方などから、発達障害かも?という場合はしばしば。その際に聞いておきたいことのまとめ。
生育歴が最重要。結構多くなってしまい、初診ではすべてを問いきれないが、気になるところを具体的に聞いていきたい。ただASDタイプの人では、自分では小児期の問題に気づいていない人もいて、家族から聞くと案外違っていたりする。もちろん子供の頃より、「なぜ上手く行かない?」と自分で違和感を感じている人も多いのだが。
<生育歴の聴取>
(乳幼児期)
・母とのコンタクトが少ない =目が合わない、後追いしない
・指さしなど、他者との交流を図ったり、他者へ注意を向けない
(小児~学童期)
社会性:
・一人遊び →集団行動ができない、興味を持たない
・友人が少ない →もしくは受け身での交友
・空気が読めず、孤立
・いじめ、からかわれる ←本人は気づいてないことも
・癇癪 →自分の想いと違うと、邪魔された、と怒る
コミュニケーション:
・かしこまった堅苦しい言葉
・言葉どおりの解釈
・言葉の理解が独特なことも=印象的な体験に偏った理解
・相手の気持ちが分からず一方的な会話=噛み合わない
拘り:
・特定の者への強い興味(電車、昆虫、人形、辞書など) →○○博士、特殊な能力
・奇妙な反復行為
身体的なこと:
・感覚過敏 =偏食、音声過敏、光をまぶしがる
・協調性運動障害 =不器用
(中学~思春期)
・誰も分かってくれない、上手く行かない、なぜ怒られたか分からない
→ 理不尽に感じる
・一方「何か自分が変だ」という自己洞察による苦悩
→ 人の気持ちを分かりたい、拘りをなくしたい、仕事や大学で上手くやりたい
=次への進歩だが、挫折する人も
・「間違った理解をしてるかも」と、周囲の状況を理解するのに課題な労力を要し疲弊
→ 失敗体験のため、周りを観察するが、分からずにあれこれ考えつつ混乱~疲労
→ 一見気遣いができる人のようにも見えるので注意
・フラッシュバックが顕在化しやすい →視覚的イメージは、言語能力の以前から
・不適応による精神的(うつ、不安)・身体的症状、行動化