アカシジアの治療薬として、急性アカシジアは苦痛が強いため、早急に対応が必要だが、この際は抗コリン薬(アキネトン、アーテン)やベンゾジアゼピン系薬(リボトリールやセルシンなど)を投与する。特に急ぐ時は、アキネトン1アンプルの筋注が良く、診断的治療としての意義もある。

 

急性症状を軽減しつつ、その後は、薬剤の減量や副作用の少ない抗精神病薬に変更などを検討。

 

 割と知られていないが、実はβブロッカーがアカシジア治療の第一選択となっている。特に脂溶性で非選択的なインデラルが中枢移行性も高く、選択的β2ブロッカーよりも有効性が高い。自律神経症状を伴う不安にも効果があるのもよい。注意点は、喘息に禁忌であること。心疾患がある人には使いにくく感じるが、強い徐脈がなければ、意外と使える。

 

他はα2作動薬のカタプレスも有効と言われ、副作用も少ないが、あまり使った経験なし。

 

遅発性アカシジアは、減薬・変薬をまず検討するが、抗コリン薬は効果がなく、時にこれを中止するとよいこともあるらしい。インデラルやカタプレスなどのアドレナリン系の抑制薬剤や、リボトリールなどのベンゾジアゼピン系が効果的。これらは慢性アカシジアにもよく使う。

 

 ところで、アカシジアを起こすのはD2阻害作用の強い薬、とされているが、D2部分アゴニストでパーキンソン症状が少ないはずのエビリファイでは、少量でもアカシジアを生じることが知られている。またSSRIなどの抗うつ薬が原因になることも忘れてはいけない)。

 

おそらくアカシジアは、単純なD2受容体阻害作用によるというより、ドパミン受容体を始めとする神経伝達系のアンバランスが生むものなのだと思う。例えば、SSRIによるアカシジアは大脳基底核でセロトニンが増える時、ドパミン神経伝達の抑制によるとの見方もある。

 

いずれにしても、アカシジアは、振戦や流涎、小刻み歩行などのパーキンソン症状や、ジストニアなどとは違うタイプの副作用であり、ドパミン刺激の程度や作用する部位が違うように思え、向精神薬を使う際には副作用として忘れないようにしたい。