薬物療法のちょっとした工夫

 

◎ちょっとした治療の工夫やアイデアをまとめてみました。

 疾患や病状についての詳しい治療方針は、今後、少しずつ書いていきます。モーズレイ、カプラン、スタール先生、神田橋先生などの本から情報を得て、自分の経験と合わせたものです。

 

1.初診で、あいさつ代わりの気持ちを示す処方:

 → ただし、それなりに効果が期待できつつ、副作用の少ないもの

 → 「治療にきて良かった」と患者が思える処方 =プラセボ効果も含めて、治療継続しやすいように

 

 a. 抗不安薬の頓服:リーゼ・ワイパックス・ソラナックス・デパスなど

 → 即効性あり、患者に喜ばれる。効果や日中の眠気を考えると、ワイパックスが使いやすい

 

 b. 軽い眠剤:マイスリー、ルネスタ、ロゼレムなど

 → 不眠が少しよくなるだけで、患者は治療意欲がわく

 

 c. 漢方薬(加味逍遙散、補中益気湯、抑肝散、柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯など) →薬嫌いな人でも

 

 d. スルピリド:内科の先生良く使う

 → 腹部症状ある人に良いが、最近あまり使わなくなった =高齢者では特にパーキンソニズムに注意

 

 e. 身体症状を気にする人は、そちらを少し気にかけた処方を

 

 

2.種々の精神症状(幻覚妄想、興奮、うつ、不安、不眠等)で、診断・治療に迷ったときの薬

 → リスク低く、効果が期待できるもの

 

 a. (少量12.5-25㎎で)セロクエル =困ったときのセロクエル:ほとんどの精神症状に効果あり、副作用少ない

 

 b. (これも少量1.5-3mgで)エビリファイ =セロクエルの鎮静を避けたい時

 

 c. デパケン、リボトリール:落ち着く、気分安定し、安全性高い、高齢者にも使いやすい

 

 d. リフレックス:少量でうつ、睡眠に。うつ病以外も使いやすい

 

 

3.薬剤の減薬・中止

 → 工夫ではないが、薬の副作用で悪くなってないか、常に意識

 

4.特殊な病態、普通の治療でダメな時の工夫、意外な効果を持つ薬

 → 適応外処方も、ただし下手に使うと危ない!

 

 ・抗てんかん薬:ラミクタール、トピナ、テグレトール

 ・リリカ

 ・トラムセット

 ・カタプレス

 ・インデラル

 ・シクレスト、レキサルティ:統合失調症以外も

 ・アナフラニール点滴:うつ病以外も

 ・メマリー:認知症以外も

 ・漢方薬:神田橋処方など

 ・ストラテラ・コンサータ:ADHD以外でも

 ・アマンタジン

 ・Caブロッカー

 ・甲状腺剤

 ・mECT etc.