駅まで行くのに通った道が

随分とせまく感じた



昔は

もっと広い道だと思って

おばあちゃんと歩いていた



懐かしい道



懐かしい建物



ところどころ、新しい家々




久しぶりに歩いてみたら

坂道は存外きつかった…



そういえば

おばあちゃんは小さくて

がりがりで

この坂がきつい、きついと言っていた




アタシは心臓の手術をしたから

坂はキツイ



最近はいつも車だったから

ここは坂が多いのを

思い出さなかった





登った坂を、こんどはくだる

というところで、風が吹き抜けた


海をふくんだ風


潮の香りがたまにする

と、母が喜ぶ風




坂をくだりおえて、信号を渡ると

懐かしい公園



かつて

沢山の子であふれていたそこは

外国のお菓子みたいな色合いになっていて

誰もいなかった



ブランコは新しくて真っ赤で

数は半分になっていた


あとは

緑の縁どりの、ものすごく広い砂場と

派手な色のベンチ


周りには黄色い花が咲き乱れていて…


大きな音を無理やり聞かされてる

みたいだった



とりはらわれた魅力的な遊具たちは

薄い空色や、草の色、桜色だった


使われ過ぎて

塗装はハゲていたけど、

沢山の子供たちが

夏でも順番まちしていた



一番好きだったのは

回転する、大きな鳥籠みたいな乗りもの



もう実際にのらなくなっても

見るだけでワクワクした

大好きだった




公園を抜けたら

池のほとりに、

弁天様のいらっしゃる小さな社殿

懐かしい、沢山の千社札




商店街の

本屋さんは相変わらずで、


八百屋さんもあった


祖母が通っていた眼科は、

コンビニエンスストアになっていた


広かった魚屋さんは

小洒落たパン屋さんになっていた



えっとあっちは…


隅々までみたいのを我慢して

遅れないように

懐かしい電車に乗った



ここは

相変わらず

せわしなく電車が、やってくる

そして

この線は

ひと駅、一駅に、思い出がある



ふた駅先が、

かつて「親友」と呼んでくれた子が

住んでいた街



私は

あんなに

親友というものに憧れていたのに


解放された爽快感となぜか残る喪失感に


苦笑してしまう



今は、

日々何を食べて

何を幸せと感じているのか

誰と

どこにいるのかさえ、知らない




でもかつて

溢れるような笑顔で、

名前を呼んでくれたことは

思いだすたびに

私をはげます



こんな温度も湿度も高い言葉を

遣っていた、何も知らなかった時期


電話は家に一台しかなくて

壁に繋がっていて、長いこと話すには

不便だった、そんな時期




不便だったのに気にならないくらい

若くて無知だったのに

いまは、もう…

少し無理するのも、つらい




遠くまで来た




デパートのある街に


ついて


私の回想は、おしまい




待ち合わせに

遅れないように、しなくては…