花「うーん」




翼「……………」




花「うーーん」




翼「……………」




花「うーーーーーーん」
 



翼「あーっ!!なんだよさっきからっ!!」




花「ご、ごめん…」




翼「なんか気になることがあんのか?」




花「…一組の…涼風渉(すずかぜわたる)って人…なんか…なんかなぁ…」




翼「…なんかって…嫌なのか?」




花「いや、そうじゃなくて…なんか…名前を聞いたことあるような…ないような…うーん…」




翼「そりゃ、クラスは、違うけど同級だし名前ぐらい聞いたことあるだろ」




花「そうだけど…なんていうか…もっと前から知ってるような…うーん…思い出せない…」




翼「ただの気のせいだろ」




花「…気の…せいか…な…」








その名前を聞いて何かを感じた




初めて聞いた感じがしなかった




懐かしいような




なにか大事なことを忘れてるような…












ソラチカ












07  ホントの自分②












花「うーーーーーん」




翼「…まだ…思い出せないのか?」




花「…なんか…忘れてる気がするんだよな…」




翼「早く食べねぇと弁当カピカピになるぞ」




花「うん…」




朝から頭の隅(すみ)になにか引っかかってるような




思い出せそうな思い出せないような



 
モヤモヤしたまま




いつもの屋上で昼ご飯を食べていた




美「あっいたいた」




花「あ、喜多川先生」




美「屋上でお昼ご飯だなんて学生って感じね〜」




翼「まぁ学生ですから」




花「どうしたんですか?」




美「どうしたんですか?じゃないわよ〜進展は、あったの?部に入ってくれる人は、見つかったの?勧誘は、ちゃんとしてるの?」




花「えっと…」


翼「一応めぼしい人材は、いるんすけど」




美「あら、何年の子?」




翼「一年の涼風ってヤツです」




美「あ〜涼風くんね一組の生徒だったかしら」




翼「はい」




花「涼風渉くんについて喜多川先生なんか知ってますか?」




美「高校入学をきっかけに引っ越ししてきたことぐらいしか知らないけど…明るくてムードメーカーって感じの子よね」




花「引っ越し…」




美「どうかしたの?」




花「…なんでもないです…」


翼「……………」




美「まぁ、前にも言ったけど部員三人にならないと正式な部として認められないからね」




花・翼「はい」




美「私は、顧問として一応、席を置くけど私が本格的にプロデュース&マネージメントをするのは、メンバーが五人になってからだからね」




花「え…プロデュース…」


翼「いや、プロデュースとかマネージメントは、頼んでな…」




美「とりあえずっ!!その、涼風くんをゲットすることが最優先事項ねっ!!」




花「は、はい…」


「…ゲットってポ○モンかよ…」


美「明石くん今なんか言ったかしら?」


翼「なんでもないです」




美「まぁ、良い報告を待ってるわね」




そう言って顧問(仮)は、嵐のように去っていった




翼「…とりあえず…飯食ったら俺は、このチラシをコピーして配るから花は、涼風の勧誘な」




花「お、俺が…?」




翼「俺が勧誘するより、お前のほうが物腰の柔らかいし警戒されなくて良いと思うから頑張ってこい」




花「う、うん…」












一瞬の休息




明るく、楽しく振る舞う日常のなか




一人になる瞬間に色んなことを考える




なんか間違った発言は、していないか




ちゃんと「星ヶ丘高等学校」の


「涼風渉」として




うまく過ごせているだろうか?




誰かにバレてないだろうか




ホントの自分は、、、




自分は、、、




ダメだ




マイナスなことを考えるな




トイレに行ってくると言って席を立ち


もう5分以上経過してる


何気なく教室に戻れ


明るい俺に戻れ


さっきしてた会話は、、、


放課後、カラオケに行ったら何歌うか?


だったよな…


ちゃんと話を合わせろ


笑顔で


ふざけつつ


調子よく


ノリよく


「星ヶ丘高等学校」の「涼風渉」に……………












花「あの…」








…………………………








花「えっと…涼風渉くんだよね…」








イレギュラーだ


知らない誰かに話しかけられるなんて


考えてもいなかった


なんだ


俺になんの用だ


名前は、知らないけど顔は、見たことある


たしか…二組の生徒だったような…




花「涼風くんっ」


渉「えっ」


花「い、いきなりなんだけど…一緒にアイドルやってくださいっ!!」 








…………………………








渉「…は?」








アイドル?????


意味が分からない


何言ってんだ


そんなこと急に言われてどうすればいいんだ?


こんなとき


明るいキャラのヤツは、なんて返すのが正解なんだ?


笑って誤魔化せばいいのか?


ダメだ


イレギュラー過ぎて


考えがまとまらない


落ち着け俺


大丈夫だ


ちゃんと対応しろ


ブレるな


いつものように


明るく…明るく…明るく…




渉「なんだそれw急に意味わかんないしwアイドルってあのアイドルっしょ?wどゆこと?w」




花「そ、そっか…ご、ごめん…あの…説明すると…あーで…こーで…それで…これで…」




渉「つまり、アイドル部を作るってことで人数が足りないから俺という光る原石をスカウトしたってことなw」




花「う、うん」




渉「まぁ俺、部とかに入ってないし興味なくもないし考えてみてもいいけど…」


花「ほ、ホントっ!?」


渉「つーかさwまだ俺、そっちの名前も知らないんだけどw二組のヤツだよな、顔は、見たことあるんだけどさw」


花「あ、ご、ごめん(汗)俺は、、、」












花「天咲花太郎」












翼「お、花、涼風は、どうだった?こっちは、すんげー変な目で見られたぞwまぁアイドル部なんてふざけてるように思われ…」


花「……………」


翼「……花…?どした?」




花「…俺に関わるな…話しかけるなって…言われた…」




翼「…涼風にか…?」




花「…うん…」




翼「…なんかしたのか?」




花「…なんもしてない…ただ…俺の名前を聞いたら…いきなり…怖くなったっていうか…なんていうか…」




翼「……………」




花「…怯えてるような…なんか怖がってるような感じになって…」




翼「…やっぱ…前に会ったこと…あるのかもな…涼風と…」




花「………うん………」












花「…でも…全然思い出せない…」
























バレる


なんで


なんでだよ


バレる


なんで


アイツがここにいるんだ


俺と分かってて話しかけてきたのか?


なんで


今更


今更…








「わったる〜」


渉「え」


「どうしたんだよトイレから帰ってきてからボーっとして変だぞ?」


渉「そ、そっか?悪い悪いwなんかちょっと眠くてさw」


「夜ふかしでもしてたんですか?涼風さんw」


「夜ふかしして何してたんだよ〜www」


渉「そりゃ健全な男子高校生が夜ふかししてすることと言ったらアレ…」




「ねぇ…涼風くん…」


渉「え、あ、なに?」








今日は、なんか変な日だ




気を取り直して




仲のいい、いつものヤツらと




くだらないバカ話をしてたときだった




あんま話したことない




クラスメイトの女子達が




話しかけてきたんだ…








いや…




別に今日は、変な日じゃないのかもしれない




ただ




もう
 



限界がきただけなんだ




隠し通せるわけないんだ












「〇〇県の〇〇中卒ってホント?」




渉「……………」




「中学のときは、「涼風」じゃなくて「天野」って苗字だったり…する…?」




渉「…………………………」




「…やっぱりそうみたいだよ…」


「…ウソ…ヤバくない?」




「わたる…どした?」


「なんの話だ?」


「わかんね」




「…涼風くん…中学のときにさ…」
























「…人を殺しかけたってホント…?」








ソラチカ  07  ホントの自分②